大きさは戦艦よりも少し小さいけど、中々の性能を秘めた戦艦達。
超甲巡、ドイッチュラント、ダンケルク、シャルンホルスト、アラスカ級他
思い思いの艦を語って下さい。
尚、「各国の事情」氏のSSも歓迎しております。
2get!!
3 :
金剛:02/07/20 18:48 ID:nyqlq3Q+
自営業阻止!
4 :
名無しの退役軍曹:02/07/20 18:49 ID:Hm92Q2NG
いや、中型戦艦といわれると排水量4万トン以下、全長220メートル前後の艦が浮かぶんだが。
5 :
名無し三等兵:02/07/20 18:59 ID:0377Dt81
グナイゼナウ萌え
6 :
名無し三等兵:02/07/20 19:01 ID:5Tul3Sw/
懐かしいスレが復活したな。
とりあえずダンケルク最強と言ってみる。
ダンケルクはカコヨクて好きだが、強いかどうか言われると。
リシュリューは中型には入らないのかな。
>7さん
>リシュリューは中型には入らないのかな。
えーココのスレでの「中型」は、その国の最強主力艦よりもちょっと小さめの艦を指します。
なので、リシュリュー級はフランスの最強最大戦艦なので、中型戦艦にはなりません。
故に、ドイツならビスマルクに対してシャルンホルスト級、アメリカならアイオワ級に対して
アラスカ級、日本なら大和級に対しての超甲巡型(未成)もしくは金剛級があたります。
金剛級に一票
打たれ弱い?時代遅れのババァ?だから何?
ババァでも萌えるんですよ、旦那!
10 :
You-me:02/07/21 01:25 ID:l5QZgIwq
イギリスにいわゆる中型戦艦がないのは何故だと思う?
>11さん
おおっ、発掘不能になっていた前スレのアドレスを持っている人が居たとは、アド貼り
感謝です。!!!!!
___ _
r'⌒';=〔X〕=:、
川_ノ从仆从))
| |_」O Oy
| .人ひ − ノ| さむい・・・
`⌒ニ| 匸⌒'
f´\〔X〕フ、
!__j_》、___,》_)
〔>ヽヽっ./ /〕
ム/i\_)_∧j
/\i i∧
/:::/::`ー一ヘ::::ヽ
く::/:::/:::l::::lヘ:::ゝ::::ゝ
`´^ト‐iー'i_´ー ^´
f`f⌒if⌒i
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
さて、中断していた新作を書きます
順番だと
ダンケルク>アンドレア・ドリア>シャルンホルスト>アラスカ>超甲巡>コンテ・ディ・カブール>クロンシュタット
と、してみるテスト
16 :
名無し三等兵:02/08/02 13:30 ID:8HrXmSKr
最弱は仏のクールベ?
最弱はギリシャのサラミス・キルキスじゃねーか?
海防戦艦だから波の高いところ航海できねーし
18 :
名無し三等兵:02/08/04 00:41 ID:n8ord/lO
「摂津」が生きてたらどんなもんだろう。
最弱は扶桑級で
20 :
名無し三等兵:02/08/11 17:00 ID:vtd3BQTb
2
21 :
:02/08/11 17:12 ID:???
筑波も微妙だろうね
ウ
23 :
名無し三等兵:02/08/11 18:09 ID:LxZ1CW9Z
中型戦艦?わーすぱいとが最強にきまっとろうが!バカモン!!
星一つ見せぬ闇夜の下、灯火管制された艦隊が静々と進んでいく。
先頭を従者のように進む防空巡4隻と、それに連なる8隻の駆逐艦。そして、後方を進む艦はある
種の、独特のシルエットを持っていた。
排水量4万トン近くある船体は不自然に喫水が浅く、巨大な箱型艦橋と簡略化された後部三脚
檣。そして、本来は砲塔が収まるべき場所は甲板装甲と同じ厚みを持つ装甲板が張られ、代わり
に13.3cm連装両用砲を甲板に所狭しと並べられている。
それは、大英帝国期待の新型超弩級戦艦「ライオン」。本来は45口径16インチ砲三連装三基
九門の、ドイツのビスマルク。フランスのリシュリュー。イタリアのヴィットリオ・ヴェネト級を性能で
凌駕できる戦艦と成る筈だった。
だが、独仏伊の通商破壊戦に起因する戦略物資の欠乏と、バトル・オブ・ブリデンの後遺症で
工場の復興が父として進まず、16インチ砲を乗せる事が出来なかったのだ。その為、既存の15
インチ砲やKG5の14インチ砲を載せる事を考慮されたが、R級やKG5級が度重なる艦隊戦で
消耗するに至って、砲身や装甲板の生産が難しくなった為、遂には主砲さえも載せることが出来
なくなってしまった。だが、逼迫した戦争状態は未完成の戦艦でさえ休ませてはくれない。
何故なら、船団護衛用のR級戦艦「レゾリューション」を、先の「ブレスト沖海戦」において失って
しまったが為に、船団護衛に使える手駒が減ってしまい、追加要員がわりで半ば強引に護衛艦隊
に編入されてしまったのだ。海軍では期待の新戦艦が備砲もないのでは話にならないとして、
ダイドー級用に過利生産された13.3cm連装両用砲を常用8基に追加し、合計24基も載せた
のだ。
その、戦艦としては妙に「真っ平」然としてしまった甲板を見やりながら、エドワード・グロッグ艦長が呟く
「今晩が新月で良かったですなあ・・・、月一つ無い夜ならば、忌々しいダンケルクやカイオ・デュイ
リオ級に襲われる事もなさそうですな・・・」
それに、窓の外を見つめていたベンボー司令が答える
「往時は、世界の海を制していた我が帝国海軍も、今は二級海軍に地中海と大西洋の制海権
を奪われ、風前の灯か・・・。まさか、大英帝国最強最強戦艦が「大型護衛艦」となって竣工される
事になるとは・・・・ フィッシャーも驚きだろうな・・・」
「まったくです、物資欠乏のために主砲塔も載せられないとかで・・・・ 二番艦の「サンダラー」は
先日沈んだレゾリュ−ションの予備の15インチ砲を連装で三基積むそうです・・・・・」
顔を下げたままで拳を握り固める参謀長。
「まぁ、体の力を抜きたまえ。近々本国で大規模な輸送船団を本国に送る準備が進行している。
これが通れば、同じく主砲も乗せられていない三番艦の竣工も早まるだろう。ココで私たちが輸送
船団の輸送を完了させる手伝いを極東ですれば、イギリスは後半年間は戦える鉄鋼と油を手に
入れることが出来る。 田舎海軍に我ら大英帝国の底力を見せ付けてやろうじゃないか。」
「まったくです! だが、この「ライオン」とダイドー級4隻と護衛駆逐艦二戦隊が有れば、極東艦隊
も一大戦力に成りましょう。」
「うむ、一つの罠も仕掛ける余裕が有るな」
岸壁にて儀装状況を見守るベンボー司令とエドワード・グロッグ艦長
「まさか・・・・・・・・・このような姿晒す事になるとはな・・・・・」
「『無い』よりかはマシですが・・・・・。この場合は『有って』もイヤですね・・・・」
シンガポールのセレター軍港にて、改装を受けている「ライオン」。船団護衛時には「真っ平」
だった前後甲板に「砲塔」と「主砲身」を乗せる工事をしているのだが・・・・
「まさか・・・・装甲巡洋艦の砲塔・砲身とはな・・・・・・・」
「昨今の物資欠乏のため・・・・・恥を忍んで・・・・・・・ですね」
太平洋の要、シンガポール・セレター基地工廠でも、物資欠乏は大問題であった。燃料となる
重油は無尽蔵に産出されてはいるが、鉄鋼はオーストラリアから持ってこなければ成らない。
だが、その鉄鋼を積んだ船は独仏の通商破壊艦隊によって沈められるか、拿捕されているのだ。
幸い、アメリカとの取引によって、大巡「アラスカ」の砲塔・砲身を秘密裏に輸入する事が出来
た。本来は基地に据えつけて使用するはずだったのだが・・・
「でも、一応は格好はつきましたよ」
「格好だけでいくさが出来るか・・・、と言っても、大鑑の無いココならばコレで充分か・・・・」
来月には輸送船団「IM12船団」が出航する事になる。この輸送船団が本国に辿り付けば、
本国は半年間は充分な作戦を行動を行う事が出来、ライオン級の三番艦も竣工出来るのだ。
そうすれば、英本国離脱作戦の足掛けに成るだろう。
それと、輸送作戦と同時に、失敗してしまったタラント湾空襲を再び行う。前回では低速の空母
機動部隊はたまたま、進路上を進む民間船に発見され、攻撃する前に軍に打電され、急遽迎撃
に上がった戦闘機隊と基地対空砲火に遮られて失敗してしまった。
(不運は続き、帰路には「イラストリアス」がUボートに雷撃を受け、大破してしまった)
「今回は、向こう(戦艦・空母)が囮で、こちら(護衛艦隊)が主力ですからな・・。せいぜい引っ掻き
回してもらいましょう。」
「うむ、彼らには悪いが今回は犠牲になって貰う、だが、次こそは我らが海戦の主力となって、枢軸軍に目に物を見せてやるのだ!」
彼らが基地で自分勝手な世間話をしている頃。太平洋には「帰ってくる者」が居た。
洋上を東に向けて進む艦隊が見える。前方には駆逐艦と大型駆逐艦が哨戒を勤め、その後方
に6インチ砲を7門積んだ奇妙な巡洋艦、そして三脚檣の戦艦が続き、更に後方には「まっ平ら」
の艦容を持つ船が続いていた。
戦艦マニアが居たならば、その艦隊の奇妙さに首を傾げただろう。
大型駆逐艦は「トロンプ」、巡洋艦は「デ・ロイヤル」級軽巡、仮想敵国の日本の古鷹級のカウン
ターとして建艦された。その後方の艦は「ネヴァダ」級戦艦。さらに後方は「インディペンデンス」級
軽空母だ。
だが、何故米艦隊が東へ向かうのだろうか? もし、洋上に国旗に詳しいものが居たならば、
奇妙な点に気付いただろう。
戦艦のマストに翻るは「赤・白・青」の横帯が描かれた国旗。 そう、この艦隊はオランダの艦隊
なのだ。
独逸軍の侵攻により、国を追われたオランダの首脳陣と一部の軍人達が、アメリカに亡命した
残党が、友邦国イギリスの危機に立ち上がったのだ。そして、今一、欧州戦に乗り気でない世論
の為に、英国への支援を大っぴらに行えないアメリカが、オランダの「失われた国土の回復」を
紳士的精神により支持すると言う「大義名分」により、オランダ艦隊に旧式艦・補助艦艇を付与し
て太平洋に送り込んだのだ。
「言ってみるものですな・・・・ まさか、戦艦を一隻くれるとは・・・・・・」
「うむ、やっとアメリカも重い腰を上げたようだ」
旧「ネヴァダ」現「ゼーゴイセン」の艦橋でカレル・ドールマン中将が呟く
「これだけの戦力が有れば、ヴィシー・フランス東洋艦隊も一捻りでしょう」
「うむ、正しいオランダに戻すのは、植民地に根拠地を作ってからだな。
その為には・・・イギリス東洋艦隊と協力し、サイゴンに巣食うドイツ潜水艦隊と
フランス東洋艦隊を潰す必要がある。」
「先行きの見えない、苦しい戦いに成りますな・・・・」
「だが、我らは帰ってきたのだ。取り戻すために・・・・」
おっとageてしまった(汗
「なるほど、駆逐艦や巡洋艦はオランダ艦だが、大型艦は違うな。戦艦は「ネヴァダ」、空母は
「インディペンデンス」級だな」
ネヴァダは1916年竣工の海軍休日前の旧式超弩級戦艦だ艦暦29年のベテラン戦艦で、余りの旧式さの性で、サウス・ダコダ級が一線配備されたが為に大西洋艦隊に回された艦である。
それが、オランダ艦と共に進軍してきている。何処に来る?当然、此処に来るだろう。
「そして、コレを見てください」
ハンス中尉の渡した報告書を見るエーベルバッハ大尉
「こっこれは! オーストラリア−イギリス間の大規模船団輸送計画??普段役に立たない諜報
部も、たまには役に立つな」
「特別に、私のコネで入手した奴です。まだ本国でさえ届いては居ない、最新情報ですよ??」
「なるほど・・・・貴官もこのような辺境で終わりたくはない、そうだろう」
「ええ、その件に関しては大尉のお力もいただきたく・・・」
「うむ、本国の重い腰をあげる前にこっちで早く準備が出来るぞ、でかしたぞ中尉!」
「いいぞ・・・・・いいぞ・・・・・・キターーーーーーー!!!!!」
ココは独潜水艦「U−44」艦内、潜望鏡を覗き込みながら、奇声を上げているのは、クルツ・フォン
・エーベルバッハ中佐。ちなみに分析科のシュバルツ・フォン・エーベルバッハ大尉の従兄弟で
ある。
「大型艦航走音探知しました! 数20! 方位270度、距離33000! 速力25ノット以上!」
聴音室からの報告が入る、狭く蒸し暑苦しい司令塔に緊張が張り詰めて、薄暗い中で疲労に
あえいでいた帝国乗組員に緊張の一線が張り詰める。
1週間前、極東司令部からの出撃命令を受け、サイゴンの潜水艦隊基地から出撃したが、命令
は「敵輸送船団を補足し、之を撃沈して混乱させよ」だけなのだから最近では忍耐強い乗組員も
少々ダレ気味であった。
そんな折の大型艦発見。艦内の志気は急遽ヒートアップする。
「あ・・・・あの・・・・・・・艦長、「英国」の輸送船団がみえるのですか?」
この辺りで船団を組んでいるのは交戦中の英と、厄介な事に枢軸国に未参入の日本だけだ。
今日の午前中にも輸送船団を発見し、攻撃しようとしたが。実は日本の輸送船(同じ船会社の
船舶が只連なっていただけ)だった為、今の輸送船団もスコアに入らない可能性がある。
「船団?そんなものはどこにもない。いえるんだ、あそこにでかぶつがなァアアア!!!!!!
間違いない。アレは英の『ライオン』だ。立派な戦艦だぞ。」
「『ライオン』?」
副長の声が裏返った。おかしい、アレは主砲も乗っていない。大型汎用護衛艦のハズだ。
訝しがる副長は、艦長に潜望鏡を譲って貰い、自分の眼で確認する。
長船首楼構造の船体に大型の3連装砲塔が三つ、箱型の艦橋にレーダーが載ってて、優は
28ノットは出てるであろう。我が国の「ビスマルク」に劣らない勇壮な姿だ。
「どうだ、英の主力艦だ。あれをやる。総員、戦闘準備!!艦首発射管室、雷数四、射角1、
距離3000!!。焦らずに急げ」
艦内を速やかに移動する乗員。久しぶりの大物だ、過去にPoWを群狼戦術で屠った時以来だ。
「艦長、いけません。我々の主任務は輸送船団の攻撃です」
と、言いつつも副長の目は笑っている。
艦長は至極真面目な顔で答える。
「いや、ココで奴を叩いておかねば仏印の我が水上艦艇では太刀打ちできん。向こうが油断している今こそ、チャンスだ」
「発射準備完了しました」
水雷長の報告に思わず舌なめずりをする艦長。
「発射管注水」
「発射管注水しました」
「発射管扉開け」
「発射管扉開きました」
最高のタイミングで艦長は下令する
「撃てェエエエエエエエエィィィィィ!!!!!!!!!!!!」
見張り員が驚愕の表情で叫ぶ
「左舷15度、雷数四!!! 距離1500m、魚雷きます!!!」
「何ィ!!!」
ベンボー司令が叫び、続いてエドワード・グロッグ艦長が対応を叫ぶ
「急速転舵!!面舵一杯!!急げ!!」
排水量4万トンの戦艦が軋みながら回頭する。だが、遅すぎた
轟音、水柱、大振動。全艦乗員全てが転げる
「左舷一本!!艦首に命中!!」
「応急処理班、処置急げ!! 右舷注水、傾斜回復に努めよ!!」
だが、艦首に触雷した一本は幸いにして垂直装甲が衝撃を弾き返した(艦が左舷側に傾いた為、
装甲帯が水線より潜った為と、独潜水艦の魚雷が調定深度が浅かった為。)
「左舷艦首浸水するも航行に支障は無し! 装甲板に歪み発生するも許容範囲内!!」
応急処理班が逐次報告してくる反応に思わず安心するベンボー司令
「さすがだな・・・・魚雷の一本では我が艦は沈む気配も無い」
「我が大英帝国の造った艦です。魚雷の一本や二本で沈んでしまっては面目が立ちません」
「だが、このままでは今後の作戦行動に支障をきたすな。一旦、リンガに戻るか」
「艦長、第二次攻撃はなさらないのですか?」
「無駄だ、敵は速力30ノットの高速戦艦。それに護衛の駆逐艦が引き返してきた、長居は無用
だ、攻撃とは『攻撃は大胆に、撤退は慎重に』行うのが吉だ。サイゴンに戻るぞ。戦闘日誌に記録
しておいてくれ、「ライオン級戦艦に魚雷二本命中。撃沈に至らず」我々の今回の戦果にしては
上出来だ。さて、総員対衝撃用意!。怒り狂った馬鹿がしこたま爆雷を降らせてくるぞ」
「聞いてるのか、ガリバルディ、アヴェローフ!! 昼間っから、女の話をしてるんじゃねぇ!!」
S・デュモン飛行長の激が飛ぶ。
「しかも、今は任務説明の真っ最中だ。よっぽどいい女なんだろうな??」
「もちの論です」
「とーぜん」
J・ガリバルディ中尉、S・アヴェーロフ中尉、二人とも平然と答えたので待機所が爆笑の渦に
包まれる
「救いようのない色ボケ連中だ。ほかにも昨晩の酒が残ってる奴や、寝てる奴が居たら、そいつの耳の穴をボーリングして、瞼をかっ開いて、良く俺の話を聞ける様にしろ!!」
飛行長の大声で、椅子の上で寝ていた奴も、二日酔いで頭を抑えてる奴も跳ね上がる
「ここは航空母艦『スパルヴィエロ』の艦内。お前達は戦闘雷撃機のパイロットだ。解ったか!
これから行われるの演習ではない。実戦だ、目標は戦艦(コラッツァータ)『ライオン』!
いつまでもだらけていると、女も抱けなくなるし、酒も飲めねぇぞ!!解ったかゴルァ!!」
最初はだらけていた搭乗員達も段々と、目が据わってくる。ギアがTOPに入ったのだ
イタリアが極東の戦いに参戦したのは、昨年五月に、ライバル国のフランスがドイツと共に仏印
に通商破壊用の極東艦隊を派遣した為だ。以後、フランスとは地中海への輸送ルートを巡っての
手柄争いが続いていた。とは言っても、双方共に基地航空隊、潜水艦基地、駆逐艦、巡洋艦等を
使っての通商破壊くらいで、大型艦は滅多に出撃する機会が無く、たまに出ても、空振りに成って
しまい、乗員達がだらけてくるのは自然の摂理であった。
だが、今回だけは事情も違った。
昨夜のうちに英護衛艦隊がU−ボートに捕捉され、魚雷二本を受けて損傷を受けた。
損傷を被った戦艦『ライオン』がシンガポール・リンガ泊地へ向かっているという。
既にサイゴンを出港していたイタリア第二航空艦隊に、ドイツから応援要請が発せられていた。
コレは好機だ。
『ライオン』は極東最大の戦艦(大和級の存在は秘匿されている)であり、欧州でも有力な戦艦
だ(どの艦も16インチ砲が未搭載だと言う事は未だ見抜かれていない)。先月には姉妹艦の
『サンダラー』が、地中海でイタリアの高速戦艦『アンドリア・ドレア』を撃沈している。
(伊公称:第二次タラント沖追撃戦)
地中海に生息する『ライオン』級高速戦艦は「大独伊仏西露同盟」でさえ手を焼く存在なのだ。
その一隻を今、「隅っこ艦隊」と呼ばれる伊極東航空隊が捕捉しようとしている。
『スパルヴィエロ』の飛行長ならずとも緊張はしようという物だ。
飛行長が地図板を使って説明を始める。
「『ライオン』の現在位置はココだ。奴が30ノットの全速で逃げれば、難なく海軍基地に帰りつく事
が出来るだろうが、「U−44」の雷撃でさしもの『ライオン』級も20ノットがやっとらしい。
我らが『スパルヴィエロ』の艦載機なら追いつける。お前たちの手の届く距離に奴は居る。この
場に居られる事を神と、我らが総統(ドゥーチェ)に感謝するんだな。」
「おおっ」っと、どよめきが上がる。
確かに、この場に居るのはイタリア軍でも限られた人間だ。何故なら、『スパルヴィエロ』は
イタリア海軍の第二の空母で、「独仏伊」極東艦隊唯一の空母であるからである。
ドイッチュラント早く出せー
長い間、基地航空隊だけで充分と考えられたイタリア海軍だったが、仮想敵国フランスが「ベア
ルン」だけならまだしも、艦隊型空母『ジョッフル』級を計画した事により変わる。
奴らよりも優位に立つ為にこちらも艦隊航空兵力を持つべきだ。鈍重な爆撃機では無理なんだ。
1926年。客船「ローマ」を接収し、航空母艦への改修を行う事になった。それが姉妹艦『アク
ィラ』だ。当初は簡単な工事で済ませて補助空母にする筈が、関係者の熱意が上層部を動かし、
本格空母への道を歩ませた。ジェノバのアンサルド工廠で行われた工事は、客船としての上構を
全て取り払い、全長を超えるような飛行甲板を設置し、近代的な煙突と一体化した艦橋と、大掛
かりな物となった。また、艦内も細かく区切られ、沈み難い構造と成った。(間接防御方式)
更にバルジを装着し、魚雷対策にコンクリートを充填した。
右舷中央に設けられた艦橋と煙突、ドイツから齎されたカタパルトまで装備された広い甲板。
『アクィラ』はイタリア海軍が始めて手掛けたとは思えないほどの完成度の高い空母となった。
御披露目の観覧式にて飛行機が、『アクィラ』に着艦した時は居合わせたヒトラーとムッソリーニが起立、拍手喝采したほどだ。
だが、二番艦として空母『アウグストゥス』を接収して同様の改装をされる筈だった『スパルヴィエロ』。 だが、姉貴分の『アクィラ』に改装費用を捕られて、改装案よりも質素な艦となってしまった。
コストダウンはあちこちに現れ、全通式の飛行甲板こそ有れ、前端部から艦首へ向けての部分
は、幅が5m程の細い物と成ってしまった。(これは艦首に置かれた対空砲の射界を確保する為
だと言われる)また、島型の艦橋は装備されず、飛行甲板の前端部に設けられた。
対空砲も同様で、当初「15.2cm単装砲6基、10.2cm単装砲4基、機銃少々」と言う要目
だったが「対空武装が貧弱」だと言う訳で、途中で「100mm(47口径)連装高角砲6基、13.2
mm連装機銃8丁」に変更された。
甲板は全長204m、格納庫は全長140m弱でその上部にのみ船体幅と同等の飛行甲板を
持ち、それから艦首へ向け、前述の細長い射出甲板が有り、一応はカタパルトが装着された。
ちなみに格納庫後端から艦尾へは、飛行甲板は存在せず、全体的に飛行甲板長は183mで
ある。(これについては英の「アーガス」を思い出してくれると解り易い)
更に特異なのはエレベーターで、飛行機の形状に合わせて「十字型」をしており、実用最小限
の大きさしかない。
機関部は客船時代のままで、ディーゼル機関で18ノットを発揮する。煙突は設計では飛行甲板
下両舷に排出する方式だったが、『アクィラ』に倣って右側に傾斜煙突を設け、指揮所を組み
込んだ。ちなみに機関区を魚雷から守るために機関区と同じ長さのバルジを設けた。
飛行長は搭乗員の顔を見回した後、満足げに頷いた。
「ようやく自分たちに課せられた使命の重さに気付いたか、だが、これは好機でも有る!
お前達、「スパルヴィエロ」航空隊の活躍如何によっては、枢軸内の位置付けも変わるかも
知れん。綺麗なねーちゃんと遊ぶ金が欲しくば、せめて戦艦に魚雷を一本でも当てるこったな」
「魚雷一本? 飛行長も志しが低いですなー」
「撃沈ですよ、一撃必殺主力艦撃沈。それ以外は考えられませんな」
ガリバルディ、アヴェローフ両名が声を合わせて応え、後ろの搭乗員仲間も頷きあう
「ほう、さしもの色ボケ共も、気合が入ったらしいな」
「当たり前ですよ。良い女が掛かっていますからねー」
結局の所、女が動機だった。ラテン系らしいと言うべきか・・・・
ガリバルディ、アヴェローフ、サンソン、ヴェルトの四人の飲み仲間が、サイゴン港の
酒場に遊びに行った際、四人が四人とも心奪われた美女が居たのだ。だが、彼女は一筋縄では
行なかった。
「あたしは度胸の有る男が好きなのさ。そう、敵の船を一番でっかい船を一人で沈めちゃうよう
な、あんたらに其れが出来る?」
大きな胸を突き出し、見事の啖呵を切って見せた。
「ライオン」なら彼女の出した条件に十分見合う。ここで沈めないわけには行かない。
「なるほどな、後の二人に対して、お前達は有利な位置にいるわけだ。 だが、手柄を焦って、
馬鹿な真似をするなよ? 敵は対空装備を重視した艦らしい。高角砲を24基も積んだでいる
らしい。それに、向こうにも空母が二杯もいる、場合によっちゃ基地戦闘機が飛んでくるぞ?
少しは頭を冷やしてから行くんだな。・・・サイゴンの酒場か。で、何て言う店なんだ?」
ずうずうしく聞いてくる飛行長を軽くいなすガリバルディ
「駄目駄目駄目!!!!、飛行長のようなオジンは、彼女は好みじゃないですよ」
ガリバルディは断言し、それにアヴェーロフもそれに頷いた。
「取り合えず、候補は俺、ガリバルディ。フランス野郎で大砲屋のサンソン。ドイツっぽで水雷屋の
ヴェルトの四人。だが、勝って、『サラ・メロー』をモノにするのは俺だ!!。お前やサンソンには
絶対に負けん!!」
「それはこっちの台詞だ!!お前やサンソンには絶対に負けん!!」
「おいおい、もう一人のヴェルトって奴はどうなんだ?」
「眼中になし。ですな」
またもガリバルディは断言し、アヴェーロフも頷いた。これは、これで、志気が高いと言えるので
あろうか・・・
「飛行長、いつに成ったら、「ライオン」への攻撃にいけるのですか?」
「こいつは・・・・ちょっと・・・・難しいかも知れんぞ」
「何ですって?何故です、砲術長!!」
ポッシ砲術長の言葉に、サンソン・エーデンブロイ中尉は噛み付いた。発令所の砲術スタッフの
誰もが似たような気持ちだったが、サンソンの反応の速さに誰もが驚いた。
「おい、落ち着け、サンソン」
砲術長が言った
「いくらこの「ダンケルク」が31ノットの高速艦でも、追いつけないものは追いつけないんだ。
いくら射程41700mを誇る33cm砲でも、弾丸が届かないことは確かなんだ。出来ないものを
幾ら悔やんでも、時間の無駄というものだ」
砲術長は艦の作戦室にて、「ライオン」に追いつくのは難しいと言う偵察情報を得ていた。それを
砲術スタッフに伝えた途端の騒ぎだ。
「しかし、悔しいじゃありやせんか。ようやくこの『ダンケルク』がアジア最強の戦列艦だと言う事を
証明する矢先に、また空振りだなんて!!」
そうだ、そうだ、と、巻き上がった声をピエール砲術長が制した。
「悔しいのは俺だって同じだ。何度も地上の司令部には泣かされて来た。本音を言えば、ハラワタ
が煮えくり返っているんだ」
砲術長の言うとおりだった。
彼らの乗る「ダンケルク」は、ダンケルク級のネームシップだ。「トゥーロンの悲劇」の後、ブレスト
に浮揚・回航・修理・改装され、姉妹艦ストラスブールと同等の装甲と、最新型の射撃用電探を
装備した。
フランス海軍は対英開戦前はクールベ級二隻とブルターニュ級三隻、ダンケルク級が有った。
そのうち、クールベ級とブルターニュ級は1910年代竣工で砲力も弱い。1920・30年代に各艦
とも近代化改装を行ったが、欧州のレベルでも一線級とは言い難い。
それに対し、欧州で覇権を狙うドイツ海軍の挑発が有ったが、厄介なのは陸軍で、海軍は
前時代の遺物の前弩級戦艦しか保有していないので、大して危機感は抱いていなかった。
だが、ドイツがポケット戦艦『ドイッチュラント』級を竣工して自体は一変する。 戦艦並の
主砲に長大な航続能力、既存の戦艦では追いつけない速力。厄介な存在だ。
だが、これは「好機」となった。軍予算をマジノ線や陸軍の装備に持っていかれて、小艦艇の
整備しか出来ない仏海軍にとって、カンフル剤となった。 世論を上手く利用したフランスは新型戦艦の予算を獲得し、『ダンケルク』級を起工させた。だが、これで均衡が崩れた。
当のドイツは強力な対抗艦が出現した事に驚愕した。待て、ポケット戦艦は防御力は軽巡並
だぞ、いきなり巡戦を持ち出してくる奴があるか。まずい、装甲巡洋艦では巡戦に勝てない。
結局、ドイツは「シャルンホルスト」級を起工せざるを得なかった。イタリアは大慌てで旧式戦艦
四隻の近代化改装に乗り出し、更に『ヴィットリオ・ヴェネト』級を計画、起工した。
その後、中型戦艦の波は世界中に広がり、日本、アメリカ、ロシアが其れにならった。英国は
建艦競争に無関心を装ったが、R級の近代化よりも「レナウン」級と「フッド」級の近代化改装を
進めたのが答えだろう。
46 :
名無し三等兵:02/09/25 16:00 ID:QK3+gCoR
age
全長220mのノースカロライナとかは対象?
「おっと、肝心な事を言っておかなくてはならないな。まだ希望がなくなったわけではないぞ。
「ライオン」が足を引きずっているお陰でイタリア海軍が空母機動部隊を出撃させるそうだ。
連中が更に打撃を与えてくれさえいれば、こちらも追いつける。砲戦が出来るんだ。」
大砲屋にして見れば藁にも縋るような思いだが、希望には違いない。希望は捨てなければ
見続けられるものだ。発令所内の空気が緩和された。
ところが、そんな中に居ても浮かない顔をしているのが先ほどの中尉である。
「どうした、サンソン? 聞いていなかったのか?」
「いえ、そんな事はありません。」
「航空母艦(ポルタアヴィニヨン)の連中が信用ならないか、我が軍に比べて実績が無いのは
仕方がない。だが、こんな奴らでも活躍してくれなければ、奴らの存在意義がない。また空軍に
引き戻されたくなければ、奴らも必死になってやってくれるだろう・・・・とは思っている」
自国の機動部隊ならばまだ安心できるが、相手がイタリアなので語尾が濁る砲術長
必死。・・・・・・・・・・そう、確かにそうだろう。サンソンは飲み仲間の顔を思い浮かべた。
ガリバルディとアヴェーロフ。あいつらも死に物狂いになるだろう。こんな極東の港町にはまともな
女の居る酒場はそうはない。同じラテン系の血を持つ奴らのことだ。この時ばかりは本気になる
だろう。サイゴンで会った、『サラ・メロー』の為ならば。
もし、あの二人が「ライオン」を沈めてしまったならば? いや、そんな事はありえない。欧州では
航空攻撃で戦艦が沈んだ事は一度としてない。イタリア人にできる物か。 そうだ、奴らに出来る
のは精々が俺のアシスト役くらいの物だ。「ライオン」の足を止め、俺に花を持たせる役回りに
決まっている。そういや、もう一人居たな、ドイツのヴェルトか、あいつの出番はもう無いな。「ライ
オン」に魚雷を当てた功績は認めるが、足の遅い潜水艦ではもう追いつけない。港で控えていろ
「砲術長」
はらりと態度を変えるサンソン
「「スパルヴィエロ」の連中を信用していますよ、仲間じゃないですか!」
50 :
名無し三等兵:02/10/13 23:07 ID:1uRwEdZ9
良スレ緊急浮上
51 :
名無し三等兵:02/10/14 10:11 ID:OPfpLww9
最弱戦艦ならノルゲ級なんだが
52 :
名無し三等兵:02/10/14 11:55 ID:pkmqsFb4
何で帝国大海戦なんだ?
ダンケルクは装甲厚いが主砲なんかよく故障する
>52
ダンケルクの主砲の故障は新造時の始めの三ヶ月だけだよ
その酒場を先に発見したのは、ヴェルト・ケーニギン中尉だった。サイゴン港の奥でひっそりと店
を構えているのを、ドイツ人的探求力で発見したのだ。 他の三人を連れて行ったのは、ある種の
危険を悟ったのかもしれない。三ヶ月前の休暇の時に、四人はその店へと向かった。途中には、
予想通りの障害もあったものの、店にたどり着いた途端に、そうした苦労は吹き飛んだ。その店の看板娘の『サラ・メロー』は予想以上の上玉だったのである。
単にグラマーで、艶やかな女ならば本国の酒場からあぶれて来たので一杯いるが、目の前の
女は無邪気な10代と近寄り難いが、それが魅力な魔法のような魅力を称えていた。
「あたしを抱きたいならば、度胸は有るんだろうね? 敵の船を、自分の力で沈めてしまうような、
あんたらにそれが出来る度胸はある?」
こういわれた瞬間に、四人は敵同士になった。
もっとも、それは表面上で、水面下でイタリア組は結託していたようだ。理由は、「枢軸派」か「準
枢軸派」かだ。イタリアはドイツと手を組んでいたが、ドイツにとってイタリアは貴重な兵站を無駄
使いする厄介者で、むしろ資源と施設を持つフランスの方が相棒にふさわしい。だが、最初に
同盟を組んでいたイタリアにはフランスとドイツがくっつくのが面白くない。
それは、幹部同士の付き合いから下士官同士のつき会いのあいだまで及んでいた。
55 :
名無し三等兵:02/10/19 01:28 ID:G0RuHCPn
>>51 可也マイナーな北欧の海防戦艦だなぁ。知らん人っているの?。
「シチリアの泥棒猫め、奴ら二人が水面下で手を組むならば、俺は本当に水面下で勝負して
やる」
潜水艦U−54に乗り込んでいるヴェルトは、そうやって闘志を燃やしていた。もちろん、「ライオン」
追撃戦の話は知っている。サラを振り向かせる好機だ。
独逸東洋艦隊は、独地中海艦隊司令部から情報を受け取ると、直ちに哨戒網を展開した。
基地航空隊は言うに及ばず、通商破壊に繰り出した潜水艦隊にも、ライオン探索の指令が飛んで
いる。水上部隊も、全力出撃に近い物だった。
ポケット戦艦「リュッツォー」重巡「ザイドリッツ」を中心とする第一グループ。前弩級艦「シュレヴィ
ヒ・ホルシュタイン」「シュレージェン」「ツェーリンゲン」を中心とする第二グループが出撃をして
いた。(第二グループがやたら旧式艦ばかりだが、砲艦と宿泊艦代わりに本国から派遣されて
来たものであり、略奪した船団の護衛として使われている)
ところが、ろくに情報の集まらない段階で第一グループは引き返されてしまう。「ライオン」の補足
が困難と判断し、第二グループをも撤退命令が飛んだが、すぐにまた「スパルヴィエロ」艦載機に
よる攻撃要請が発令された。二転三転する命令は、三軍に少なからず混乱をきたしている。
「まぁ、今に始まった事ではないがな」
発令所で海図を睨みながら、潜水艦長のブレイラウ少佐が言った。
「司令部は大鑑を大事にしすぎる。まるで硝子細工の様に。危なくなると直ぐに撤退させる、軍艦
の仕事が危険な事は当たり前なのにな(苦笑」
「まったくです、戦艦は船団が運んできた貴重な油を食いつぶし、空母だって空軍の借り物を
乗せている連中です。いつ返してくれ、と言われるか、解ったもんではないです」
ヴェルトが言った。例の三人に対する敵視は恋敵だとか、枢軸国としての派閥だけに限らない
らしい。
age
59 :
名無し三等兵:02/11/05 01:11 ID:ivudyw/a
グラーフ=シュペー萌え。
「自分たちは、連中とは別の線から当たってみる。多分、こちらの方が確実だが、中尉には危険
な仕事を押し付けてしまうな」
「艦長、軍艦の仕事に危険な事は・・・」
「当たり前だったな(笑」
ブレスラウはヴェルトの背中を「ポン」と、叩いた。
実際、開戦以来、ドイツ海軍で戦果と呼べる成果を着実に上げているのは潜水艦隊のみだった。
開戦時に東洋に24隻と言う多数の潜水艦を派遣したドイツ海軍は、大型艦と違ってそれらを惜し
み無く戦場に投入していたからだ。
ブラスラウ艦長の指揮する「U-54」は今年だけでも九隻の獲物を屠っており。その中には英国
巡洋戦艦「カヴェンディッシュ」も含まれている。10隻目の獲物が敵主力艦。それも「戦艦」と
来ればいうことはない。
「機影を発見! 敵機330度方向!!」
レーダー員の慌しい声が、司令塔に聞こえる。敵だ! ここはすでに大英帝国軍の制空権だ。
「急速潜行! 防水処置急げ!」
ブレスラウ艦長が叫ぶ。
北西の空から現れたのは、珍しい複葉機だった。布張りの翼がバタバタ揺れている。恐らくは
哨戒任務を帯びた空母艦載機だろう。
曇天を背に、爆撃機の姿がみるみるうちに大きくなってくる。まるで、死を運ぶ怪鳥の様に
ドイツ海軍の潜水艦にレーダーを装備している物は未だ少ない。敵機に気付くのが送れ、撃沈
された同胞は数が知れない。幸い、この艦は試験的にレーダーを装備できた。水上艦に搭載され
ているものより精度は劣るが、無いよりずっとマシだ。
防水が確認されると、「U-54」はベントを開いて潜行を始める。海水の流れる音が司令塔に響き
、動力は既に電気推進に切り替わっており、全力稼動中だ。
「深度10メートル、20メートル・・・・」
震度計の針がじりじりと回る。相手が飛行機だと、魚雷を撃って反撃するわけにも行かない。
去ってくれるのをじっと待つしかない。
「艦長、いざとなれば『荷物』は捨ててもらっても構いませんが」
「心にも無い事を言うな、大丈夫。俺のカンなら直ぐに居なくなる。終ったらさっさとずらかろうじゃ
ないか」
ブレスラウは今度は、ヴェルトの背中に跡がつくほどに背中を叩いた。
危険と隣り合わせ、船底一枚、その下は地獄。同時に其れは潜水艦乗りの誇りだった。
「着水音を確認」
聴音手が報告する。怪物の咆哮のような音が聞こえてきた。爆撃機が投下した対潜爆弾の炸裂
音だ。水中爆発の不気味な振動が船体を揺さぶる。ヴェルトはじっと息を殺して待った。
「RDFはまだ回復しないのか?」
ベンボー司令が苛立ちながら叫んだ
「はっ、後少々で・・・・・・・・・・・25分以内には完了するものと・・・・・・・・」
エドワード・グロッグ艦長もまた、苛立たしい声で答える
「それまでは周囲の見張りを厳戒に、特に対空監視を怠るな。いつ、何時にフランスの爆撃機
が襲来するか解らんからな」
ベンボーは念を押した。もちろん、そうした司令は三十分前に艦長が下しのだが、乗員達はダメ
コンで疲れ果てている。集中力の途切れた時が一番怖い。せめて、電探が回復すれば少しは
負担が軽減するのだが・・・。
グロッグ達を憔悴させているのは、時折傍受できる独逸軍の通信だった。イタリア海軍やフラ
ンス海軍をけしかけて、この「ライオン」を追わせているらしい。
巧緻に長けた独逸軍のことだ、単純なイタリア軍上層部や威信回復を望むフランス海軍は付け
ねらう事だろう。
それとも、わざと解読できるような欺瞞情報をながしているのか? 平文はともかくとして、解読
できる文章が3/5にも達するのが気に掛かる。それでも、追っ手の中にフランス海軍の「ダンケ
ルク」、ドイツの「リュッツォー」+前弩級艦四隻が混じっているのが気に掛かる、今の「ライオン」は
12インチ九門。13インチ8門と11インチ6門+16門を擁する敵艦隊に劣勢を強じられている。
ベンボーは窓の向こうを、ぐるりと目を向けた。冬の海原に僚艦たちが波頭を切っている。軽巡
「ダイドー」「エメラルド」 駆逐艦「エクスプレス」「エレクトラ」「エンカウンター」。 対潜警戒の
「のの字航行」をしている駆逐艦群、昨日の戦いに生き残った艦らだが、「ライオン」同様に被弾し
傷付いているものが殆どだった。巡洋艦が搭載している電探は信頼性に乏しい旧式で、最新型を
搭載している「ライオン」の物が故障しているのが正直、痛い。
「追っ手の中に本当に仏海軍の「ダンケルク」が居ると思うかね?艦長?」
「違う索敵海域の情報を故意に流すというのは考えられなくも無いですが、「ダンケルク」に関して
は欺瞞の必要もないかと思われます。追っ手が「ダンケルク」であろうと無かろうと、今の我々の選択肢はシンガポールに帰還するしかないのですから」
「それはそうだ」
「ほかの可能性としては、「ダンケルク」の名を強調する事によって本艦を振り向かせようとして
いるのかもしれません。それにより逃げた場合は「英海軍恐れに足らず」として貴下植民地での
奴らの宣伝材料となってしまいます。」
「私はウグー中将とは違うよ」
ベンボー司令は吐き捨てるように言った
故人を悪く言う気は無いが、半年前に戦艦 レゾリューションを指揮していたウグー中将は戦闘
指揮官として無能だった。 レヴェンジ級の姉妹艦で、輸送船団を率いていたレゾリューションを
女王陛下より預かっておきながら、ビスケー湾沖の戦いから戻ってくる事は無かった。せめてもの
救いは、別行動にしていた船団が無事に帰港出来た事だが、それは残りの士官の優秀性を示す
だけの物であって、ウグーの中将の有能さを示した物ではない。
「ベアルン」を沈めようと、護衛の旧式巡洋艦と護衛駆逐艦と共に突っ込みすぎ、結果。「ベア
ルン」から飛来した雷撃機隊により避雷し、一時的に行動不能になってしまった。その結果、足の
遅い残存船団がスペイン艦隊により壊滅させられ、その汚名を注ごうと躍起となってスペイン
艦隊を追いまわし、独仏通商破壊艦隊の包囲網にかかって撃沈させられてしまった。
WW1型の戦艦では、最新鋭のクレマンソーやダンケルク級、シャルンホルスト級に集団で撃た
れてはたまるまい。
「今は敵と戦うときではない。艦長は一戦交えてみたいかね?」
「性能面で引けをとるとは思えませんが、昨日のダメージが残っております。乗員達の疲労もあり
ますし、提督の決断に意義はありません。」
「あちがとう、エドワード艦長。 ・・・・・・・・・・決断か、私はウグー中将のことを悪くはいえないかも
しれない」
ベンボーは、もう一度、並走する僚艦も目をやった。「エメラルド」の第一砲塔のあった場所には
スクラップが乗っていた。弾火薬庫に注水したお陰で誘爆は免れたが、吃水が下がり、足は遅く
なっている。「ライオン」も艦首に飲み込んだ海水のお陰で舵の効きが悪い。機動力の低下
電探の損傷よりも深刻といえた。
「被った損害の割には、戦果は皆無だ。ましてや独船団壊滅という目的は果たせなかった。今回
の襲撃は大失敗だな」
「ひとつやふたつの負け戦を気にしては、戦争などは出来ません。」
「私は失敗をいったのであって、敗北を認めたわけではないよ。 いかんな、ウグーの霊にでも
取り憑かれたか」
心霊主義者の様な事を行って、苦笑いをするベンボー中将。
インド洋での戦いは基本的に英国の輸送船団を壊滅か拿捕し、奪った物資を本国へ送る事への
繰り返しである。その為、互いに足の引っ張り合いをする事になる。当然、輸送船団の規模やスケ
ジュールは伏せられるのだが、逆にわざと情報を流して敵を誘い出すと言う手もある。
こうした作戦が成功した例を挙げれば、もっとも多く語られるのは1946年後半に生起したオラン
沖海戦であり、その立役者となったルミラ・ディプレ中将であろう。中将は高速戦艦 「ダンケルク」
に将旗をかかげ、三隻の戦艦を持って、誘い出されて来た英地中海艦隊と交戦した。この戦いで
ダンケルクは巡洋戦艦レナウンを射距離3万から初弾夾叉・撃沈して各国の注目を浴びた。
勝因として水中から英艦隊を翻弄した独逸のU−ボートや、肉薄し魚雷を叩き込んでくる伊の
水雷艇の存在(ウォースパイトに距離500mから魚雷を叩き込んだ猛者も居る)もあるが、やはり
ディプレ中将の作戦立案能力による所が大きい。英仏両軍の海上兵力を比べてみると、質的に
は互角だが、量では英海軍が有利であることは明らかである。その点が英側の慢心に繋がり、
足元を掬われる事と成った。仏側がこの一点に戦力を集中してくる事が考えられなかったのだ。
今回は別のパターンだ、シンガポールへのタンカー護衛を終えたライオンは、現地で新たな
作戦命令を受けた。仏印へ向かう輸送船団を攻撃せよ、と言う物だった。仏印に配備される
新型小型戦車を載せていると言う。
ベンボー中将は危険を嗅ぎ取ったが、本国からの命令には従うより無かった。
age
ホシュ
保守
保守
期待&保守
イギリスって46センチ単装砲積んだ戦艦っぽいのなかった?
あれじゃダメかな、海防艦だったんだっけ?
ヨクワカランなのにレスしてごめんなさい
イギリスのは18"っすね。日本のはぴったんこ46cm。
最初に積んだFuriousは大型軽巡で、空母に改装する際に今度はモニターに転用されました。
A砲塔だったNo2はGeneral Wolfeに、スペアのNo3をLord Cliveに搭載し、共に1920年に陸揚げして1933年に解体。
Y砲塔のNo1はPrince Eugeneに載せるつもりだったが、これはキャンセルとなり、
陸上で訓練用として1947年まで使われてたそうです。
シンガポールに送られたと言うのは、都市伝説らしい。
>>73 ありがとう、勉強になりますた
巡洋艦に18インチっすか・・・
ロシアにアドミラル・ポポフとか言う変わりダネもおりましたね
できればこのスレの最強争いに加えたいかと。
_____ってももうdat落ちかな(;´Д⊂)
75 :
山崎渉:03/01/12 21:30 ID:???
(^^)
全長全幅まったく一緒でくるくる回って砲撃戦
インパクトで言ったら最強かな
こんなんが正面から迫ってきたら怖いな
遂に最下層に来ちゃいましたね(w
ageなくても定期的に書き込んでおけば、dat落ちは無い筈。
絶望的なまでに一番下なのが泣ける
やっぱり
>>8でリシュリューなんかが排除されてる時点で地味スレ決定した気がするし
でも日本の未成超甲巡ってのが気になる・・・確かプチ大和みたいのだっけか
更新遅れてしまって申し訳ないです
保守
地中海と違って、未だインド洋では陸上兵力による対決は行われていない。だから、こちらでは
前世紀の遺物と言うべきインディペンス重戦車と言う物も配備されていたりするが、仏印に居る
諜報員からの報告では、独逸の四号戦車や仏のシャールD1Bis(四号戦車ノックダウン生産版)
が少数だが続々と配備されており、着々と陸上戦力で押されつつある。もし、奴らが強化された
陸上戦力に物を言わせて陸伝いにセレター・リンガに攻め込んでこられたら、弱体な陸軍では
到底防ぎきれまい。
だから。これ以上奴らを強化させないためにも危険を顧みずに向かわなければ成らなかった
のだ。
ベンボー中将は、東洋艦隊の主力から余裕のある戦力を率いて北進。空襲の心配が無いように
深夜、突入を試みた。戦艦「ライオン」の他に重巡「エクゼター」「コーンウォール」「ドーセットシャー」防空軽巡「ダイドー」駆逐艦「エメラルド」「エクスプレス」「エレクトラ」「エンカウンター」の
合計9隻の有力な艦隊である。装甲艦一隻と巡洋戦艦一隻しかない独東洋艦隊など、一蹴でき
るだろう。と、思われていたのだが、悪い予感はやはり的中する。
ドイツ・イタリア・フランス・ソ連艦隊が待ち受けていた。リンガ泊地で停泊中のライオンを、現地人
のスパイが独東洋諜報部に通報されていたのだ。儀装網くらいで大艦を隠すことは出来なかった
のだ。第一次ライン演習時の仇を取る機会をドイツ海軍は待っていたのである。
84 :
山崎渉:03/01/22 11:31 ID:???
(^^;
h
86 :
名無し三等兵:03/01/23 14:51 ID:lw8X9qG2
保守
.
またまた定位置に接近中
保守
90 :
名無し三等兵:03/02/08 02:42 ID:cq9HMbf5
保守
保守!
こうなったら大ちゃんの新刊を待つがごとくに待つぞ!!
てst
93 :
名無し三等兵:03/02/26 22:30 ID:UQUAXWVW
ハイメ一世age
この小説のスペイン戦艦メチャ強。ドイッチュラントなんて目じゃありません
をを!大量dat落ちにも拘らず、このスレは生き延びたか。
>10
レナウン級がそれだろう。2隻の割には
重要な局面にいつも出てきていたし。
#活躍したわけでないのがつらいが
中型戦艦より巡洋戦艦ってカテゴリーの方が
しっくりくるし、対象艦を悩まなくて
すむんじゃない。
>93
痩せてもかれても腐ってもまがりなりにもれっきとした「ド級戦艦」だもん。
その基礎体力において芋の似非戦艦如きはw)
(どっちも本質的には海防戦艦だというつっこみは無しでおながいします)
97 :
とらいばる:03/03/06 20:16 ID:4GCgJdVG
>>73 >最初に積んだFuriousは大型軽巡で、空母に改装する際に今度はモニターに転用されました。
それより先に18inクラスの砲つんだ艦なかったっけ?
イギリスで、砲艦から戦艦への過渡期かその直後ぐらい
うろ覚えだけどかなりでかい砲を積んでた艦があったような
98 :
96:03/03/06 23:52 ID:???
英艦にかぎるならいわゆるアドミラル級のベンボーが413mmつーのがあるぞ。
あと、奇怪な衝突事件で著名なヴィクトリア級も同じ。
英艦でなくてOKならへたりあの中央砲塔艦カイオデュイリオ級が450mm砲を、
中央砲郭艦イタリア級が431mm砲だ。
もっともこのヘンの砲はどれがどうとはっきりは覚えてないが、前装砲だった
り、物凄い短砲身だったり、砲塔が回らなかったり(砲が砲塔内でレール上を
移動してあちこちの砲眼から撃つとか)するからハッシュハッシュと同列には
とても並べられるモノじゃないけどね。
金剛級巡洋戦艦
もう少し主砲の射程が欲しかった
‖ ~" ー 、,,_
| ‖ 100 ,>
\ | / ‖ _,:-−'´
‖/~ ヽ | /
‖ , ))
,、 ,、 /'ll__/ ヽ
/ ヽ__/ ヽ/ _‖ _ ヽ. ∧___∧
/ / ´ ‖ー/ ` l ロ. / _ _
/ ´ 、__, ` |. ‖∨ ,! || | l--l `
_l ∨ ヽ/ ̄)( ̄ ̄`"::::ノ (⌒ヽ, ..ヽノ ,
( ヽ_ / /ll `'ー、....::ノ ∀\/ー- /`l ヽ
ヽ、 ,ヽ:..:ノ ‖ '::::|⊃ iー- l (_〕i__
l : :::Y ‖ ::| |"|ー-,| |(
100とった〜!! ありがとー。やったよ〜。
101 :
名無し三等兵:03/03/08 06:10 ID:1aa8QSHl
超高校級戦艦。
102 :
山崎渉:03/03/13 15:43 ID:???
(^^)
103 :
名無し三等兵:03/03/16 13:47 ID:1RE89eG+
デ・ロイテル
捕手
巡回保全
106 :
名無し三等兵:03/03/19 19:30 ID:QwvsZt/m
フォッシュ
保守
108 :
名無し三等兵:03/04/07 00:10 ID:yD5qmH8t
保守
投入された艦艇は次の通りである。
超弩級艦「ダンケルク」「コンテ・ディ・カブール」前弩級艦「シュレヴィヒ・ホルシュタイン」「シュレー
ジェン」「ツェーリンゲン」
装甲艦「リュッツォー」
重巡
「シュフラン」「コルベール」「デュプレ」「ザラ」「フゥーメ」
軽巡
「エミール・ベルタン」「ラ・ガリソニエール」「エムデン」「ケーニヒスブルグ」「ルイジ・ディ・サヴォイア・デュカ・デグリ・アブリッチ」「ライモンド・モンテクッコリ」
駆逐艦
14隻(護衛駆逐艦・大型駆逐艦含む)
艦隊に前弩級艦が入っているのは、練習艦であった「ホルシュタイン」と海防戦艦兼護衛艦隊
所属であった「シュレージェン」「ツェーリンゲン」を独東洋艦隊が本国に無理を言ってかき集めた
ためだ。(実際は護衛艦隊を無理やりに編入させた物だった。)
護衛駆逐艦は船団護衛用の簡素な装備と充実した対潜装備を施した低速の駆逐艦である。
大型は伊仏が巡洋艦の補助戦力として整備した排水量2000トン前後の駆逐艦で、砲力と
雷装、凌波性で他国の駆逐艦の性能で凌駕していた。
のちに「サイゴン沖海戦」と呼ばれたこの戦いは、立ち上がりから枢軸側に有利だった。
戦艦が5対1、11インチ18門+12.5インチ10門+13インチ8門に対し、英国側は12インチ
9門(枢軸側にはまだ16インチ9門と思われていた)と言うハード的優位に加えて基地戦闘機に
よる弾着確認というソフト的な優位にも立っていたからだ。
ライオンも射撃管制レーダーを備えているが、この時点で電探が不調で、本来の性能を出し
切れて居なかった。その為、この海戦では結果として現れた。独仏戦艦が射距離3万から射撃
開始するまで、イギリス側は枢軸艦隊を発見できていなかったのである。たちまちのうちに露払い
を務めていた「ケント」が炎上し、旗艦「ライオン」も水中に包まれた。枢軸艦隊の攻撃は熾烈を
極め、巡洋艦と駆逐艦は雷撃を仕掛けてきた。英国艦隊は崩壊してもおかしくはなかったが、
そうはならなかった。
ベンボー中将の冷静かつ的確な指揮ぶりと、「ライオン」の轟陣な防御力による所が大きい。
もしも旗艦が最初の一撃で指揮不能になっていたり、戦闘不能になっていれば英国東洋艦隊の
命運はそこで終わりになっていたはずである。だが、「ライオン」が浮いていたからこそ、「高速列車が鉄橋を通過するような雄叫び」の様な音を出して降り注ぐ砲弾の雨の中、ベンボーは落ち
着いて『撤収』命令を出す事が出来た。彼は「レゾリューション」の指揮官のために自分のプライド
の為に傷を広げるような事はしなかったのだ。
待ってました!
112 :
山崎渉:03/04/17 11:42 ID:???
(^^)
そうした指揮官の意をくんだのか、英国海軍士官の冷静な仕事振りは見事なものだった。
敵の巨弾が降り注ぐ中を、追射しつつ後退。沈没しつつある「ケント」を陰に駆逐艦が素早く
横付けし、乗員を救出しつつ敵軽巡に対し追射して牽制すると言う「離れ業」を行い、撤収を
無事に完了させたのである。
賞賛に値する。実際、戦後に発刊された第二次大戦海戦記の多くがこの「サイゴン沖海戦」に
頁を割いているのだ。
結局、「サイゴン沖海戦」で沈没した英国艦は重巡「ケント」、駆逐艦「ミストラル」「ミレイユ」
の三隻のみで、枢軸側は重巡「ザイドリッツ」が左舷後部に駆逐艦の雷撃を喰らって大量浸水、
中破と言う有様だった。
朝日と共に終結した枢軸艦隊は、あまりの戦果の少なさに驚愕した。
だが、「ライオン」を始めとする英国艦の無数のダメージを帯びている事は確かである。
枢軸艦隊司令ハンス・ノルトマン中将は、直ちに追撃を命じた。ドイツ海軍の狡猾さとヴィシー
フランス海軍の恨みの深さには定評がある。仏基地航空隊の航空機を総動員させ、U−ボート
による哨戒網を強化させた。ついには訓練中だったイタリア空母「アクィラ」までも動かした。
死地を脱したかに見える英国艦隊だが、枢軸軍の魔の手からはまだ逃れられたわけでは
なかった。
114 :
山崎渉:03/04/20 05:37 ID:???
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
「主砲は9門共に使用可能か。・・・・・・だが、今のこの艦は戦闘できる状態ではないな・・・今は
『逃げの一手』に徹するほかあるまい」
修理状況を知らせる報告を受けたあと、ベンボー中将はそう呟いた。
「まったくですな」
エドワード・グロッグ艦長が溜息をついた。
対16インチ用の装甲を被せられた「ライオン」は先程の海戦で喰らった無数の砲弾の多くを
ことごとく弾き返したが、「ダンケルク」か「リュッツォー」のどちらかは知れないが、中距離から
放たれた砲弾が一旦、艦の手前に着弾し、驚くべき事に水中を魚雷のように進み、水中のバルジ
を突き破って機関区にダメージを負わせたのだ。(戦記では「悪夢の一弾」「ビスマルクの怨念」
「黒い悪魔」と、紹介されている) そのため、速力は24ノットまで落ちた上に、振動で射撃管制用
電探が故障し、独仏に比べ性能の劣る測距儀による光学砲撃に切り替えなければならなかった。
艦の水上部に厚い装甲を張り巡らした代償として、対水雷防御は御世辞にも優れた物とは
言えず、ネルソン級に比べれば進化したと言っても、中々に設計どおりの防御力は発揮してくれ
なかった。
「もっとも、そのおかげで対艦防御能力は卓越した物となっておりますが、それでも痛し痒しと
言ったところですな」
艦政本部もその点を考え直しているようだ。現在建造中のライオン級の第二番艦「サンダラー」は
同設計だが、第二グループは舷側装甲を若干減じて、艦の幅を増やし、速力を犠牲にして対水雷
防御をより強固な物になるらしい。こうなると同型艦とは呼べない新型艦である。
「後から追ってくる敵か・・・」
ベンボーは指で海図をなぞる指を止めた。このまま何事も無く、セレター軍港に逃げ込めれば
万歳だ。しかし、このままやられっぱなしでは『見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)』を必定
とする英国海軍の名に恥じる気がする、それに、一手をしかける余地も有りそうだ。
「『ダンケルク』を我が制空権下におびき寄せるわけですか。乗ってくるでしょうか?意外と彼らは
大胆かつ、慎重ですが?」
「立ち往生しているように見せかける。それでも乗ってこなければ諦めるまでだ。上手くすれば
怠慢な空軍の艦載機つきで帰れる。奴らもキング・ジョージ五世の時には絞られたからな」
キング・ジョージが東洋艦隊に編入された当時、空軍は護衛するはずだったが、たどり着いた
時には独伊攻撃隊により海中に没した戦艦を探す羽目になり、英国首相直々の叱咤を受ける
事になった。(「私の生涯に置いて、これほど無能な空軍は見た事が無い」)
ちょっとした思い付きのつもりだったが、それはベンボー自身にも思いもよらない展開を齎した。
あと、『もう二息』で英勢力下に達する地点で、「ライオン」は待ち構えた。将兵たちも一丸と
なって、前夜の借りを帰そうと、意気込んでいた
「対水上・対空監視電波探信機。復帰いたしました!」
テレトークによる報告が入ると、ライオンの艦橋が沸いた。が、長くはつづなかった。
「接近中の編隊を確認! 二方向からやってきます。方位は・・・」
「たしかに治ったようだな・・・」(−□卅;)
突然に入った報告に、ベンボーは空を見上げた。
「釜の圧力を上げろ! 総員、対空戦闘配置!急げ!」
メディタレニアン・ブルーと呼ばれる地中海独特の青には敵わないが、インド洋の海も悪くは
無い。これが哨戒中ならばピクニック気分の彼らだが、じっと海面を見詰めていたガリバルディ
中尉は、ついに目指す目標を見つけた。
「二時の方向に戦艦のマストを発見!」
興奮を抑えきれない声だ。ガリバルディの報告を聞いた編隊各機は、機首をそちらに向けた。
訓練の時には見せなかった機敏な動き。皆、ガリバルディと同じ気持ちなのだ。
近づくに連れ。輸送船や標的艦などではない、軍艦独特な艦影がはっきりしてきた。巨大な
箱型艦橋と舷側にズラリと並べられた対空火器。見間違えようの無い、「ライオン」だ!
索敵機からの情報を元に、母艦「スパルヴィエロ」を発艦しておよそ30分。なんとか目標に
たどりついたようだ。第一関門突破に、ガリバルディはほっと胸をなでおろした。
イギリスもそうだが、空軍が設立されると飛行機に関する運用権はすべて空軍に移管されて
しまう。洋上偵察に使用される機体さえも空軍の管理下におかれ、海軍にとって不都合極まり
ない。 航空母艦を持つイギリスでもそうなのだから、母艦の持たないイタリアでは更に深刻で
あった。
(20年間の暗黒の時期を経た後、艦隊航空隊を復活させ、自分達の翼を取り戻した。だが、その
間のツケは大きく、現在も艦載機の調達には苦労している。)
kita----
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