今では何センチもの装甲をされた軍艦そのものがまれになってしまいましたが
かって20世紀初頭は現在のパソコン並みに猛烈に進歩した時代がありました。
ハーヴェイ鋼、クルップ鋼、ヴィッカース鋼、VH鋼・・・
主砲や機関の陰に隠れて語られることの少ない軍艦の装甲について語りましょう!
ちなみに日本の戦艦中一番舷側装甲が厚いのは富士級だったりする。
>>2
そうなんですよね。45センチくらいでしたっけ?
三笠とか半減して20センチ。でもこっちの方が堅い。
砲塔で言えば大和型の65センチ(前面)が最高でしょうかね。
日本の巡洋艦は、25ミリ。砲塔数が多いしそこで浮かして船体に回している。
ぜも比較的軽防御ではある。
でも、案外砲弾が突き抜けたりして助かるケースが多く、砲塔の軽防御が
致命傷になったことはないのでは?
むしろ魚雷の誘爆が多いです。
>>3 富士級の装甲は1892年のロイヤルサブリン級と同じモノなのだけど、1895年の
マジェスティック級のハーヴェイ鋼の方が2倍以上耐弾性は上だった。
僅か3年でこれだけ進歩するとは凄い。
そう言えば防御が弱いと言われるイタリア戦艦だが、ビットリオベネト級の
装甲はアイオワ級と比べても舷側、甲板では上、主砲で劣る程度で全く遜色
ないのだが、やっぱりダメコンの違いなんだろうか・・・
それともプリエーゼがまずいのか。
金剛級戦艦の近代化改装時に金剛以外の三隻は簡単に改装できたが、金剛だけは
装甲が格段に強固でドリルが折れたって話は本当?
すいすいスピードイタリア艦
>6
其のようですね。俺は幾つかの本で読みました。
当時日本は、冶金等基礎工業力が列国と比べて劣ってました。
今でこそ潜水艦の鋼板等世界最高級の物を使ってますがね。
実際、昭和30年代まで車のエンジンのコンロッドが消耗部品だった、等
鋼材では苦労してました。
一応・・・
金剛は最後の輸入主力艦(ヴィッカース社)です。
>日本の巡洋艦は25ミリ。
装甲のペラペラのチハ車と同じ装甲厚なのか・・・。
イタリア戦車の装甲は添加物の不足から割れやすく、不評だったそうですが、リットリオ級はどうなんでしょう?
やはり不良品だったのでしょうか?
あと誰かWW2の時の各国戦艦の鋼板の強さの違い知っている人いますでしょうか?
何でかというと、イギリスで作られた金剛ではドリルが通らなかったのに、日本で作られた残り3隻ではドリルが通ったという話を聞いたことがあるので前々から気になってるのです。
>>11 ガイシュツでしたね、スマソ。
でも各国の装甲強度は知りたいです。
13 :
名無し三等兵:01/12/31 23:17
第二次大戦時のドイツやアメリカ戦艦は第一次大戦時の戦艦より装甲が薄め(甲板を除いて)
だが、やはり装甲の進歩で防御力そのものは上がっているのだろうか?
>13
直接の理由は交戦距離の違い。交戦距離が近いと舷側を厚くする必要がある。遠ければ甲板を厚くする。
15 :
名無し三等兵:02/01/01 21:15
そう言えば大鳳とミッドウェーでは同じ500キロ爆弾対応の装甲飛行甲板なのに
ミッドウェーの方が装甲は薄い。
これはやはり装甲強度でアメリカが勝っていたということなのだろうか。
VC鋼の話でよければこんなエピソードが
大正4年の扶桑装着用VC鋼の領収射撃試験で
ヴィカース社のカタログデータより遥かに低い成績を記録し
建造中の扶桑の船体からVC鋼を全て剥がす事態が起きる。
原因はVC銑鉄材料にVC鈑製作時の廃材を再利用していた為。
このVC鋼が日本特殊鋼技術(特に艦艇用装甲鈑)に与えた影響は大きく
有名なHV鋼やNVNC鋼は化学成分の比率がNiとCrを基調としており
Si、Mn、P、Sにいたっては全く比率が同じ。製造法が違う変形VC鋼と
言ってもいい。
VC鋼の製造過程は銑鉄→溶解→圧延→浸炭→表面焼入れ
VH鋼は上記の浸炭作業を省略した表面硬化層のみの装甲板
NVNC鋼は浸炭以降の作業を省略した均質鋼
>>15 大鳳は水平爆撃に対応
ミッドウェーは急降下爆撃に対応
だったと思うが
18 :
名無し三等兵:02/01/09 16:55
97式チハの装甲板はどのような物を使っていたのでしょうか。
19 :
名無し三等兵:02/01/09 17:17
>>17 そうかもね…米軍の急降下爆撃用爆弾は1000ポンド(450キロ)
だから、これに耐える必要がある。日本軍は建造時急降下用爆弾は25
番だから、それ以上に水平爆撃及び砲撃対策の方が大事だったのじゃな
いだろうか?…オチ…内爆には耐えられない
20 :
参考までに…:02/01/09 17:30
大鳳は95ミリ、ミッドウェーは89ミリ、42年計画艦のオーディシャス級は102ミリ。
いずれも1000ポンド/500キロ爆弾からの飛行甲板防御を想定。
21 :
名無し三等兵:02/01/09 23:53
大鳳もあの飛行甲板全てに装甲を張っていたわけでない。
前後のエレベーターの間(幅はエレベーターと同じ)を装甲で
防御した。飛行機の運用に最低限必要なエリアとして。
エレベーターも確か装甲防御でしたっけ?
22 :
名無し三等兵:02/01/10 00:02
飛行甲板と同一ではありませんが50ミリ甲板が張られてました。
23 :
名無し三等兵:02/01/10 00:03
そうでした。信濃は75ミリでしたね。
24 :
名無し三等兵:02/01/10 00:33
非常に興味深いテーマなんだが・・。
どうも伸びんねこのスレ。
戦艦ガチンコスレなどをROMしていても、装甲の材質にまで深くつっこんで
考証するレスはなかなか見られない。きわめて専門的な分野だからだろうか?
なんとか育って欲しいage
25 :
名無し三等兵:02/01/10 07:40
現行のアメリカの原子力空母の装甲はどうなのかな。
26 :
名無し三等兵:02/01/10 07:48
オリコンの社長の名前。
27 :
名無し三等兵:02/01/10 07:53
小池ソウコウ。
28 :
へまむし入道:02/01/10 08:58
また聞きだが、大戦時の軍艦の装甲板を材料にすると性能のいい刃物ができるらしい。
グラーフツェッペリンの装甲はどの程度のものだったのでしょうか?
30 :
名無し三等兵:02/01/10 09:00
31 :
名無し三等兵:02/01/10 14:51
大和の主砲塔前盾はいくつかのパーツをモザイクみたいに組み合わせて
形成されているそうで、少なくとも4つくらいはありそうに見える。
案外もろいかも?
他国の艦ではそのへんはどうなっているのだろう?
いや、他国でなくとも大和以前の我が戦艦ももっと薄いから、
ひょっとして1枚板でできていた?
アメリカでは信濃用の主砲前盾装甲を打ち抜いて
マンセー記念碑にしているそうな
33 :
名無し三等兵:02/01/10 19:50
舷側装甲が300ミリの垂直装甲である長門級と278ミリの傾斜装甲である土佐級では
どちらの防御が勝っているのだろう?
34 :
名無し三等兵:02/01/10 20:00
>34
面白い写真ですね。
表層は衝撃の余り割れ散ってますが、
内部は本当に粘土を抜いたかの様に見えます。
#これって焼き入れのせいなんですかね。
至近距離から打ち抜いているようなので、あまり参考になる
標本じゃないですけれどね。
>>34 おぉー、それそれその画像だよ、アップサンクス。
38 :
名無し三等兵:02/01/10 20:29
主砲前盾装甲と言う事は650ミリ?
39 :
名無し三等兵:02/01/10 20:29
>>36 砲戦距離で打ち抜けないんだから、どうやっても参考にはならん
40 :
名無し三等兵:02/01/10 20:35
あれでしょ、
いくら装甲が厚くて敵の主砲○◎●mmくらってもそれは理想の場所に
例えば、正方形の板があってその中心部にあたった。場合でしょ
その防御力を発揮できるのは。
なんかの本で読んだうろ覚えの知識。スマソ
>>36 あれはアメリケンNo.1を自己誇示する為のオナニーものだからね。
42 :
名無し三等兵:02/01/11 00:29
そもそも前盾はかなり傾斜して取り付けてあるから実戦であんなふうに
垂直に命中する場合はかなりな遠距離からの砲撃になるはず。
したがって弾速が決定的に足りず貫通できない。
0距離なみに近くからだと弾速は最大だが撃角の関係でやはり貫通できない。
よってあれはまやかし。そうまでしてアイオワのほうが強いと言いたいか!
はらがたつよ。
44 :
名無し三等兵:02/01/11 01:05
>42他
その認識はちょっと甘い。
アメリカの装甲鈑対弾性能評価の作業基準が、近距離(300だったかな)、強装薬で
とにかく板をぶち抜いて残速等を計測する方法だから、アレはアレでデータを取れ
てるハズ。つか、米軍の技術評価レポートにあるし、あの板のデータ。
でも展示意図には同意します。えぇ、微妙にむかつきますとも。
44様、評価レポートもしお手元にあれば色々教えていただけませんか?
大分昔、抄訳のようなものを読んだ覚えがあるんですが、殆ど忘れてしまったので。
46 :
名無し三等兵:02/01/11 09:36
>>15,
>>17,
>>19-23 大鳳の防御方針は500kg爆弾の急降下爆撃に耐える事。
ミッドウェーの防御方針、1000ポンド(450kg)爆弾の急降下爆撃に耐える事。
よく大鳳は95mm・ミッドウェーは89mm、似たような防御でミッドウェーは大鳳より薄い、
だから日本の装甲鈑はアメリカより劣る、といった論調が見受けられるようです。
学研の歴史群像シリーズ「大鳳・信濃」でも平野鉄雄氏が大鳳の飛行甲板防御に関して、
「装甲鈑製造技術に大きな差があったと思われる」と、たいへん誤った記述を繰り返しています。
航空母艦の飛行甲板防御に関しては単に装甲の厚さだけをみるのでは無く、
さらに前段階の基礎になる爆弾の性能、貫徹能力を先に注目する必要があります。
この視点で見れば日本の爆弾は米国のものより貫徹能力が高い為、若干厚みを要したとも言えます。
47 :
名無し三等兵:02/01/11 09:37
現実には大鳳で耐500kg爆弾防御甲鈑としては本来75mmCNC甲鈑のみですので、誤解なきよう。
当然その下の20mmDS鋼板も含むのであればより安全と言う事になり、
さらに高い高度からの命中に対しても対抗できるでしょう。
【九九式50番通常爆弾2型・・・貫通能力(実験値)】
鈑厚50mm/投下高度600m/均衡撃速105m/sec/撃角65°11'
鈑厚70mm/投下高度750m/均衡撃速130m/sec/撃角67°6'
ミッドウェーに関しては詳細資料がありません。多くの雑誌記事・文献では「89mm」という半端な数値
が挙げられているようですが、対1000£爆弾ならばこれが装甲の全厚を指すとは思えません。
エセックス級空母の飛行甲板構造が、梁の上に5mmの鋼板を装着し75mmの木材を敷き詰めているところから、
ミッドウェーでは梁の上の鋼板に3/4インチ、19mm鋼板として装甲重量を支えるものとし、
そこに70mmの防御甲鈑を設置したのではないでしょうか。
【米海軍航空爆弾・・・貫通能力】(先の学研のムック、平野氏の記述から抜粋)
500ポンド(225kg)/鈑厚38mm
1000ポンド(450kg)/鈑厚63.5mm
48 :
名無し三等兵:02/01/11 09:37
また、爆弾の貫通能力に対してどの程度の安全を見込むかによっても鈑厚は変化するでしょう。
さらに、大鳳の場合は飛行甲板が強度甲板として船体構造を支える必要があるのに対して、
ミッドウェーでは飛行甲板にEXP.JOINTを持っており、格納庫甲板を強度甲板としています。
これらの点を踏まえて両者の装甲鈑をみれば、どちらの甲鈑製造技術が優れていたという論は
根拠の浅はかな暴論に過ぎない事が分かると考えます。
49 :
名無し三等兵:02/01/11 09:57
50 :
名無し三等兵:02/01/11 10:17
昔調べた甲板の歴史を少し
スペインで1537年に両舷に錬鉄板を吊したのが装甲板の始まりである。
1854年にフランス人のデュプイドロームが厚さ11cmの錬鉄甲板をつけた浮き砲台を建造。
英の軍艦インフレキシブルで60cmのものが出現した。このときのものは板厚を厚くすると
板の品質が低下したので、半分の厚さの板を木材を挟んで合わせたサンドウィッチ甲板が採用された。
仏のシュナイダー社は1876年に炭素鋼甲板を発明した。これは錬鉄の70%の厚さで同じ耐弾力を
示したが、錬鉄より粘靭性が劣り、割れやすかった。
英のウィルソンは錬鉄を基板としてその上に全厚の1/3の厚さの硬鋼を鋳込んで鍛接複合甲板を開発した。
1886年頃仏は、Niを3.65%含むNi鋼甲板を作り出した。
耐弾力を高めるには強度を高めなければならないが、強度を上げると弾丸を破砕する力は強くなるが
脆くなり割れる危険性があった。このNi鋼甲板を改良したものが、炭素鋼あるいはNi鋼の表面だけを
浸炭焼入れするハーベー甲板である。クルップ社はこの特許を購入して浸炭法を研究して、
2倍の厚さの錬鉄甲板に匹敵する耐弾力を得た。またC0.3〜0.4、Ni3〜4、Cr1.75〜2.0%
のNi-Cr鋼甲板を試作した。これも2倍の耐弾力を得ることができた。
この2つを組み合わせたものがクルップ社のKC甲板である。
ビッカース社のVC甲板も化学成分と浸炭剤に改善を加えているが基本的には同じものである。
これらの甲板の構造は、裏面は靭性に富むトルースタイト組織で弾丸による亀裂や貫通を防ぎ、
表面の1/3は硬いマルテンサイト組織で特に浸炭部の数mmはガラスのように硬く、
撃突した弾丸の弾頭を破砕する。
52 :
名無し三等兵:02/01/11 10:55
おお!
一晩で濃いレスがたくさんついている、うれしい!
この調子でこのスレ育てていきましょう!
53 :
名無し三等兵:02/01/11 12:39
>>34 50口径16インチ砲を2本繋げて(100口径16インチ砲相当)装甲に垂直に当たるように角度を
調整して炸薬も通常の強炸薬より強力な物を使って撃ち抜いたって本当?
54 :
名無し三等兵:02/01/11 12:43
>54
発射距離もきになる・・・
55 :
名無し三等兵:02/01/11 12:51
ビスマルクで使われたヴォタン合金っていうのはいい素材なの?
ニッケルにいろいろ混ぜてるみたいだけど。
ヴォタン合金は同世代の英仏米の装甲板と1割程度しか上を行ってないぞ
>56
1割いけばかなり高性能と言えない?
具体的な数値としてはどのくらいなの?
それとヴォタンには硬質と軟質の2種類があった、という話しをどこかで
読んだ記憶があるのだけどこれの真偽は?(教えてクンですいません。)
スゥエーデンの鉄鉱石とウェールズ製コークス
これ最強。通の装甲鈑を作る時最初の原料の頼み方。
屑鉄再利用の日本。
もうアホかバカかと(以下略
第1次大戦ではスウェーデンの鉄鉱石が入ってこなくなり屑鉄再利用していたが、
その屑鉄すら不足して、なおかつ炉の火を落とすこともできずに、工場にある鋼材を
旋盤で削って原料にしていたというお話があります。
>>56 1割かぁ、そうなると後は比重の問題だね。1割強いけど3割重いんじゃ
ダメダメだしね。
1割って装甲材質の話になると良く出てくる数字ですよね。
聞いた話だと、
VHはVCや、アメリカの均質より10%強力。
アメリカの表面硬化はVHより10%強力。
既出のとおり、ヴォダンはイギリスのものより10%強力。
とかですね。
具体的な実験結果みたいなものを読んでみたいですね。興味は尽きません。
62 :
名無し三等兵:02/01/12 04:38
>>61 > 具体的な実験結果みたいなものを読んでみたいですね。
オリジナルのレポートじゃなくてもいい?
63 :
名無し三等兵:02/01/12 04:42
>>58 >屑鉄再利用の日本。
今でも電炉業界の主要原料は屑鉄ですが。
しかもその屑鉄から造ったH鋼で東京都庁他の高層建築を造ってるけどね。
64 :
名無し三等兵:02/01/12 04:47
65 :
名無し三等兵:02/01/12 05:11
に
66 :
名無し三等兵:02/01/12 06:10
電炉→屑鉄って、そんなに特異なことなのか? マジレスきぼん。
だから屑鉄禁輸にしたのか?
67 :
名無し三等兵:02/01/12 06:30
国内の製鉄メーカーは大きく分けて
高炉メーカー・・・新日鉄・川崎製鉄・住友金属・神戸製鋼etc
電炉メーカー・・・東京製鐵・関東特殊鋼etc
の二つに分けられ、高炉メーカーが基本的に鉄鉱石などの原料から
鉄鋼製品を造るのに対して、電炉メーカーは屑鉄や金属廃材から製品
を造ります。工程的に簡単に言えば屑鉄・廃材を溶かした方がコスト
面では有利ではあります。また、屑鉄利用の鉄鋼製品でも原料から生産
された製品とは基本的に遜色はありません。
当時の国内状況からいえば、原料輸入に関わる船舶等の流通コスト及び
軍事力による保護を含む政策的措置と、屑鉄輸入に関わる流通コストと
安全性、すなわち強国からの輸入は国際情勢の変化があっても安定供給
可能などの面からは妥当な経済体制といってもよく、その原料供給国と
喧嘩してしまったのでかかる歴史を歩んでしまった・・・と。
68 :
名無し三等兵:02/01/12 07:00
69 :
名無し三等兵:02/01/12 07:28
>>67 大変ありがたい。
もっと聞いて良いか? 新興工業国は、時代が違っても、同じ道をたどるのか?
韓国や、中共は、意外にはやく高炉建設してるみたいだが。北鮮の重工業政策(もう40年も前の宣伝だが)というのは、やっぱり高炉を目指したのか?
70 :
名無し三等兵:02/01/12 07:35
韓国や中国の高炉技術は日本の技術を輸出したものだよ。
POSCOとかCSCとか。
71 :
名無し三等兵:02/01/12 14:51
軍用特殊鋼に関しては高炉、平炉だけじゃなく還元方法も重要。
日本海軍の艦艇用装鋼鈑が酸性平炉で作られてるのは、塩基性より還元反応が
マイルドだからだという要因が大きいです。
あとスウェーデン銑鉄の話が出てるけど、日本も昭和期には満州本渓湖で低燐
鉱を抑えて木炭銑鉄で製造してるので、PとSについては悪くない数字を出し
てます。
塩基性でないと燐を取り除くことができないので質のいい鉱石が必要という
側面もあります。
あと屑鉄再利用も素性のわかっている屑鉄でないといろいろ問題が出てきたそうです。
62様、OK
ありがとうございます。あのサイトにあったんですね。
76 :
名無し三等兵:02/01/16 02:05
日本海軍はわりかし鋲に頼って、溶接はあまり使っていないと聞きました。
被弾時の抗堪性の観点では、後者の方が鋲が飛んだり、切れたりせず、
頑丈であるとの話も聞きます。
実際はどうなのでしょうか?
ちなみに潜水艦で深深度潜航の際、鋲が飛ぶのはうそだとの話も聞きましたが
私としては判断しかねます。
62様、教えていただいたところ読んで来ました。
装甲材質自体はあまり良くない評価のようですね。
第一次大戦時の英国レベルだとか。
但し砲塔正面は、厚さと角度によって事実上いかなる砲でも貫通できないという評価でしょうか。
英語力がないのでこの様に読み取ったのですが。
78 :
名無し三等兵:02/01/16 10:10
装甲の取り付けはほとんど鋲であったようです。甲板自体が特殊な熱処理を施しているので
溶接がしにくい側面があります。ほかの国はどうであったかは知りませんが
ちなみに大和の舷側甲板は3.6×5.9m、重さ68.5tの甲板を組み合わせてできています。
>76
昔は溶接技術・・特に溶接棒・・が悪かったというのに大きな原因があります。
それでも終戦の頃には改良につぐ改良で、世界トップクラスの溶接技術保持国に成長
していました。戦後の一時期造船王国だったのはそこらへんに原因があります。
潜水艦も最後の方は溶接艦もあったと思うのですが・・・(覚えてないです)
80 :
名無し三等兵:02/01/16 11:44
>>79 新規建造分については今も世界一ですが何か?<造船
81 :
名無し三等兵:02/01/16 11:47
82 :
名無し三等兵:02/01/16 12:26
装甲板の取り付け殆んどの場合ボルト留めです。
比叡が練習戦艦に改修された際、舷側装甲板を取り外したために
喫水が浅くなってしまいました。
>76
「戦艦大和誕生」前間孝則 著
爆撃実験の際目標を半分鋲接、半分溶接で造ったとの記述があります。
リベット自体の飛散と、リベット孔がミシン目の様に働いての破断がおきたようです。
>77
その解釈でいいと思います。
各国の装甲板の比較は以下にあります。
ttp://www.warships1.com/W-Nathan/Metalprp.htm 焼き入れ時に急冷できず、焼き鈍し状態になって割れ易い様ですね。
注目に値するのが、7.21inVH実験装甲板に関する記述。
鋼材の品質は他のVH甲板同様で他国の鋼材に劣るもの。
表面硬化層の厚さを35%から43%に変えたものですが、
“米射撃実験場で実験を受けた同様の厚さの表面硬化装甲板の中で最良の性能を持つ”
実用化された装甲板では最良の評価を受けている独KC n/Aをも超えるとされています。
趣味の人提督、ご無沙汰です。
なるほど。あのサイトは以前アルザス氏に教えていただいたのですが、最近の体調不良もあってデータ部分しか読んでいませんでした。
私は陸軍マニアと思われていますが、もともとは海軍ファンでして。
詳しい解説感謝いたします。
85 :
名無し三等兵:02/01/17 01:49
日本戦艦、巡洋艦の舷側装甲は、改装による喫水の増加により、水面下へ
沈んでしまってます。まあ、長距離戦g増えてきているので以前ほど横の
装甲は関係なくなっているが、問題ではある。
大和型の有名な煙突内の子孔が開いた装甲板に関しても、実際は
大きな孔しか空いてなかったと言う可能性もある。
86 :
名無し三等兵:02/01/17 01:59
>趣味の人様
硬度が高いほうが割れやすいのでないかと思うのですが、如何でしょ
うか。
あの鋼板は、表面硬化層の硬度が十分ではなく「貫通されやすい」と
いう評価ではないのかという気がします。
キチンと読んでいないので的はずれかもしれませんが(汗)
85様、蜂の巣甲板が実は装着されなかったという説は私も聞いたことがあります。
何か、結局あの部分の図面が無いのだとか。25粍?の装甲板の方はあるそうですが。
88 :
名無し三等兵:02/01/17 05:00
>>87 戦後、米国の旧海軍装甲のテストデータを見せ付けられても、
佐々川清博士をはじめ、誰一人として動じなかった事実もあることを忘れない方がいいよ。
>佐々川清博士をはじめ、誰一人として動じなかった事実もあることを忘れない方がいいよ。
そーゆーの事実って言わない・・・
90 :
名無し三等兵:02/01/17 05:47
>>89現実に佐々川氏は米国の評価に対しては
「実験条件が違うのでそのまま受け取れるものではない」(世界の艦船1958?)
という『事実』があるよ。
>81氏
有難う御座います。
92 :
名無し三等兵:02/01/17 08:16
旧海軍の鋼板・甲鈑製造関係の技術者は米国の評価に関してはどれだけ辛口でも
一顧だしないところがしょっちゅうあったみたいだね。
逆にイギリスの終戦直後の調査団やその後しばらくたってからのレポートには
食い入るように何度も読み直して勉強していたらしい。
いや職業柄、上の連中から聞かされた話なんだがね。
>第一総軍氏、趣味の人氏
Nathan Okunは米海軍艦船局で装甲鈑の実務者としてミズーリの再就役に際し、
その主砲塔バーベットの装甲割れの対策に従事した人でプロではあるのですが、
彼のサイト若しくは著作の中で日本海軍技術を評価したものは珍しい方です。
平たく言えば「貶す事」に終始しているとしか取れない部分も散見されます。
どの部分が、と言われても抜き出して書く事は遠慮しますが、残念な事に、
英文の表現にかなり下品なスラングめいた言葉と文体がいくつか見受けられる
ので、我々は完全に嫌われているのはどうも間違い無いようです。
できれば彼のCNC甲鈑各種の評価を聞いてみたいものだと思っております。
>86
熱処理の結果形成される鋼板組織に問題があるようです。
厚さ17in〜26inの超厚板の内部に形成されるbainiteという組織が脆いそうで。
大和の装甲板が脆いとの評価を受け、薄めの7.21in甲板が優秀との評価を受けるのとも整合性があります。
>>83上部には鋼板組織・熱処理等に関する説明もあります。
英語を読むのが大変という方は「鋼のおはなし」(日本規格協会)を読むとわかり易いです。
独KC n/A云々は日本人の開発力を貶していると取れますが、
相手が勝手に想像した開発経緯など無視していい話。
日本独自の装甲で、7.21in甲板の高評価の通り出来た現物は優秀との評価を受けたんです。
表面浸炭の手間を省き量産性を上げたことも考えれば、誇り得る結果と思います。
>>93
>>83の中にはMNCもCNCもあります。悪い評価とは思いません。
CNCに至っては、WW2以前で戦略物資の置換に成功した唯一例とまで書かれています。
ニッケル・クロムといった戦略物資を節約しつつ諸外国の甲板並の性能を持つのですから、
技術的には勝利ともいっていい内容、評価です。
VHの項にある米実験甲板の記述、CNCの項にある英米の低合金鋼研究の記述なんて、
私から見ると負け惜しみに見えるくらいですが。
95 :
名無し因果応報:02/01/17 20:15
溶接技術に関しては戦争末期に一気に開花するんですよねぇ。外出の伊201潜も
そうですが、やはり一等輸送艦と一号海防艦を忘れてはならんでしょうね。あの
量産は溶接あってのことでしょうて。
溶接棒がいいのがなかったらしいですね。
97 :
名無し三等兵:02/01/18 02:53
軟鋼だったんで溶接が容易だったのでは?>ハー201,一等特輸送船
98 :
名無し三等兵:02/01/18 06:05
【旧日本海軍の溶接技術について】
「日本の軍艦/福井静夫著」P214-216参照。
99 :
名無し三等兵:02/01/18 10:03
>95
船体の構造材として、今まで使われてきたのがD鋼やHT鋼であり、あまり溶接に
適していなく、昭和16年に電気溶接に適した高張力鋼の開発がはじまります。
これが伊201潜などに使われました。溶接技術とそれに適した材料が戦争末期に
できたということですね。
100 :
名無し三等兵:02/01/19 13:47
装甲とか関係ないが、高雄型の艦橋には、かなりの軽金属が使われていたらしい。
何気に司令塔を除けば、艦橋の防備は軽防御。
大和型の艦橋はどうだったのだろうか?
大和は二重円筒構成で航海艦橋や戦闘艦橋は25mm防弾板防御、司令塔自体は対46cm砲弾防御、
測距儀まで繋がる各種電路は対20cm砲弾防御では?
何十センチだろ。
長門の側面装甲が40センチ。
103 :
名無し三等兵:02/01/19 19:32
よく戦艦の砲塔の天蓋とかの装甲を厚くしたりする改造が行われるが、
あれは新しい装甲に張り替えるのだろうか?
それとも古いやつの上に更に張るのだろうか?
104 :
名無し三等兵:02/01/19 19:57
重ね貼り>103
105 :
名無し三等兵:02/01/20 03:30
>>103主砲の貫通能力を精緻に実験した上で『厳密』な『計算』をして必要最小限の装甲を貼り足すのです。
万が一余分な重量をかけたりすると、砲塔の旋回速度が遅くなってしまいます。
それにどんな船でもそうですが、重心より高いところに重量物を持ってくるといわゆる「トップ・ヘビー」に
なって、転覆など予期せぬ事態に陥る事があるからです。
特に友鶴・第4艦隊事件を経験した日本はデリケートにそういった重量計算には神経を使っていました。
106 :
名無し三等兵:02/01/20 03:31
107 :
名無し三等兵:02/01/20 03:33
108 :
名無し三等兵:02/01/24 00:40
補修あげ
>>94 >熱処理の結果形成される鋼板組織に問題があるようです。
同じ話が「海軍製鋼技術物語」という書籍に載っておりました(堀川
一男氏著。氏は元呉海軍工廠製鋼実験部先任技術士官)。当初実験部で
は「急速冷却」による「焼き入れ」を想定していたが、製造現場では「
急速冷却」の冷却速度が遅かったため結果的に「焼き鈍し」となってし
まい、一部装甲鈑の内部に脆い組織が発生した、とのことです。この原
因が突き止められたのは昭和18〜19年との事。
やはりあの当時の日本は技術面では成長途上だったんだねぇ。
様々な問題にぶちあたり、それを次々にブレイクスルーしてるとは。
軍事に金をつぎ込んでいましたから、その関係のものは戦後になって鉄鋼、造船、自動車関係は花開きましたが
航空関係はだめでしたね
112 :
名無し三等兵:02/01/28 00:54
>>111 航空産業を「禁止」されていた事と、終戦まで航空に携わっていた人が別分野に散ってしまっていたから当然。
113 :
名無し三等兵:02/01/30 16:44
飯尾憲士著書「艦と人」似登場する福田烈氏はどうなんだ?
日本造船界における溶接技術の先駆者と思うけど。
114 :
名無し三等兵:02/02/04 20:43
age
つーか軍艦スレで一番まともだろ、これ
まあ、ここまで分かっている人は少ないでしょう。
表面硬化とかいってもねえ。
116 :
名無し三等兵:02/02/10 04:38
450以下なのであげときまふ。
保守
118 :
名無し三等兵:02/02/21 19:14
498なのであげ
しょうもない疑問だが、軍艦の装甲って、製鉄所で製造されてから船に使われるまで
どうやって保管していたんだろうか。
錆やスペースの問題、雨天後の小規模の陥没が起きそうな気が・・・
119 :
名無し三等兵:
また天気などでも伸びたり縮まったりして大変だったらしい。
サイズが大きいから、結構な誤差になる。