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名無し三等兵:
「第二の罪 ドイツ人であることの重荷」(ラルフ・ジョルダーノ)
所によっては報復への不安がはっきり確認されることになったが、
その背景には、自己を過大に評価する人間に典型的な、あの深い
不安感もひそんでいた。長いこと抱いてきた優越感の幻想が、いまや
世界史のなかで正当に報いられることもなく崩壊に直面するや、今度は、
これまでとはまったく変わった条件の下で、自らが行った苛酷な行為が
どんな結果をもたらしうるかという、臆病な疑念が忍びよってきた。
ミッチャーリヒ夫妻がナチ・イデオロギーの核心部分に関して次のように
論評している予感が頭をもたげてきたのだ。
「軍事的崩壊とともに、<ドイツ人種の保護>のための措置は、ナチスの
狂気の範囲外で判断されていたものに再びなった。犯罪なのだ!」
ナチスの狂気の範囲外・・・・・・。すべての期待、憧憬、願望、希望、そして
教え込まれたファナティズムに反して、一九四五年一月以後は、東方戦争が
もうすぐ「下等人間」の勝利に帰するであろうことには、何らの疑いもなかった。