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― 八月三十一日、
ヒトラーは、外相J・リベントロップの覚書をうけとった。
外相は、ソ連軍のルーマニヤ進攻によってドイツは最重要戦略物資である
石油の確保に支障をきたすことになった、これはこれまでに失った資源事情
をさらに極度に悪化させる、と指摘した。
ドイツはすでにポルトガル、スペインのタングステン、ウクライナのマンガン、
トルコのクローム、南フランスのボーキサイトの入手をふさがれた。
フランスでは、米英軍の進出でドイツ側が各地に配備した大量の工作機械
も放棄する結果になっている。
いま、ルーマニヤをソ連にわたし、さらに他のバルカン諸国もドイツ陣営
から離脱する気配を見せはじめた点を考えれば、「終戦」の時期にさしかか
ったと判断すべきであろう。
「本職は、ここに総統が賢明なる決断を下し、本職に対米英和平交渉の権限
を与えられんことを要請するものである」
外相リベントロップは、そうヒトラーに献言していた。