炭疽病 [anthrax] : 炭疽菌 [Bacillus anthracis] がつくる 炭疽菌毒素 [anthrax toxin] による症状
皮膚感染 (皮膚炭疽) ・ 呼吸器(肺炭疽) ・ 消化器(腸炭疽) で感染する場合が多い
皮膚炭疽 : 創傷から進入し、発熱、倦怠感を伴い、重症例では敗血症を起こし氏亡する
肺. 炭. 疽 : 炭疽菌芽胞を含む塵埃を吸入した場合、致命率の高い肺炎を起こす可能性がある
炭疽菌 [Bacillus anthracis] : 炭疽病 [anthrax] の病原菌
典型的な土壌菌であり、干ばつ・洪水・長雨などのあと、土壌中で芽胞(種のようなもの)を
形成し、芽胞状態で長期間生存する。主として草食獣(家畜)を侵す。
比較的簡単に大量培養でき、かつ、芽胞の状態では長期間(数十年)菌が生きるため、
保存性に優れた点から、人為的なテロなどの生物兵器の一つとなる可能性がある。
(731部隊において、大量の炭疽菌を培養・人体実験し、兵器としての有用性が確認された)
この菌は 42.5℃ で血液培養すると弱毒化がみられることが知られ、簡単な生ワクチン作成法
として用いられていた。家畜の予防接種にはこの弱毒ワクチンが古くから用いられている
ただし、米で問題となっている炭疽菌は 変異型 [ames] であり、ワクチンが有効とは限らない
炭疽菌毒素 [anthrax toxin] : 炭疽菌 [Bacillus anthracis] がつくる毒素
3個のタンパク質を含む
浮腫因子 [ edema factor ] (EF , 因子 T)
防御抗原 [ protective antigen ] (PA , 因子 U)
致氏因子 [ lethal factor ]. (LF , 因子 V)
PA は炭疽の特に危険に晒された人々に対し、ワクチンとして用いられる
炭疽菌毒素の生物学的な作用は主に LF の(未知の)活性によるとされる。
作用については実験結果による考察の域を出ず、メカニズムの解明は終わっていない