簡単な流れ
警察の動きとしては、
当日に遺体の身元が異例とも言える速さで判明した。(焼け残った靴のおかげ)
遺体は焼けてはいたが、幸運にも(?)指紋はとれたので、
捜索願を出し、しかも靴が娘の物だと認めた被害者両親の協力のもと、
被害者の自室などに残された指紋を取る事に成功。
結果、事件発覚の次の日(18日)には正式に被害者が橋向さんだと判明。
(指紋も取れなければ歯科医(第三者)資料提供を要請する事になり、もっと時間が掛かる。まあもう一日程度だろうが)
正式ではないが、靴の件でほぼ確定していたので発覚当日には被害者勤務先での事情聴取を行う。
被害者の携帯も同日に発見。
しかしこの日には発信履歴も消されていた事から、被害者の置忘れの可能性もある。
(同時に近所の聞き込みから炎の目撃者の証言が出る。これにより犯行時刻が23時頃までとわかる)
携帯電話の会社にログの提出を要請。
携帯電話の社員、18日にファックスで警察にログの情報を送る。
それにより、大越の多数のイタ電と、被害者死亡後の架電が判明する。
携帯は被害者本人の置忘れではなく、犯人が戻したものと認定される。
事情聴取での大越の態度の異常さと、イタ電の事実、犯人により使用された携帯がロッカーに戻された事から、
内部の犯行、特に大越が怪しい事がわかる。
被害者が焼かれたのが「灯油」であることから、事件に近い日に大越も灯油を買っていることを「推測」
大越の写真を持って、ガソリンスタンドなどで聞き込みを行う。
しかし実際は「警察は大越が灯油を買った事実は掴んでなかった。」
大越が前日に灯油をふくみやで買ったというのは任意同行時(14日)の大越自身の証言で「初めて」わかる。
自宅でレシート押収、社宅でポリタンク押収。
ふくみやに「この日付の灯油はどこから仕入れたか」を聞き出し、仕入れ元の灯油と社宅にて押収した灯油を識別検査に出す。
結果、別のものと判明する。
偶然シリーズ
偶然 被害者が 自分を振った恋人I氏との三角関係の相手だった。
偶然 多数のイタ電、無言電話を掛けた相手が殺害された。
偶然 無言のイタ電を被害者が殺害されていた深夜から止めてしまった。
偶然 当日の朝(事件発覚前)、被害者の番号を自分の携帯から消した。
偶然 親しくもない被害者を誘い初めて一緒に帰った日に殺害され最終接触者になってしまった。
偶然 事件前と事件後に殺害現場付近のガソリンスタンドでガソリンを入れました。
偶然 ふだん買わないタンク入り灯油を、突然事件当日コンビニで買いました。
偶然 購入した灯油はフタがゆるんでおり(かつてそういった事例はない)、車内にこぼれた為反応が出てしまいました。
偶然 疑われている事を知り、なぜか満タンのはずの灯油を捨て去り、あわてて買いなおしました。
偶然 そして、買いなおした灯油も使っていないと言うのに、押収された時には500ミリリットル足りなく
偶然 その買いなおした灯油まで、使っていないのにフタがゆるんでこぼれた為液だれがついてました。
偶然 被害者の携帯が殺害後に発信されていて
偶然 その電話をかけた先が 被告の勤めている会社と被告をフッタ恋人だった。
偶然 その携帯からの受信アンテナ方向が被告の早来局に近い被告人方及びその周辺受信されている。
偶然 クルマのタイヤが焦げました。
偶然 机の上に開かれていたHさんのメモ帳が見え、二人のつきあいを伺わせる記述を発見する
偶然 3/7に板持氏の携帯電話がなぜか盗まれる。
偶然 被害者の携帯電話番号など知らないと言っていたのにもかかわらず被告の自宅から
盗まれたはずのI氏の携帯電話から被害者の名前の列の電話番号を書き取ったメモが見つかった。
偶然 3/8、Hさん宅に向かう板持氏の車を発見して追尾。Hさんの家に入っていくところを目撃
偶然 3/11夜に、千歳駅前に停車するHさんと板持氏の車「らしき」ものを発見する
偶然 3/12にも、千歳空港に兄を迎えに行く途中のI氏をローソンで見つけて
(電話を終えたI氏に近づき「他の女のとこに電話してたんでないの」と詰め寄る。)
偶然 イタ電と灯油の事は忘れていて 弁護団には言いませんでした。 でも隠そうと意図したわけじゃありません。
偶然 3/18にはなぜか自分の携帯電話も紛失しました。
偶然 事件同日の朝1人で女子休憩室に行き、被害者用ロッカーを開け制服があるかどうか確認しました。
警察が来て指紋を取る旨を言ったときそれを思い出しました。
偶然 判決後の心の叫びが 「私はやってない!」「殺してない!」 ではなく「納得いかない」であった。
偶然 被害者のロッカーキーが被告の車のダッシュボードに入ってました。
偶然 殺害された日に誰からも気づかれずに1時間半も本屋で立ち読みしてた。
偶然 逮捕直前に、ふっきれたことになってたはずの元彼にやりなおしたい旨の手紙をしたため、見つかりました。
偶然 後日、遺留品が焼却されていた現場を被告に弁護士をつけた人が通報。
偶然 被告の知人は2、3日前にも現場付近に行っており、焼却された期間と被告のアリバイまでを証言することができる。
偶然 その知人に、被告は家宅捜査前に3日続けて会っている。
偶然 同僚、元不倫相手、と証言が真っ向から食い違うことが多く、
覚えていないということが多い割りに、相手の記憶違いだと言える。
事件の経過
1998年1月 大越が日本通運株式会社札幌東支店キリンビール事業所にアルバイトで採用され、工場構内課(配車センター)に配属される
1998年11月 橋向が本通運株式会社札幌東支店キリンビール事業所にアルバイトで採用される
1998年9月 板持貢からの求めで、大越と板持の交際が始まる(同僚には秘密)
1999年7月 大越、橋向が契約社員になる
1999年9月 橋向が配車センターへ異動
2000年2月6日 恵庭のスナックで大越の同僚の送別会の二次会が行われ、帰りに大越が橋向をJR長都駅まで自分の車で送る
2月19日 ススキノのスナックでキリンビール事業所の従業員の歓送迎会の二次会が開催される
2月27日 大越が板持にそれとなく別れ話を持ち出され、板持に自分と結婚する意志がないことを知る
3月4日夜 板持が橋向に電話をかけてドライブに誘い、承諾を得たので橋向宅まで迎えに行き5日4時頃までドライブした
3月6日 大越が板持と橋向の中を疑う心中を元交際相手や友人に電話で話す
3月6日 大越が板持の携帯電話の発信履歴を盗み見て橋向の電話番号をメモする
3月6日15時25分 大越が配車センターの電話から橋向の携帯電話に電話をかけ、番号が正しいものと確認
3月7日 大越が板持の携帯電話を盗み、メモリーに登録された橋向の携帯電話番号を確認した上で、は行付近に記載された女性の名前とその電話番号、暗号で記載されていると思われる者の電話番号を抜き出してメモする
3月7日20時6分ごろ 大越が板持の携帯電話の1417番を押して留守番電話の会話を聞き、探りを入れる
3月7日夜 板持が携帯電話の紛失に気づく
3月8日 板持がNTTドコモ北海道に連絡して通話中止手続きを行う
3月8日夜 大越が自動車を走行中、板持の車を見かけて尾行、板持の車が橋向宅の牧場に入って板持らしき人影と橋向が話しているのを見かけて動揺、元交際相手S・Hに電話して泣きながら苦衷を漏らす。その直後に電話をかけてきた板持とローソン千歳朝日町店駐車場で話す
3月9日 大越が元交際相手S・Hに電話をかけて失意を伝える
3月9日 キリンビールの送別会があり、大越が橋向を自分の車に乗せて千歳市内の居酒屋まで行った。帰り道はさらに同僚二人を乗せた
3月11日夜 ススキノで高校時代の同級生と飲食していた橋向を板持が自動車で迎えに行き、JR長都駅前まで送る。
板持に交際を持ちかけられた橋向は、JR長都駅駐車場に駐車中の板持の車内で交際に同意。
一方、大越がドライブ中、同駐車場に板持のものらしき車と被害者のものらしき車とが並んで止まっているのに気づき動揺
3月12日昼ごろ 大越がK・Iの前で突然泣き出して板持や橋向のことを話す
3月12日夕方 大越がK・Iに板持から連絡がないことを話す
3月12日夕方 大越がローソン千歳朝日町店駐車場で板持の車を見つけ、千歳市美々無番地所在の新千歳空港工事用ゲート地崎口に駐車した板持の車内で板持と話し、板持と別れることになる
3月13日夜 大越が元交際相手S・Hに電話で出社したくないと話す
3月14日朝 大越がK・Iに電話で板持との訣別を伝える
3月14日夜 板持と橋向が2人で苫小牧・植苗方面にドライブに出かけ、橋向は自分が卒業した植苗中学校を案内
3月15日23時ごろ 橋向が同僚S・Yの携帯電話に「ちぃーす。ただいまメールの練習中。この頃大越さん苦手で困ってます。へるぷって感じー。はしむー」などというメールを送信
3月15日23時38分 大越がビブロス恵庭店(恵庭市住吉町、現在はツルハドラッグ恵庭店)で文具を購入
3月16日0時1分 大越がセイコーマートふくみや(千歳市末広3丁目1番3号)でポリタンク入り灯油10Lとシンルーチュを購入
3月16日0時8分 大越が千歳空港サービスステーション(千歳市朝日町)でガソリン9.62L(1000円相当)を給油
3月12日4時51分−3月16日7時40分 大越が自分の携帯電話またはローソン早来栄町店の公衆電話から橋向の携帯電話または自宅電話に総計230回嫌がらせ電話(コールしては切る)を繰り返す(電話番号は板持の携帯電話を盗み見て知った)
3月16日21時30分ごろ 大越と橋向が勤務先のキリンビール千歳工場内配車センターから一緒に退出
3月16日21時35分−40分ごろ 大越の供述によると、大越はビブロス恵庭店に到着。その後本を立ち読みしたり文房具売り場の替え芯を見たりして滞在した
(当時防犯カメラは設置されておらず、目撃者は存在しない)
3月16日23時5分ごろ 遺体発見現場付近住民3人が炎を目撃。1人は2台の車を目撃
3月16日23時36分ごろ 大越がガソリンキング恵庭店(恵庭市住吉町253番地、当時)でガソリン9.5L(1000円相当)を給油(時計がずれていて、実際の滞在時刻は23時30分43秒〜33分24秒ごろと推定)
3月17日0時5分31秒−0時5分49秒 橋向の携帯電話からキリンビール千歳工場代表電話に発信(千歳BSセクター3)
3月17日0時5分56秒−0時6分00秒 橋向の携帯電話から板持貢の紛失した携帯電話に発信(千歳BSセクター3)
3月17日0時6分4秒−0時6分49秒 橋向の携帯電話からキリンビール千歳工場施設管理室に発信(千歳BSセクター3)
3月17日1時43分ごろ 大越が自宅そばのローソン早来栄町店(早来町栄町109番地、当時)で買い物
3月17日3時2分09秒−3時2分15秒 橋向の携帯電話から板持貢の紛失した携帯電話に発信(早来BSセクター1)
3月17日3時2分19秒−3時2分25秒 橋向の携帯電話からキリンビール千歳工場施設管理室に発信(早来BSセクター1)
3月17日3時2分38秒−3時2分55秒 橋向の携帯電話からキリンビール千歳工場施設管理室に発信(早来BSセクター1)
3月17日8時20分ごろ 大越が出勤
3月17日8時20分ごろ 幼稚園職員が送迎バスを運転中、恵庭市北島39番先市道南8号路上で橋向の遺体を発見。近所の住民に確認を依頼
3月17日8時40分ごろ 幼稚園職員に依頼された住民が自動車で現地に到着、遺体を確認し119番通報。これを受けた消防署が千歳警察署に通報
3月17日9時30分ごろ 遺体発見現場で警察による鑑識活動が始まる
3月17日9時29分18秒−11時52分25秒 橋向の携帯電話に対して15回電話がかかる(長都BSセクター1及び2と千歳BSセクター6及び1)
3月17日13時14分ごろ 娘が前夜から帰宅せず、9時過ぎごろに娘の勤務先の連絡で出勤していないことを知って娘の行方を捜していた橋向の両親が110番通報。
警察は遺体が橋向のものである可能性を考え、キリンビール千歳工場配車センターへ警察官を派遣。
3月17日15時ごろ 配車センターで警察官による事情聴取が始まる
3月17日15時5分ごろ 警察官が配車センター2階の女子更衣室で、橋向のロッカー内の作業服上着の左胸外ポケットから橋向の携帯電話を発見(電源オフ状態で、発信履歴は1件もなし。
着信履歴は17日9時7分−12時36分ごろまでの間で合計20件)
3月17日20時19分ごろ JR長都駅前駐車場西の路上で橋向の自動車(全施錠・全閉)が見つかる)
3月17日 警察が遺体を解剖した結果、死因が窒息死であることが判明
3月18日 警察が遺体の指紋を調べた結果、遺体の身元が橋向であることが判明
3月19日 橋向の通夜が行われ、大越も出席した。会場に向かう際、同僚が大越の車に便乗
3月20日 イエローハット千歳店のピット係が、大越の自動車の左前輪に焼けた物の上に乗り上げて焼け溶けたような痕跡を見つける
3月終わりごろ 大越が3月16日に購入していた灯油を千歳市内の道路脇の草むらの中にポリタンクごと捨てる(物証なし)
4月1日 大越が北広島市内の国道36号線上にあるセイコーマートで灯油10Lを買い直し、父が借りていた社宅へ持ち込む
4月10日 配車センター従業員らが大越の自動車のスタッドレスタイヤを夏タイヤに換装
4月10日21時−11日11時 早来町安平79の雨量観測所が合計56mmの降雨を観測
4月11日夜 大越が早来町の喫茶店「とれいる」(多田政拓経営)を訪れる。不審車両による尾行に気づいた大越が多田政拓に話し、多田政拓は大越を密かに尾行していた警察車両をマスコミの車と思い事情を聞きただした
4月12日夜 大越が「とれいる」を訪れる
4月13日 「学校のドングリの子孫を残す会」会長でもある多田政拓が会社の帰りに「早来町民の森」へ行ったが不審なものはなかった
4月13日 大越が板持に対して再び恋人として交際してほしいという熱い思いを記した手紙を書く
4月13日22時少し前 大越が「とれいる」を訪れる
4月13日夜 大越がセブンイレブン早来町店を訪れる
4月14日8時30分ごろ 出勤した大越が警察に任意同行を求められ、23時まで取り調べを受ける
4月14日 多田政拓が千歳警察署で事情聴取を受ける。帰宅後、自宅に集まっていた人たちにアドバイスを受け、大越の両親に弁護士を探すことの了解を得る。大越本人にも電話で弁護士の件を伝えた
4月14日 千歳警察署が大越の車の検証を実施。グローブボックス内から橋向のロッカーの鍵を発見、助手席部床マットから灯油が検出された
4月14日 千歳警察署が大越の自宅を捜索し、3月16日付のセイコーマートのレシート、橋向の携帯電話番号が書かれたメモ、板持の携帯電話に登録されていた被害者を含むは行・ま行の携帯電話番号が書かれたメモを発見
4月14日 大越の父親が借用している早来町大町の木材会社社宅から、千歳警察署がポリタンク入り灯油10Lを押収(後の鑑定で、この灯油は3月16日に大越が購入したものではないとされた)
4月15日9時すぎ 多田政拓が友人を介して伊東秀子弁護士(元衆議院議員)と連絡がとれ、その後千歳駅まで迎えに行き千歳警察署へ。取り調べを受けていた大越を伊東とともに昼食に連れ出した。大越は午後8時ごろ帰宅
4月15日16時20分ごろ 「早来町民の森」(早来町字北進157番地の町道早来本郷線から東方約9.3m)で「学校のドングリの子孫を残す会」の会員が、橋向の自動車のエンジンキー、メガネケース、財布等の焼け焦げを発見
4月16日19時ごろ 伊東弁護士とともに帰宅した多田政拓が焼け焦げの件について報告を受けるが、伊東弁護士を札幌に送るため帰ってから確認することに
4月16日0時過ぎ 多田政拓が「早来町民の森」に行き焼け跡を確認、警察に通報
4月17日 千歳警察署が大越の自動車の赤色ホイールつきスタッドレスタイヤを押収
4月24日 上司から両親立会のもとに解雇の話をしたいと電話を受け立腹した大越が、両親の立会は不要で1人で話し合いに応じると答え一方的に電話を切り、勤務先で改めて両親の立会は不要と訴えた
4月26日 大越が取調により心身に異常を来たし札幌市の病院に入院
4月30日 大越が日本通運から解雇される
5月22日 大越が退院。弁護士を通じて国家賠償法に基づき慰謝料請求の訴訟を起こす
5月23日 千歳警察署が大越を殺人・死体遺棄の容疑で逮捕
6月10日 千歳警察署が大越の自宅を捜索し、3月15日と4月1日付のビブロスのレシートを発見
6月13日 札幌地方検察庁が大越を殺人罪・死体損壊罪で札幌地方裁判所に起訴
9月26日 公判を目前に控えて、大越が橋向に無言電話をかけていたことを弁護人に明かした
2003年3月26日 札幌地方裁判所が有罪判決(懲役16年)を下す
2005年3月28日 国家賠償請求訴訟について、札幌地裁は請求を棄却
9月29日 札幌高等裁判所が大越の控訴を棄却
2006年9月25日 最高裁判所が大越の上告を棄却
10月12日 最高裁判所が大越の異議申し立てを棄却、大越の懲役16年が確定