818 :
オール読物:
文芸春秋社「オール読物」1989年8月号に「惨殺の構図」と題して掲載された冒頭陳述書の内容をうpします。
事件の詳細を知らなかったけど、過去スレで貼ったこの記事を読んで知って下さった方も結構いるようです。
冒頭陳述書
強盗致傷、強盗強姦、殺人、死体遺棄、強盗未遂 高志健一
強盗致傷、殺人、死体遺棄、強盗未遂 小島茂夫
強盗致傷、強盗強姦、殺人、死体遺棄、強盗未遂 C
強盗致傷、強盗強姦、殺人、死体遺棄、強盗未遂 D
強盗致傷、殺人、死体遺棄、強盗未遂 筒井ヨシエ
強盗致傷、殺人、死体遺棄、強盗未遂、道路交通法違反 龍造寺リエ
右の者らに対する頭書被告事件について、検察官が証拠により証明しようとする事実は、左記のとおりである。
昭和六三年七月一八日
名古屋地方検察庁
検察官 検事
名古屋地方裁判所刑事第四部殿
819 :
オール読物:2008/08/16(土) 12:52:46 ID:3ZjAj8ES
第一 被告人らの身上、経歴等
一 被告人高志健一について
1 被告人高志健一(以下「高志」という)は、昭和四三年一月二七日、鹿児島県薩摩郡において、父高志松男、母良子(注:いずれも仮名)の長男として生まれたが、一歳になったころから、愛知県一宮市の祖父母に養育され、同市の小学校に通学した。
その後四年生ころ、同県半田市の施設に収容され、小学校卒業後、右一宮市の施設に収容されて、同五八年三月、同市立中学校を卒業した。
同校卒業後、同県蒲郡市の「Y製鋼」に就職した。
同五九年一二月ころ、実母良子、同女の再婚した夫と一緒に名古屋市北区に住み、右義父が勤めていた同区の「S電気」に勤務したが、半年程で義父と喧嘩をして、飛び出し、東京へ行って新聞配達などをした。
同六一年三月ころ、名古屋市へ戻って来て、友人宅に寝泊りし、布団のホーム販売をしていたが、栃木県で通行中の女性からバッグをひったくった件で、試験観察後保護観察処分になり、同市の施設に収容された。
その後土工、自動車運転手として稼動したが、同六二年七月ころ、暴力団幹部木村武の配下になった。
そして同六三年一月からK会会長の親衛隊となり、同会長のボディーガードをしていた。
2 高志は、独身であり、O組が借り上げた名古屋市中村区本陣通のコーポにK会直参の太田治と一緒に住んでいた。
3 高志は、
@同六一年一二月一日、名古屋簡易裁判所において、道路交通法違反(四九キロメートル超過)により、罰金四万円に、
A同日、名古屋簡易裁判所において、同法違反(二九キロメートル超過)により、罰金一万八、〇〇〇円に、
各処せられた前科二犯のあるほか、窃盗、シンナー吸引、深夜徘徊などで警察官の補導を受け、同六二年五月一九日、名古屋家庭裁判所において、保護観察処分に処せられた。
820 :
オール読物:2008/08/16(土) 12:55:24 ID:3ZjAj8ES
二 被告人小島茂夫について
1 被告人小島茂夫(以下「小島」という。)は、昭和四三年八月二〇日、本籍地において、父小島武、母カネ子(注:いずれも仮名)の次男として生まれ、同市中川区の同市立中学校を卒業した。
同校卒業後、愛知総合職業訓練校に入校したが、二か月くらいで先生に対し暴力を振るったことから同校を退校し、同五九年九月ころ、三重県上野市の「A商会」に就職し、内装工として稼動した。
しかし、給料が安いとして、同六一年一〇月ころ、同商会を退職し、実弟の友人の紹介で前記O組構成員になった。
同年一二月二三日、津島警察署警察官に、深夜店舗に侵入して食料品を窃取しようとした件で検挙され、名古屋家庭裁判所において、試験観察後保護観察処分になり、
同六二年二月二〇日、中川警察署警察官に、友人宅にガラスを割って侵入し現金を窃取した件で検挙され、試験観察となり、
少年鑑別所の紹介で、同年三月ころ、愛知県刈谷市の「T運輸有限会社」でトラック運転手として稼動した。
しかし、同T運輸は自由がないとして、同年七月ころ飛び出した。
その後O組構成員、本件犯行の共犯者のD、龍造寺リエと同市中川区北江町で共同生活をし、無為徒食した。
同年一二月ころ、名古屋市熱田区の「P興業」に就職し、鳶職見習いとして稼動していた。
同六三年二月上旬から右D、龍造寺と一緒に同市港区「政和荘」に居住していた。
2 小島は、独身であるが、前記のとおり龍造寺リエと同棲している。
3 小島は前記前歴があるほか、窃盗、道路交通法違反、家出、深夜徘徊などにより警察官の補導を受けた。
821 :
海:2008/08/16(土) 13:09:22 ID:3kPx57ZM
コンクリは犯人の写真でまわってんのになんでこいつらの画はでないんだ!
822 :
オール読物:2008/08/16(土) 20:55:27 ID:SbhgZkB1
三 被告人Cについて
1 被告人C(以下「C」という。)は、昭和四四年四月二六日、名古屋市瑞穂区において、父中山秀蔵、母清子(注:いずれも仮名)の長男として生まれ、同五〇年一一月父母が離婚し、同市用務員をしている母清子に養育され、同五九年三月、名古屋市名東区の中学校を卒業した。
同校卒業後、同市東区の理容店に一年六か月程理容師見習いとして稼動し、その後愛知県小牧市のすし店に約二か月、同県西加茂郡の飲食店に約六か月、名古屋市港区のすし店に約九か月と勤務先を転々とし、
同六三年一月下旬ころ、遊び友達の紹介で暴力団B組舎弟頭補の配下になり、同市港区野跡三丁目に住み、右舎弟頭補から小遣いをもらって、その妻を自動車で送迎するなどしていた。
2 Cは、独身である。
3 Cは、同五八年一一月二日、中学生風の男から現金を脅し取った件で名東警察署警察官に検挙されたほか、窃盗、道路交通法違反等で警察官の補導を受けたことがある。
また、同六二年夏ころから「栄噴水族」という暴走族に入り、その幹部をしていた。
823 :
オール読物:2008/08/16(土) 20:56:17 ID:SbhgZkB1
四 被告人Dについて
1 被告人D(以下「D」という。)は、昭和四六年二月五日、名古屋市熱田区において、父豊次、母美智代(注:いずれも仮名)の長男として生まれ、同六一年三月、同市立中学校を卒業した。
Dは、小学校時代から勉強を嫌い、中学校は真面目に通学しないで、タバコを吸ったり、シンナーを吸引したり、悪友とマージャンをしたりして過ごした。
同校卒業後、同市中川区の鉄工所に工員として約半年、同市港区の株式会社Uに土工として約一〇ヶ月稼動した。
そのころ交際していた女性と悶着を起こしてやけになり、同六二年八月ころ、組織暴力団O組の舎弟木村武の配下になった。
そこで、小島と知り合い、前記のとおり、小島、その情婦龍造寺リエと一緒に政和荘に居住し、木村からもらう小遣いだけでは、女性との交際もままならないとして、同六三年一月下旬から前記P興業に鳶職見習いとして勤務し、犯行時に至った。
2 Dは、情婦と同棲したこともあったが、犯行時は、独身であり、小島、龍造寺と前記政和荘に住んでいた。
3 Dは、
@ 同五九年一〇月八日、オートバイを窃取した件により中川警察署警察官に、
A 同六〇年一月二四日、駐車場の自動車から現金を窃取した事実により同署警察官に、
B 同三月一三日、窃盗目的で人家に侵入したことで同署警察官に検挙されたほか、喫煙したことで三回補導された前歴がある。
824 :
オール読物:2008/08/16(土) 20:57:00 ID:SbhgZkB1
五 被告人筒井ヨシエについて
1 被告人筒井ヨシエ(以下「筒井」という。)は、昭和四五年七月一二日、父筒井次郎、母はつ子(注:いずれも仮名)の長女として生まれ、同六一年三月、愛知県海部郡の中学校を卒業し、同六二年八月まで名古屋市中区の調理専門学校に通い、調理師の資格を取得した。
その後、たまに飲食店で稼動したことはあるが、ほとんど無為徒食していた。
2 筒井は、かつて暴力団組員と同棲したことがあるが、本件犯行時は、独身であった。
3 筒井は、喧嘩や怠学等で警察官の補導を受けたことがある。
825 :
オール読物:2008/08/17(日) 01:46:51 ID:3HC5hvwy
六 被告人龍造寺リエについて
1 被告人龍造寺リエ(以下「龍造寺」という。)は、昭和四六年一月二〇日、名古屋市千種区において、父龍造寺昭二、母よし(注:いずれも仮名)の長女として生まれた。
同五六年一月に父母が離婚し、龍造寺は、同五九年九月、庄司君子(仮名)と婚姻した父に引き取られたが、君子と折り合いが悪く、同市昭和区の養護施設に収容され、同六一年三月、同市昭和区の中学校を卒業した。
同校卒業後、約九か月同市南区の美容院に美容師見習いとして稼動した。
しかし、その後は、友人宅を転々とし、同市中区のテレビ塔や噴水近くに遊びに行くようになり、シンナーを吸引するなどして、無為徒食の生活を送っていた。
2 龍造寺は、同六二年八月ころ、本件犯行の共犯者小島を知り、同人と同棲していた。
3 龍造寺は、道路交通法違反により、警察官に補導された前歴がある。
826 :
オール読物:2008/08/17(日) 01:50:00 ID:3HC5hvwy
第二 被告人らの関係
高志、小島、Dは、前記のとおり、ともにO組構成員であり、龍造寺は、かつては高志の情婦であったが、犯行時は小島の情婦であった。
Cは、B組構成員であった。
筒井は、Cの情婦であり、その住居地に寝泊りしていた。
また被告人ら六名は、いずれも名古屋市のテレビ塔、噴水の近くで自動車を暴走させたり、シンナーを吸引したりして、遊びにふけっており、「テレビ塔族」とか「噴水族」と言われていた。
このように被告人ら六名は、同一暴力団組織に属していたり、不良徒輩の集合する場所に顔を出したりしているうちに、順次知り合ったものである。
高志、小島、D、龍造寺らは、「バッカン」と称して男女同伴者の乗車している自動車を襲い、木刀や鉄パイプで男女や車両を殴り付けるなどして、金品を強奪することもしていた。
827 :
オール読物:2008/08/17(日) 01:52:26 ID:3HC5hvwy
第三 金城埠頭における犯行に至る経緯
一 高志は、昭和六三年二月二二日午後八時ころから午後一〇時ころまで、前記コーポ一階の飲食店でウイスキーの水割りを飲んだ後、名古屋市中区所在のテレビ塔付近へ遊びに行った。
また、Cと筒井は、同日一〇時ころ、前記B組舎弟頭補所有の普通乗用自動車(薄茶色ニッサングロリア、以下「C車両」という。)で前記Cのアパートを出発し、右テレビ塔付近へ同様遊びに行った。
一方小島、D、龍造寺の三名は、同日午後八時ころ、小島の運転する普通乗用自動車(こげ茶色ニッサングロリア、以下「小島車両」という。)で、出発し、同市中川区の小島、D、それぞれの実家に分かれて風呂に入った後、
再び合流し、右テレビ塔付近に遊びに行き、同日午後一一時三〇分ころ高志と会った。
そこで、雑談したり、シンナーを吸引したりしているうちに、C、筒井らとも会った。
その後、被告人ら六名は、小島車両とC車両に分乗し、付近を走行したり、シンナーを吸引したりして遊んだ。