736 :
ゲームセンター名無し:2007/11/11(日) 15:59:16 ID:xM0U5fPF0
社長「ほう、なんといい面構えだ、ティンと来た!」
社長「君、我が社でプロデューサーをやってみないかね!?」平良「ハァ? (゚Д゚;)」
平良「…とにかく今度の戦いに勝てたら、もう親父に半人前だなんて言わせませんよ」
杉崎「…そう言えば、平良君のご家族の事は聞いた事が無かったね?」
平良「両親と、姉が二人です。実家は山形で、親父は村で唯一の雑貨屋を営んでいます」
平良「何も代わり映えの無い村、いつかは親父の店を継がなきゃならない決まり…」
平良「諸々のしがらみから逃げて来たんですよ、俺は」
「親父にどやされてばかりの俺だけど、村を出ればきっと何かが出来る男なんだ、って…」
「でも東京に出てきて思い知らされました…。そんなのはただの思い込みだって」
「半人前だの、村を出たって大差無いだの…。親父に言われた事、全部当たってしまったんですよね……」
杉崎「…お父さんのこと、嫌いなのかい?」
平良「少し前までは嫌いでした。今は何と言うか…見直しています」
「親父の言葉ひとつひとつが正しかった事、それに気付かず反発ばかりしてしまっていた事……」
平良「だからこそ、今度のIDOL Stationオーデは必ず合格してみせます」
杉崎「それがお父さんに対する贖罪だから…かな?」平良「……はい!」
――そして、遂に運命の日・到来。 『Idol Station』のオーディションが始まった――
752 :
ゲームセンター名無し:2007/12/07(金) 00:00:59 ID:3NAkwy4R0
今日は何だか、イヤな予感がする……
『そんじゃ皆を代表して23番、何かバシーっと言っちゃってよ!』
やよい「一生懸命、頑張りまーす!」
『お、いいねえ!気に入っちゃったよオレ!』
平良「良かったよ、やよい。審査員の評価は上々だ」
やよい「えへへー。…あ、プロデューサー。私ちょっとトイレに行ってきますね」
平良「おーう。今は混んでると思うから気長にな〜」
759 :
ゲームセンター名無し:2007/12/15(土) 00:57:57 ID:m9tRXSmX0
そして15分後
未だ帰ってこないやよい。開始時間まであと10分以上あるが少し心配になる。
唐突に、俺の携帯が震えた。突然の事で少し驚いたが、急いでズボンのポケットから携帯を取り出した。
「もしもし、平良ですが…。えっ、姉さん?」
「珍しいね、そっちから電話かけてくるなんて。なんの用事だい?」
意外な人物からの電話に少し戸惑う。だが、姉が発した言葉に平良の思考は吹っ飛んだ。
姉「勇幹、大変なの!お父さんが…お父さんが急に倒れて病院に……!」
平良「なっ……!お、親父が、倒れた……!?」
姉「お医者さんが言うには、急性のガンだって…。とにかくすぐに帰ってきて!」
思考は吹っ飛んだと感じたのに、平良はやけに冷静な自分の声を聞いた。
今ここで帰省したら、誰がやよいのサポートをするのか。
1人にされたやよいが、果たしてオーディションに合格出来るだろうか。
いくら親父が危険な状態だとしても、やよいの未来に繋がるこの時に、居なくなって良いのか?と……。
「…姉さん、済まないけど俺、帰る事は出来ない」
平良「親父に伝えといてくれ。『やらなきゃならない事があるから帰れない』って」
姉「な、何言ってるの勇幹!?お父さんが大変な時にやらなきゃならない事って何よ!」
言い募る姉の声を無視して平良は通話を切る。
そして、また電話がこないように携帯の電源を切った。
平良は目を伏せ、大きく息を吐いた。再び開いた目には、決意と気合いがみなぎっている。
やよい「プロデューサー、お待たせしました〜!……って、アレ?どうかしたんですか〜?」
平良「……いや、なんでもないよ」
平良は笑みを浮かべながらそう答える。何事も無かったかのように。
平良は携帯をパチンと折り、ポケットにしまいながら続けて言った。
「やよい、今日は必ず勝ちにいくぞ。頑張ろうな!」
やよい「は、はい…。分かりました……」
並々ならぬ熱意をみせる平良に少し気圧されるやよい。
新年が明けていることに気づいたやよいは