beatmaniaIIDX ワナテル 807回目

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775蠍火紹介
88鍵ピアノフォルテの最高音と最低音を打鍵することにより幕を開けるピアノ協奏曲第一番「蠍火」は、Virkato
Wakhmaninov(1873-1974)が残した二曲だか三曲だかのピアノ協奏曲の中でも、その標題から見受けられるように
「ほんとうのさいわいとはなんだらうね」などというやっかいな命題に感化されていた時期の作であり、他の協奏曲に
比べ楽曲的には陰鬱で演奏法的には陰険な様相を前面に呈している。休日の憩いとして作った他のリコーダー協奏曲や
テルミン協奏曲とは明らかに趣が違い、ピアノという楽器の特性を最大限に生かすことを前提としているため、プレストを
維持したまま右手16分と左手8分3連が混在しつつオクターブを跳ね回るなど尋常ならざる演奏技術が随所にて
要求され、Virkato本人も「私がこの楽曲を人前でまともに演奏するには地位も職もなげうって山籠もる必要があるだろう」
と無責任に語ったと言う。ひでえ。  (解説・小林健二)