【勝手に】殺意の我道に目覚めたダン【妄想】

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67ZERO1ダン・ストーリー
ゴウケンの目の前に、その額を床に接するようにして、1人の若者が座っていた。
どこで聞きつけたのか、人里離れた山奥で己の技にさらに磨きをかけんとする
ゴウケンのもとに、教えを乞おうと若者はやってきたのだった。
一目みてゴウケンは見抜いた。
この若者の中に、類稀な闘いの才能が秘められていることを……。
「ダンとやら、お前はその拳に何を求める」
そのゴウケンの言葉に若者は静かに頭を上げ、凛としてこう答えた。
「ただ、強さのみ!」
ゴウケンがダンの才能に興味を持ち、弟子として迎え入れてから、
いくばくかの月日が流れていた。
ゴウケンの睨んだ通り、ダンは着実に才能を開花させていったのだったが、
なにかが、おかしかった。
繰り出される拳に常につきまとう、ひときわ燃え上がるような憎悪の念と、
何かに駆り立てられるかのような焦り……。
ゴウケンの目指す拳の心は、ダンの拳の先にはなかった。
「わしは誤ったのかもしれん……」
ゴウケンは何かを決意した目で、そう呟いた。

漆黒の闇の中、ロウソクの明かりだけがほのかに揺らめく道場に、
初めて出会った日のように、じっと対座する2人の姿があった。
「ダンよ、お前は何を背負っている」
その問いに顔を背けて沈黙するダンを見て、ゴウケンはゆっくりと立ち上がった。
「ならばお前の拳、封じるしかあるまい」
静かに歩み寄り、膝の上に置かれたダンの拳を目掛けて突きを放った。
身をこわばらせたダンがゆっくり目を開けると、その突きはダンの拳の直前で止まっていた。
いやしくも師として、教えを授けた弟子の拳を自らの手で砕くことなど、
ゴウケンにできようはずもなかった。
「ダンよ、わしの前から立ち去れ……そして、拳は捨てよ」
背を向けそう言い放つと、ゴウケンは涙を流すダンを残したまま、道場を出ていった。
その夜ダンはゴウケンのもとを去った。
憎しみにまみれていようと、拳を捨てるわけにはいかない……
そう、あの男への復讐を果たすまでは!
68ZERO2ダン・ストーリー:04/09/18 23:20:15 ID:???
必勝無頼拳

白熱灯に照らされ、浮かび上がる2人の男。
2メートルを超す大男が、苦しそうに荒い息をしている。
そこに飛びかかるもうひとりの男。
「あれは……オレの、オヤジ? そうだ、あれは……
ムエタイ・チャンピオンに挑むオヤジの姿だ。て、ことは……!? 
だめだ……やめろ、やめてくれ!!」
大男の眼が見開き、狂暴な赤い光を放った。
それは吹き出す鮮血だった……。
「やめろォォーーーー!!」
飛びかかった男は、その血を全身に浴び、逆に吹っ飛ばされた。
世界が、赤く染まってゆく……
「!!」ダンはベッドから飛び起きた。
全身が震え、不快な汗がシーツをぬらしていた。
「また、あの夢か……!」
格闘家だった父が、ムエタイ・チャンピオンのサガットとの試合の直後に
命を落としてから十数年、ダンはこの悪夢に悩まされつづけてきた。
復讐を果たすまではこの悪夢は去らない。
そう信じ、ダンは遮二無二、己の拳に殺意と憎悪を宿らせ、
悪鬼サガットを討つべく修行を重ねてきたのだ。
おもむろに立ち上がるダン。体中にみなぎる炎のごときパワー。
目前に揺れるサンド・バッグの前に立ち、ダンは力を解き放った。
「オラオラオラオラオラアアァァァーー!!」
すさまじい勢いで蹴りや突きが放たれ、一分のスキもなくサンド・バッグに吸い込まれてゆく。
もてるすべての技を瞬時にたたき込む……
ダンの怒りが臨界に達したとき、抑止不可能の超絶技「必勝無頼拳」が発動する。
「晃ゥ龍ゥ拳ンン!!」
あとかたもなく消し飛ぶサンド・バッグ。
いまやダンに、サガットを恐れる心はない。
恐れは怒りに、脅えは憎しみに変えてみせる
……己に課した誓いを確かめるかのように、ダンはひとり、拳を突き上げるのだった。