夕暮れ遠くに伸びる 長い二人の影を真似 追いながら
手を繋いで帰ると鳴る 小さな小さな鈴の音
一様に並んでる あの時計と一緒に鳴るよ
りんりりぃん 響く 小さな小さな音
ああ何故彼はお偉いさん「君は僕がいなくても平気ですか」
震えるその手から漏れている堂々巡りの回答
とても汚い色して吐き気をもよおす 風鈴の音に
りんりりぃん 響く 彼女の切の泣(な)
白装束の老婆が背(せな)で笑う そうさペロリと舌出しながら
「右手は空へ 左手は海へ捨て 立派に蒼天仰げよ」と
論う鴉達は逃げ出して
白く枯れ洞然と並ぶ 無くなりそうな幸せは
もう二度と目的も無いと消える
耳元で囁く「鬼さんこちら手のなるほうへ」
白雲消えていく
嘘をつく貴様らの舌なんてちょん切って捨ててやる
ずっと待つんだ 彼を待つんだ
「見えぬ 聞こえぬ 何も無い方がいい」と笑う
金魚鉢にうつる彼女はヒョロヒョロ流れる
「お元気ですか?」彼女の手紙 ある日を境に途絶えた
何度も破れ狂う空に鳥が風を連れてきた
誰も言えない「あの子を残していいの?」
彼は雨色空へ 影を伸ばすことはないでしょう
鈴が鳴り響く
「僕は帰って来たよ」鴉の剃刀を手に生きる
彼は走った そして涙こらえて
すっと扉開けた そこには彼女の時を乗せた
鈴の緒だけが