子守唄
「この子の稚き ててが握る紅差し指は禍福よ」
貴方の遺愛のぼんぼり粛然と
灯点して暗夜に濡つ
私と子と交錯する雨音に心願
「散華と散り敷く涙も枯れた」
あれから幾年 貴方が残したちぃさぃ幸せ
髪締め乍ら 夜な夜なこの子の為にと
子守の唄を 口遊み 徘徊る四肢
白黒キネマノ廃工場カラ流レル煙ガコノ子ヲ包ム
右手 左手 足 首 心音
咽ぶこの子を抱き締めた
助けて 助けて 助けて 助けて
狐ノ堵列ハ這イズリ回ッテ裂帛為イ為イコノ子ヲ掴ンダ
逃げて 逃げて 逃げて 逃げて
嗚咽
「嗚呼・・この子だけは・・なくさぬように」
この 耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ
隠してしまおう この子が七つになるまで
貴方のコイノボリが空に昇って行くまでお願い・・・
「この子に幸せの風が吹きますように。」
あぁ、この子が大きくなれば貴方のかわりになるのでしょう
瞳が哀しいほど貴方に似ていた
空を泳ぐコイノボリだけは知っていた
「あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ
・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ!
この子 よく 見たら お人形」