bemani長編・漫才・二次創作総合スレッド-9th-

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508LAB作者
第一章「8thを終え」

隠し曲として、彼の「ALL RIGHT」は「桜」「Xenon」ほどのインパクトは無かったが、
その頑固なRAMの性格を象徴したようなドラムンベースは、多くの人に受け入れられた。

IIDXチームでの飲み会の後、酒が入り気分の高まったRAMはFINALまで一緒に曲を提供してきた仲間、
「PINKPONG」「ASLETICS」「SLAKE」の通称「5鍵チーム」で2次会をしようと言った。

「RAM!俺もQuicke」
「ごめんなさいTAKAさん」

「どうだ?IIDXは」
先輩のSLAKEはみんなに尋ねた。
「今までより気張れず曲作りできた気がします!あっ変な意味じゃないですよ!」
PINKPONGは日常でも「!」が多い男である。
「ダークな感じのヒップホップが作れて楽しかったっす。今度は方向性の違うヒップホップにも挑戦したいっすね」
「もう一つの曲も良かったですよ!えーっとPlease…」
「PINKPONG!しーっ!」

以前作曲までのいきさつをASLETICSから聞いてから
「あまりその話題には触れないでおこう」
というチーム内での暗黙の了解ができていたのだ。
PINKPONGの「Please」のフレーズだけでASLETICSは少し思い出し泣きしそうになっていた。

「で、お前はどうなんだ?RAM」
「…FINALが終わり、自分の進む道を閉ざしそうになっていた時、IIDXチームの方の曲を聞いて
 『まだ自分にはやるべきことがある!』と思って挑戦したんですが、今ではそれが正しかったということで安心してます」

SLAKEはフッと笑い、目の前のカクテルを飲み干した。
509LAB作者:03/09/01 22:25 ID:???
第二章「汎用ムービー」

「うーん…」
机に向かう頭の中では、既に次回作「9thstyle」に向けての曲構想を始めていた。
LABは元は5key用に温めていたものでもあったためすぐできたが今後はそうはいかない。
(やっぱりそうすんなりアイディアはでないか…)

RAMは考えるのを止めPS2をつけた。
SLAKEが「餞別だ。貸してやる」といって彼にPS2版のIIDX3rdを渡していたのだ。
「nagureoさんに借りたMDの曲しか知らないからなぁ…やってみるか」

予想通り5keyとIIDXは勝手が違っていた。
ゲームセンターで凄腕のプレイヤーを時々見たことはあったが、改めてその壁の高さを知った。
しかしそういう面で変に負けん気の強いRAMは「くそ!」と言いながらもプレイし続けていた。

2時間後、LIGHT7の曲をある程度クリアできるようにはなったが流石に腕が痛くなった。
そんな中、RAMは曲ではなく、あるムービーに興味をもった。

白黒の階段が天への道を切り開いていき、その先には一点の濁りも無い虹。そして、
「Can you hear the the voices of the angels?」

I Was The One,I'm In Love AgainなどのHOUSE系楽曲に使われていたそのムービーは、見ているだけで独特の浮遊感、安らぎが得られた。

(これだ、このムービーに似合う曲を作ろう)
RAMはそう考えた。
(だがHOUSEは作れないからな。これに似合うテクノを目指してみるか…)

RAMはベットに横たわり今まで作った「テクノ」を想像した。
一番始めに「CRYMSON」を思い出した自分に「道は遠いなぁ…」と苦笑した。
510LAB作者:03/09/01 22:26 ID:???
第三章「ULTRA」

今まで様々な楽曲をbeatmaniaに提供してきたRAMだが、「TECHNO」とジャンル指定したのは一つ「ULTRA」だけである。

「いつもの僕が作るレイブな感じよりは、どちらかというと、どこかエレポップのような不思議な感じのする曲になったと思います。

曲紹介で彼自身がこう言うように、普段の彼の、CYBERな音で畳み掛けるものとは一線を画した曲だ。

「あの時は不思議だった。beatmaniaが最後というから、自分の集大成となるようなRAVEを作ろうと思っていたのに、いざ完成したらこんなに優しい作品ができてた…。でpositive MAやSLAKEさんに『どうしたんだ?』とかまじまじと聞かれたっけ…」
1リピートにしてRAMは曲を渡すまでのことを思い出していた。

次の日RAMがTAKAからの着信音で起きるまで、ずっと曲は流されていた。
511LAB作者:03/09/01 22:28 ID:???
第四章「dj TAKA」

dj TAKA。いわずと知れたIIDXチームのリーダーである。RAMとは4thMixにて同時に曲提供した仲ではあったが、IIDXチームへといってからはこれといった接点は無かった。
「どうしましたTAKAさん」
「どうしたもこうしたも、昨日メールしたとおりだ。今起きたのか?」
「あっ…」

昨日携帯に「明日9thのミーティングするから12時に会議室に」ときていたのをすっかり忘れていたのだ。
結局遅刻したRAMはみんなにコーヒーを奢らされた。

「RAMほど几帳面な人が遅刻とは珍しいな」
「すいませんTAKAさん。次回の曲を考えてて…」
「流石だなぁ。その弛まぬ努力の結晶がLABって訳だ」
RAMはLABが短時間の産物であることをまだTAKAに言ってなかったのだ。
「TAKAさんはどうやってあんなにたくさん曲を作るんですか?」
「たくさんっていっても、memoriesは昔ロックやってたときに思いついたフレーズから伸ばしていったものだし、
 rainbow flyerみたいなトランス曲は、気付いたら頭の中でメロが流れてるんだ」
TAKAのその柔軟な頭をRAMはうらやましく感じた。

「結局あせっちゃ曲はでてこないと思うんだ。ヒントなんて日常の中にあるもんさ」
BOSSを飲みながらTAKAは言った。

「これからゲームセンターでも行くかい?」
「いいですね。行きますか」
RAMは今までライバル視していた男とこれだけ楽しく音楽について語れる状況が心地よかった。
IIDXに参加して良かったと再び感じた。

「ところでTAKAさん、『Giudecca』はどうやって思いついたんですか?俺あの曲好きなんですけど」
「えっ…」

一瞬固まったTAKAの顔に、あの時のデジャ・ブを感じたRAMであった。
512LAB作者:03/09/01 22:30 ID:???
第五章「遊園地」

その日RAMは夢を見た。4thMIXで曲を提供してから何度も見る夢である。

あそこにいるのは小学生の時の俺。
近くの遊園地に連れて行ってもらったときのことである。
「メリーゴーランド」「コーヒーカップ」「観覧車」など、初めて体験するものばかりで、親が帰るといっても泣いて柱にしがみついていた自分。

「うわぁーん。帰りたくないよー」
「今日はもう閉園よ。又今度来ましょうね」
そう諭す母の背中を叩いているうちに泣き疲れてしまい、眠ったままおぶられて俺は帰っていった。

活気のある曲を多く作るのは、そのときの楽しい思い出があるからなのだろうと自分でも認識している。

「そうだ。あそこへ行こう…」

あの時に比べ自分はもういい大人。あの時身長が足りなくて乗れなかったジェットコースターには乗れたが、
メリーゴーランドはもちろんのこと、コーヒーカップなども一人で乗るのはあまりに恥ずかしくて無理だった。
「Ayaさん呼べばよかったかなぁ」
とベンチに座りながら冗談交じりに笑った。

そうしていつの間にかもう閉園の時間。
寂しいメロディーが、古い、でもまだ白光りしているスピーカーから聞こえてきた。
昔の自分のように泣いている子もちらほら見えている中にRAMは曲のイメージを見出した。

「これだ!これならあのムービーともシンクロする!」

それは綺麗な夕焼けが観覧車を照らす、あまりに幻想的な風景だった。
513LAB作者:03/09/01 22:32 ID:???
第五章「SWITCH」

RAMは急ぎ足で自分の家に戻り早速曲作りを始めた。

基本はいつものシンセ音だ。
慣れ親しんだ音だが、自分の意一つで様々な表情に変化するこの音が、RAMにとって一番の相棒である。

曲全体をいい塩梅に締め付けてくれるスネアロールもRAMのお庭芸である。

そして終盤にシンセ音とは別の音で別のメロを乗せた。
それはさながら、今まで可愛いマーチが流れていた遊園地に響く営業終了の音楽のような寂しさを持っていた。

できたその曲は、やはりイメージとしてULTRAに近い。言うならばRAM風TECHNO HOUSEといった感じである。
514LAB作者:03/09/01 22:32 ID:???

次のミーティングの日、RAMはTAKAに曲を渡した。

「うおっ!RAMらしいなこれ!」
それはRAMがジェットコースターに乗り思いついた、LABに続く大爆発RAVEチューン、「ACT」である。
ここでRAMが注文した
「『LAB』みたいに人間が走り回る、疾走感あふれるムービー」
というのが後にプレイヤーへ大きな衝撃を与えることになるとは彼も想像していなかっただろう。

「よし、ucchieには俺から渡しておくよ。次の曲も期待してるよ」
「待ってください。もう一曲も持ってきましたから」
一度に二曲持ってくるという仕事の速さに、TAKAはあっけに取られた顔をしていた。

「いいなこれ、夏っぽくて。なんて言う曲なんだ?」
前からそうだったようにRAMは曲ができてからタイトルを考えるのが自分のスタイルである。
「タイトルは…そうだなぁ…後半からの変化が気に入ってるから…『SWITCH』って言うのはどうですか」
「『SWITCH』か…いいね」

RAMはTAKAに「今度までにもう一曲作ってきますよ」と言い残しIIDX班の部屋をでた。
「今度は俺も二次会に誘ってくれよ〜!ったく。・・・それにしても参ったなぁ…俺も負けていられないな」
TAKAは髪を掻きながら「SWITCH」を聞いていた。

「今度みんなを連れてもう一度行こう!」
廊下を駆けるRAMの顔は希望に満ち溢れていた。
515LAB作者:03/09/01 22:33 ID:???
後日談

TAKAはRAMに頼まれたとおりHOUSE系汎用ムービーをその曲にあてた。
9thの製品版を先にプレイ時、SWITCHの出来にRAMの表情は満足気だった。

「ACTはGYOが作ったそうだ」
「あれっ?Yasiさんじゃなかったんですか」
「今回Yasiさんは別の仕事でして」
「じゃあYUZさんは?」
「Ryu*とkors kので大変らしいから持ち掛けなかったよ」
「はぁ…。じゃあ5keyから来たっていうF-Flyは?」
「『人間を走らせるより僕の飼ってるJOJOを走らせましょうよ。うちのJOJOちゃんは世界一ぃーーーーー!!』とか言ってたから断ったよ」
「…」

ACTのムービーはいい意味でも悪い意味でもRAMの想像を裏切らないものだったという。

RAVE
ACT
RAM
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RAMは何処行った〜?(涙)(SLAKE)

ジャパニメーションのキャラっぽいけど、なんか違うアニメ美少女とか、どこか唐突で意表を突きまくりな(ry(VJ GYO)
516LAB作者:03/09/01 22:38 ID:???
というわけでSWITCHでした。
初めてゲームセンターで聞いた時からお気に入りの曲で、
是非書いてみたいと思って今回書きました。

他の長編に比べ表現技法もしょぼく、文も稚拙ですが、
好きな曲について一生懸命に書けました。
こんな文でも皆様に読んでいただければ幸いです。
(前も書いたなこんな事w)

ありがとうございました。