ブリジットが男確定で ひゃぁー ま、前がー

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ディズィーに賞金が既にかかっていないことをしったブリジットは落胆した。
大見得を切って出てきた手前、お金ももたずに、このままおめおめと故郷に帰るわけには行かない。
何とかしてお金を稼ごうとブリジットは必死になった。
街角に立っては大道芸をしてお金をもらい、新しい賞金首の情報を見つけては、出向いていって勝負を挑んだ。
しかし、都会の生活はそんなに甘くない。
田舎育ちのブリジットは、都会にでてきてはじめて人生の厳しさを知った。
大道芸など見てくれる暇人は少なく、物価は高く、手持ちの金もすぐに底をつく。
食事も満足にとれず、いつも腹をすかしている。
そんな状態で勝負に勝てるはずもない。
賞金首に勝負を挑んでは返り討ちに合う、連戦連敗が続いた。
お金のないブリジットは、つい一ヶ月ほど前から泪橋の下で生活するようになった。
橋の下、ダンボールの箱の中でブリジットは呟く。
「はあ……ウチには明日っていう日は永遠にこないんでしょうかねぇ……」
ブリジットは冷めて硬くなった中華まんをかじりながら、人形に問い掛ける。
「ねえ、ロジャー……最後に暖かいごはん食べたの、何時だっけ……?」
目下、この一週間はジャムの店のゴミ箱がブリジットの生命線だった。
シトシトと降りしきる雨の音を聞きながら、ブリジットは毛布をかぶる。
   ぴちゃ……
そんなブリジットの足を、冷たい水の感触が襲う。
「……??? キャアァァ!!」
この雨で増水した川が、ブリジットの住処であるダンボールを侵食し始めたのだ。
「ちょっと! ヤバイって! 流されちゃう!」
あせるブリジットをあざ笑うかのように、川の水はどんどん水かさを増す。
必死にヨーヨーと毛布、その他のものを引っ張り出したブリジットは、なんとか水のこない位置まで避難した。
   ゴオオォォォォ……
「ああああ……」
流されていくダンボールを眺めながら、ブリジットは目に涙が浮かんでくるのを感じた。
   キュルルル……
ブリジットの腹がなる。
猛烈な空腹感を感じ、ブリジットは思い出す。そういえば、食事の途中だったのだ。
これからのことはあとで考えよう……涙を振り払い、そう思い直して、ふと目を向けると、そこにはブリジットの晩餐を貪り食う一匹の野良犬がいた。
   ガツガツガツガツ……
「…………………ゥ…………」
あれ……? 何でウチ、泣くの我慢してるんだろ……?
今度こそ涙が頬を伝う。
そのままブリジットは雨に濡れる河原にしゃがみこんだ。

一晩冷たい河原に座り込み、本格的に風邪を引いたブリジットは、肺炎を起こしかけていた。
「やばい……ヤバイのヤバクないのって……このままじゃしんじゃう」
フラフラと街中を歩くブリジット。
「あああ……栄養ある物とらないと……」
そんなブリジットの目に、牛乳配達でに配られた白牛乳の瓶が目に入る。
「…………………」
ゆらゆらと、そしてゆっくりと牛乳の瓶に手がのびる。
ああ……この牛乳飲んだら、ウチの死期が少しのびる気がする……ううん……間違いなくのびる……でも、これは人様の……これ飲んだら、この家の人、きっと困るよ!
……で、も……さすがに、ウチより生活に困ってなさそうだし……もらっても別にいいよね? ねえ、ロジャーはどう思う? 飲んでいいと思う?
   ガチャ
「……!!??」
突然、家のドアが開く。
中からカイが伸びをしながら出てくる。
「さーて、今日も牛乳飲んで、聖騎士の仕事を頑張りますよ! 今日こそはあの男を……」
牛乳に手を伸ばすブリジットと目が合う。
「………………」
「………………」
   ッダッ!!!
次の瞬間、ブリジットは牛乳を引っ手繰って走り出していた。
「あ……! ま……待ちなさい! 逮捕しますよ!」
あわをくって追いかけるカイを尻目に、ブリジットは最後の力を振り絞って必死に走る。