クーラ萌えスレ〜僕等はタチムカウ〜

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787HYPAR7氏
「私、学校に行きたい」
とある日曜日の朝。ウイップが洗い物をしていると、
クーラが横へ来てこんな事を言ったのだ。
「えっ、突然そんなこと言われても・・・」
「制服着るだけでもいいの!お願い、ウイップ」
唐突に言われたため、ウイップは返答に困った。
なぜこんなことを言い出したのか理由を聞いてみると、
『街でみかけた同じ年頃の子達が可愛い服(制服)を着ていたから、
自分も着てみたい。』ということらしい。
確かに、クーラは14歳。普通なら中学生の年頃だ。
制服を着たいという気持ちもよく分かる。
けれど事情が事情なだけに学校へ行かせることも出来ない。
「ねぇ、いいでしょ?一回だけでいいから制服っていうやつを着てみたいの!」
「困ったわね・・・」
ウイップは洗い物をする手を止め、クーラの頭を撫でた。
「いい、良く聞いてね。確かに、クーラが制服着たいっていう気持ちも分かるのよ。
 だけど、学校に行ける状態じゃないでしょ?だから我慢して」
クーラが上手く学校でやっていけるかどうか心配だし、
何より学校へ行かせるお金の余裕もない。
制服を誰かから借りるという手もあるが、借りるあてが全くない。
「我慢出来ない!私、絶対制服着たいの!!」
クーラは半泣き状態でウイップにせがんだ。
一度こんな状態になると、しばらく手がつけられない。
「K'、後は頼んだわ」
一人奥の部屋でテレビを見ていたK'は、状況が把握出来なかった。
2人のいる所にやって来ると、クーラがわめいている。
「私ちょっと出かけて来るから」
「あっ、おいちょっと待てよ!!!」
ウイップはそそくさと部屋を後にした。
788HYPAR7氏:02/03/15 17:44 ID:dYe/mxMT
(これからどうしようかしら・・・)
部屋を出てきたのはいいものの、どうせ夕方には帰らなければいけない。
クーラの機嫌は相当悪く、しばらく落ち着かないだろうと思われる。
彼女の願いを叶えてやりたいとは思う。けれど、どうしても良い案が思い浮かばない。
ウイップは一人、頭を抱えるのだった。

彼女の足は街へと向かっていた。日曜日だけあって人が多い。
考え事をしていたせいか、ウイップは真っ直ぐ前を見ていなかった。
その時、誰かに勢い良くぶつかった。
「痛っ・・・ごめんなさい・・・って、え?」
顔を上げるとそこには見たことのある顔があった。
相手も自分に気付いたらしく、驚きの声をあげた。
「あなた、極限流の・・・ユリ・サカザキ?」
「そういうあなたは・・・ウイップさん!!」
偶然にもぶつかった相手は、去年のKOFで戦った相手だった。
「きゃーお久しぶりです!!元気でした?」
「ええ、まぁ・・・」
789HYPAR7氏:02/03/15 17:51 ID:dYe/mxMT
そっかー、ウイップさんの所、大変なんですねー」
ユリは目の前の紅茶をを一口、口に含んだ。
偶然の再会の後、彼女たちは喫茶店に入り、世間話や、自分たちの事についていろいろと話した。
ウイップは、今朝の出来事をユリに語って聞かせた。
「そうなの・・・それで今どうしようか悩んでた所なのよ。制服なんてないし。」
「お互い、大変ですね・・・」
二人は同時に深いため息をついた。
「あ、そういえば・・・!」
ユリは少しの沈黙の後、何か思いついたように言った。
「確か家に私の昔の制服があった筈・・・良かったらそれ、貸しましょうか?」
それまで暗い表情だったウイップの顔がぱっと明るくなった。
「ホント?じゃぁ悪いけど、貸してくれる?」
「私のお古で良かったらどーぞ!!あ、でも1つお願いがあるんですけど・・・」
ユリの顔つきが何か企んでいるような感じに変わる。
「何?私の出来る範囲でなら構わないけど・・・」
「ちょっと耳かしてください!!」
ユリがひそひそと耳打ちをした。
「あら、そういうことなら喜んでやるわ!」
ウイップの表情も怪しげになる。
「じゃぁ制服取りに行くから、家まで付いてきて下さい」
790HYPAR7氏:02/03/15 17:56 ID:dYe/mxMT
電車を使い一駅越して、そこから少し歩いたところにサカザキ家があった。
「ウイップさん、ちょっとここで待っててくださいね」
ユリはそれだけ告げるとバタバタと家の中に入っていった。
「ただいまー!お兄ちゃん、私の制服ってとってあったよね?」
「んー、ああ、確かあっちの押し入れにあったとおもうぞ・・・」
「良かったー!お兄ちゃんの制服もちょっと借りるねー」
「おいユリ、そんなの何に使うんだ?」
「いいからいいから!!」
奥から大量の制服を持ち出してきたユリは、また玄関へと戻っていった。

「ウイップさん、お待たせ!ハイ、これ。」
玄関の前で待っていたウイップに大きな紙袋を渡した。
「どうもありがとう。これ借りていくわね」
「いえいえ、気にしないで下さい。あ、だけどあの事は忘れないで下さいね?」
ユリはにやりと笑った。
「ええ、任せておいて・・・」
ウイップもにやりという笑いを浮かべた。
791HYPAR7氏:02/03/15 18:01 ID:dYe/mxMT
PM3:00。
「ただいまー」
「クーラ、制服借りてきたわよー!」
彼女の一言を聞いたクーラは一目散に玄関へ飛び込んできた。
「ホントなの、ウイップ?」
ウイップはこくんと頷く。紙袋を指さした。
「うわーい!!!ありがとうウイップ、大好きー!」
クーラがウイップに抱きつくと同時に、奥の部屋からK'が出てきた。
「ただいま」
「ああ、お帰り・・・ウイップ、制服どうしたんだよ?」
「今日偶然ユリ・サカザキに会って。借りてきたのよ。」
「あの極限流の・・・?」
「ええ。ここで話してるのもなんだから、早く部屋に入りましょう。」

「ウイップ!早く服出して!!」
クーラは興奮冷めやらぬ様子でウイップに頼んだ。
「はいはい・・・あ、何だか2種類入ってるわね。じゃぁまず定番のこのセーラー服。」
前でスカーフを結ぶタイプのセーラー服をクーラに渡した。
「わー、これが“せえらあ服”ってヤツだね!」
「ハイ、K'はコレね。」
そう言ってK'の目の前に差し出したのは学ラン。
「はぁ?何で俺が着なきゃいけねぇんだよ」
「K'のもあるんなら一緒に着ようよ。」
クーラは満面の笑みを浮かべてK’を見た。
ここでクーラに従わないとまた駄々をこねるので仕方なく従う事にした。
「ちっ・・・しょうがねぇな・・・特別だぞ」
K’はがっくりしながら自分の部屋へ入る。
「さ、クーラ。着てみて」
「う、うん・・?」
クーラは、朝制服を着たいと言ったとき、いい顔をしなかったウイップが
今は自分より楽しそうにしているのを不振に思った。
けれどそれもさほど気にせず、服を脱ぎ始めた。
「あっれぇ、コレってどう着るんだろう・・・?」
クーラが着方に悪戦苦闘していると、ウイップは鞄からカメラを取り出した。
(ちゃんと約束は果たさなきゃ、ね・・・)
792HYPAR7氏:02/03/15 18:05 ID:dYe/mxMT
約束とは、ユリ・サカザキから制服を借りる条件の事である。
その内容は、
『制服を貸す変わりに、クーラとK'の制服姿を写真に納める』
というものだった。
その条件をウイップは快く引き受けたのだ。
そんなことを思い出しているうちに制服を着たK'が部屋から出てきた。
「おい・・・こんな感じか?」
当然学ランを着るなんて初体験のK'。照れているようにだった。
「あははは。K'不良学生みたいよ!!まぁでも似合ってるわ」
浅黒の肌に銀髪、確かに不良っぽく見える。
「おい!笑うんじゃねぇ!第一ウイップが着ろって言ったんじゃねぇか!」
「まぁまぁ落ち着いて・・・」
「ねーねー二人とも見て!似合うでしょ?」
クーラが二人の間に入ってきて、制服姿の自分を披露する。
「あら、よく似合ってるじゃない、クーラ。ほら写真撮るから二人でそこに並んで」
「おい、写真なんか撮るなよ!!」
「いいじゃん、撮ろうよK'」
クーラがK'の腕を組むと、すかさずウイップがシャッターを押した。
「ふふ・・・純情カップルみたいでいいわね」
相変わらず、クーラよりもウイップの方がはしゃいでいる。
「ねーウイップ、次のも早く着たい!」
「ああそうね・・・もう一着はブレザーだわ。良かったわね二種類着れて。」
紺色のブレザーに赤×黒のチェックのリボン。同柄のスカートで、なかなか可愛らしい。
それをクーラに手渡すと、部屋に戻って着替え始めようとしているK'を呼び戻す。
「K'、あなたの分も、もう一着あるのよ。」
K'は無言のままドアを開けた。
抵抗しても無駄だと悟ったのか、おとなしく制服を受け取った。
793HYPAR7氏:02/03/15 18:08 ID:dYe/mxMT
数日後。
ウイップは一人、とある喫茶店へ向かっていた。
ユリ・サカザキに会うためである。
写真の現像も終わり、制服を返しに行く所だった。
店内に入るとすでにユリは座っていて、こちらに向かって手招きをしている。
「ウイップさん、こっちこっち」
ウイップは席に着くと、コーヒーを注文した。
「これ、どうもありがとう。本当に役に立ったわ」
大きな紙袋をユリに渡す。
「いえいえ、いいんですよ。それより、例の物持ってきてもらえました?」
「ええ、もちろんよ・・・」
待ってましたとばかりに、ウイップは鞄の中から取りに行ったばっかりの写真を取り出した。
テーブル一面に写真をバラ撒く。
「きゃーK'さん不良みたーい!!」
「やっぱりそう見えるわよねぇ」
「あー、こっちのクーラちゃんちょっとえっちな感じ!ウイップさん撮り方えっちぃですよぉ!!」

こうして二人の会話は一日中店内に響いていた。 〈終了〉