クーラ萌えスレ〜僕等はタチムカウ〜

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255くーら親衛隊No.81
日常〜あるいは平穏な一日・第三部 『K'とクーラの永い夜――前編』
             ☆
「K'のばかぁっ!大っっっキライ!」
涙声で叫ぶと、クーラはドアを乱暴に開け部屋を飛び出した。
後には彼女が床に叩きつけた紙袋がぽつんと残された。
「あらぁ…まいったわね。なにやら困った勘違いしちゃったみたいよ、あの娘。――どうするの?K'」
ウィップは伸ばした手を戻し、そのまま髪をかきあげつつ「やれやれ」といった口調で言った。
「…知るかよ。あいつが勝手に誤解したんじゃねえか。俺の知ったこっちゃねえよ」
K'は目をそらす。どこかふてくされた少年を思わせる態度だ。
「ふふ、本当に、相変わらず素直じゃないのね。でも…このまま放っておいていいのかしら?」
「……ちっ」
256くーら親衛隊No.81:02/01/08 04:38 ID:lYNNrn/5
――話は30分ほど遡る。
その日の午後、クーラは足取りも軽くK'の部屋へと向かっていた。
服装はお気に入りの青いブラウスと淡いヴァイオレットのフレアースカート。
髪には小さな赤いリボン。手にはダイアナからもらったおしゃれな紙袋。
フォクシーにせがんでちょっとだけお化粧もしてもらった。
薄めのアイシャドーと軽く塗ったリップグロスだけでも、十分大人になったような気がする。
取り立てて今日が特別な日というわけではない。
ただ、朝からわくわくしながら「それ」を渡しに行くときのことを考えていたクーラにとっては、
やっぱり今日は特別な気合の入る日なのであった。

そもそもの始まりは、クーラが作った料理に対するK'の
「こんなもんが食えるか!」
という一言がきっかけである。
それに対してクーラはいったん怒ったものの、すぐに機嫌を直しはしたのだが、
思い出すたびにやっぱりなんだか悔しい。
「K'に『おいしい!』って言わせてやるぅっ!」
その決意の元に、この数日というものフォクシーとダイアナに無理を言って
料理やお菓子の作り方の特訓を受けてきた。
そして今日、クーラ自身一番上達したと思えるメニュー、イチゴのショートケーキを作ってK'に渡し、
見直させてやろうと思って朝から奮闘してきたのである。
嬉しいことに、ケーキは過去最高の出来に仕上がった。フォクシー達も感心してくれた。
そして今、それを大事に箱にしまい紙袋におさめた後で、精一杯のおしゃれをしてK'の部屋へ向かっているというわけである。
257くーら親衛隊No.81:02/01/08 04:45 ID:lYNNrn/5
――ちょうどその頃。
K'はその日、暇なので目先を変えて(昼間から)街にでも呑みに行こうと思っていた。
のんびりと支度を終えて部屋を出ようとしたまさにその時、ドアのチャイムが鳴った。
「(…タイミングわりぃな…どこのどいつだよ…)」
目の前の覗き穴からドアの向こう側を見たK'は、そこにいた予想外の人物の姿に思わず絶句した。
「(ウィップ……!!)」

「で…お前が俺に何の用だ?」
ひとしきり挨拶と社交辞令の世間話を述べるウィップの言葉を遮り、K'は苛立たしげに問う。
「あらずいぶんね。元とはいえチームメイトにその台詞は少し冷たいんじゃない?」
微笑してかわすウィップ。しかしすぐに真顔になり、声のトーンを落として言う。
「あなたの気持ちはわかる…あなたと私の関係は複雑すぎるから。お互いどう接するべきなのか、
あなたは戸惑うだろうし、私だってわかっているわけじゃない…。だけど伝えなくちゃいけないことがあって来たの。
それだけ。他意はないわ」
「…だから何の用だって訊いてるだろ」
「そうね。ごめんなさい。…単刀直入に言うわ。セーラさんの情報が少し入ったわ。
軍の回線から調べて判明したことをファイルしてきたから…渡しに来たの」
「セーラ…姉さん、の…?」