アクアリウム殺人事件 

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1pH7.74
ブゥゥゥゥゥン・・ブゥゥゥ・・

昨日、思いつきで寝室に設置した外部ろ過が唸りを上げている
深夜3時まで作業をしてやっと設置が完了し、倒れこむように眠った。
無機質な水が永遠と循環されている。

やっべ、もうこんな時間だ!
パンに、ごはんですよ!を練り込んでコーヒーをがぶ飲みするのが朝の日課だが、
今日は朝食を食べる時間なんて無い
2pH7.74:2009/03/27(金) 13:45:36 ID:FhaRtmYr
犯人はヤス
3pH7.74:2009/03/27(金) 13:48:38 ID:y7A7zmqi
だが今日の俺はいつもと違っていた。とても腹が減るのだ。
俺はまだ袋に残っていたパンに再度手を伸ばし、ごはんですよを塗りたくって食った。
この芳醇な薫り、柔らかな食感。俺は無我夢中で家中のパンを平らげた。
どのくらい経っただろう。窓から差し込む光は赤く染まり、カラスの泣き声が聞こえてくる。
俺は再びベッドに入り、深い眠りについた。
4pH7.74:2009/03/27(金) 14:04:15 ID:UdWx1fzv
ななな、、ちょちょっと・・やっやばい・・なんだよコレ・・

5つの水槽すべてが水漏れして部屋中に滝のごとく流れ落ちていく。
雑巾で拭いて絞って、拭いて絞って・・何十回、何百回と雑巾を絞っても水が減らない。
むしろ部屋が沼のようになり、しまいには溺れていく・・もう・・だめか・・

んぐハっっ・・・夢?・・
全身が冷や汗、油汗、なんだかわからない液体で、ずぶ濡れになっていた。

くそ・・こんな悪夢を見るのは、卓也のせいだ!
5pH7.74:2009/03/27(金) 15:55:26 ID:D0A+VJAu
そうやってぶつぶつと悪態をつきながらシャワーを浴びた。

・・・

シャワーから出た後キッチンに向かったが冷蔵庫には何も入っていなかった

くそっ!また卓也の仕業か!!


近くの自動販売機だからいいだろうと、その辺にあったコートをとりあえずはおって家を出た

ビー、ガシャン。

満足気にコーラを手に取り息が詰まるまで飲んだ。


ふぅー…

その時だ、ふいに後ろから女性の声がした。中学の同級生の陽子だ…

・・・久しぶりね、元気してた?
6pH7.74:2009/03/27(金) 20:03:33 ID:OyDvbXcz
陽子は成績優秀、中学生ながらスタイルもいい、性格も優しい。

彼女はアクアリスト仲間で俺と気が合う。

ただ一つ残念なのは、アクア道具を通販で買う癖があるのと、メイン水槽が
俺の60cm水槽より大きい90cm水槽である点だ。
7pH7.74:2009/03/27(金) 22:31:08 ID:D0A+VJAu
卒業後陽子は進学校に進み、大学に合格したと聞いた。

や、やあ。帰って来てたんだ。

とんでもない恰好をしてたが、コートの襟を直しながら言った

うん。ちょっとね…。

陽子は下を向いて小石を足先で転がしながらつぶやいた。





今何してるの?

少しの沈黙にも耐えられず思わずありきたりな事を聞いてしまった。

あーうん。九州の大学に通ってるの。知らなかった?

う、うん。

知ってたとは答えられず、また長い沈黙になってしまった。



下を向いていた陽子が急に顔を上げてたずねた。
あのさ、・・・卓也君の事なんだけど…
8pH7.74:2009/03/27(金) 23:43:02 ID:tfYMHsVP
つづきはやくw
はやくw
はやくw
はやくw
9pH7.74:2009/03/28(土) 00:50:12 ID:L7us4nRp
よく見ると陽子はブランド物のバックに不釣り合いなキーホルダーを付けていた。

あ、のね、今こっちにいるんだよね?

卓也と陽子。過去に何があったのか、よく知ってる身分としては嘘は言えないだろうと思い、軽い口調で答えた。

昨日あったよ。家にもよく来るよ。多分今日も来るんじゃないかな。連絡してみようか?

話が急に進んで陽子は少し困ったような顔をしたが、少しも悪気は感じなかった。
状況が飲み込めなくてほんとは違う話もたくさんしたいはずなのに、卓也の話ばっかりで、嫉妬していたからだ。

あ・・・・うん。あ、でも連絡はしないでいい・・・

連絡はしないでいい。その言葉に、ただ何となく重大な用で来ている。そんな雰囲気を感じていた。


家に着いて真っ先に玄関で陽子が言った

あ、熱帯魚飼ってるんだ…

あーうん

陽子をテーブルの前に座らせると生返事をしながら脱ぎっぱなしの服を洗濯カゴに押し込み、急いで着替えた。
冷蔵庫を開けてさっきと何も変わらない光景に、つくづく自分の気の利かなさにいらついた。
飲みかけのコーラを冷蔵庫に押し込むと個包装のインスタントコーヒーをお揃いのマグカップにセットした。

お湯がわくまでちょっと待ってて

陽子と二人で自分の家にいる。そんな単純な状況に浮かれたのか、さっきまでの嫉妬はすっかり無くなってしまっていた。

陽子は柔らかいピンク色の服に小さな石の着いた月と太陽の組み合わさったペンダントをしていた。


陽子はじっと座ったまま水槽を眺めていたがコーヒーを出すのと同時に手に隠れてしまう程の小さな箱をテーブルに置いた…
10pH7.74:2009/03/28(土) 16:31:45 ID:L7us4nRp
これを卓也君に渡して欲しいの

陽子はそう言うと指先で箱を少し押した。そしてコーヒーを1口飲み、立ち上がった。

お願いね

陽子がそう言うのと共に座り、コーヒーを飲んだ。陽子は下から見上げると今までよく見えなかった顔がはっきりと見えた。

もう帰るの?

この箱は何なのか?何故何も説明してくれないのか?疑問はたくさんあったが、そう言うしかなかった。

うん。卓也君がいなくてよかった。

そう言って、隣を通り過ぎようとする陽子の左手に握られたハンドバックを掴んだ。
11pH7.74:2009/03/29(日) 23:13:26 ID:aKgw97Nf
そしてたった一つだけ聞きたいことが口をついた。









「陽子、なぜ、落ち葉水槽を辞めたんだ?」


12pH7.74:2009/03/30(月) 14:41:04 ID:CRN5ZCUk
陽子は核心を突かれたのか、左手がふるふると小刻みに震えていた。
長い沈黙の後、陽子は前を見ながら言った。

公園の落ち葉ってね、農薬が付いてるかもしれないんだって・・・

そんな事、わからないじゃないか。何かの間違いだって事も。

いろんな事が見えて来た。何故陽子が帰って来たのか、卓也に会いに来たのか。

じゃあこの箱は…?

うん。そう。今更になってだけど…私、過去を引きずったままじゃ前に進めない。

陽子はペタンと床に座り、両手で顔を覆った…





ガチャリ。

その時玄関のドアがゆっくりと開いた。
13pH7.74:2009/03/30(月) 15:19:05 ID:mVanjWO4
はやく押し倒せよ
14pH7.74:2009/03/31(火) 11:01:17 ID:VYATjU2r
メンヘラオチ
夢の夢オチ
さあどっオチ!
15pH7.74:2009/04/01(水) 00:14:55 ID:UQQWoyX7
「大和運輸の山本ですー。荷物をお届にまいりましたー。」

宅急便だ。俺は鞄から財布を探し出し、足早に玄関へと向かう。
陽子は邪魔しないように気を使ってか、隠れるように奥の部屋へ行ってしまった。

玄関には筋肉隆々、体格の良いお兄さんが汗だくで立っていた。
「チャームさんからお荷物が届いてますね。5330円になりますー。」

お兄さんを見送り、やたら重い荷物を抱えながら水槽のある寝室へ俺が戻ると、陽子が笑顔でこちらへ来た。
「なになに、何を買ったの?あー、エッチなおもちゃでしょ。」
「ちっ違うわボケ!」
慌てて言い訳する俺を茶化すように、笑う陽子。
「お前だって通販やってんだから知ってるだろ。チャームだよチャーム。」
そそくさと箱を開封する俺を尻目に、目をキラキラと輝かせて箱を見つめる陽子。
(かわいい…)
さて、届いた荷物の箱の中身は…
16pH7.74:2009/04/01(水) 01:45:06 ID:fbrLZcaM
グロキター
17pH7.74:2009/04/01(水) 16:27:27 ID:pJq6S60v
怒羅壊悶―――どらえもん
18pH7.74:2009/04/01(水) 19:50:01 ID:XcCKcVaL
次の執筆担当者は責任でかいな。
チャームでの購入、謎の小包、値段が5330円を組み合わせる必要がある。
19pH7.74:2009/04/03(金) 01:43:47 ID:GpUDKQJW
エッチなおもちゃだ…まさか卓也か?!

陽子は箱の中身を見た瞬間に立ち上がってしまった。

た、卓也の仕業かな?あいつたまにこういう悪戯するから

明らかに動揺して言った言葉には何の説得力もないようだった。

こういうの好きなんだ?最低・・・

想像できる1番マシな言葉だった。しかし何故チャームの名前でエッチなおもちゃが…?

あ、ちょっと待って!!

振り返り、帰ろうとする陽子を引き止めようとしたが段ボールに左手が入り、前に倒れ込んでしまった。
部屋に散らばるエッチなおもちゃ達…

必死に起き上がろうと側にあった椅子を掴み、立ち上がったが今度は足で段ボールを蹴ってしまった。

再び前のめりになりバランスを崩す。凄まじい物音に何事かと振り返る陽子…その陽子にぶつかり…………


・・・


覚えているのはここまでだ。



うっ…頭がいたい

気がついた時に陽子は何故かずぶ濡れの状態で横たわっていた。まさか水槽に?いや、水槽は何も変わってはいない。

いくら呼びかけても意識が無い。救急車を呼ぼう。
とりあえず陽子を抱き抱え、寝室に向かった。

しかし、そこで目を疑う光景を目の当たりにした。


た、卓也…
20pH7.74:2009/04/03(金) 02:05:56 ID:SAmapY4x
エッチなおもちゃ萎え〜
せっかくだからアクア板らしいもので頼むよ。
21pH7.74:2009/04/03(金) 03:19:20 ID:SeApSM4m

み、みみみんな、ヒヒヒヒマなんだなウン
22pH7.74:2009/04/03(金) 09:23:38 ID:LnJLktcs
>>12
>>13
ヤマト運輸、勝手に玄関開けるなよw
23pH7.74:2009/04/03(金) 18:56:16 ID:kw5IhEBt
卓也・・・何してるんだ?どうして陽子がずぶぬれなんだ?
俺はそう言いながら頭の中に嫌な予感が走った。
ま、まさかお前が・・・

ちっちげーよっ!お前らこそなんなんだよ。
鍵開いてたから入ってきたら二人仲良く寝てるから放っておいたんだぞ。
しかも周りには俺のおもちゃぶちまけて・・・
このおもちゃはお前の名前借りて買ったたんだよ。金は返すからさ。
ってか、着いたばかりの俺の持ち物二つも奪いやがってなんよ〜ったく。
ま、陽子の方は過去の・・・・か。
それより陽子がずぶ濡れなのは俺も気になってたんだ。

陽子がずぶ濡れなのは俺も知らないんだ・・・
俺はニヤニヤした卓也に真剣に答えた。

そして数秒の沈黙の後

ならどうして陽子はずぶ濡れで意識が無いんだ。

俺と卓也は声を合わせて驚いた。
陽子が寝ているんじゃないとやっと気付いた卓也と俺は
急いで救急車を呼んだ。
24pH7.74:2009/04/03(金) 19:05:19 ID:kw5IhEBt
俺が意識をうしなってから卓也が来るまでに
いったいなにがおきた!

続きはよろしくw
間があいたらまた俺が書くww
25pH7.74:2009/04/03(金) 21:51:00 ID:ZuDjS4xu
ペロ・・・
これは、海水・・・

卓也はずぶ濡れの陽子に舌を這わせ呟いた。
26pH7.74:2009/04/03(金) 23:39:53 ID:GpUDKQJW
>>23
文の空気違いすぎて萎える
27pH7.74:2009/04/04(土) 19:35:11 ID:DMPbTuDs
>>15
までは面白かったのに急につまらなくなったな。
28pH7.74:2009/04/04(土) 21:18:31 ID:Zg0rB8ST
救急隊が駆け付けると陽子はまるで人形のようにあっという間に担架に乗せられ、運ばれていった。

しばらくして救急隊の人が呼んだのか、警察官が来て状況を説明させられた。

陽子の事はほとんど知らないし、この一件とは関係の無い話ばかり聞いてきたので、一通り済んだ後はすっかりくたびれてしまった。

警察官に病院に行きたいと言ったが何故か許してはもらえなかった。

それからこれは後で気付いた事だが、額に大きなたんこぶができていて、警察官は始め、二人がもみ合った末の出来事だと思っていたらしい。


警察官を玄関まで見送ると何故か卓也もすぐ帰ると言い出した。

警察官には卓也とは別に話を聞かれたので卓也が来た時の状況を聞きたかったが、卓也は用事があるからと言って利かなかった。

余りすっきりとしないまま再び玄関から戻るとテーブルに置かれた小さな箱が目に入った。

あ…

陽子の座っていた所にゆっくりと座り、右手で箱を手元に引いた。
箱はさらさらとした紙で出来ていたが、思いの外ずっしりと重かった。
そのまま蓋を引き上げると中には折られた紙が入っていた。

いや、これは卓也の物だ

罪悪感を覚え、そのまま蓋を閉じようと左手で箱の底を掴み、持ち上げると折られた内側がちらりと見えた。

あ、写真・・・!?

中に入っていた物は意外にも写真だった。

悪い気はしたが写真を取り出し、開いた。

でも、…これは…

入っていた写真は卓也と陽子が写っていたが二人以外は真っ黒に塗り潰されていた。

その異様な写真にぞっとして思わず背後を振り返ってしまった。

しかし、これはどういう意味なんだろう…?

箱の中にはもうひとつプラスチックのパーツが入っていたが何かの部品なのかさっぱりわからなかった。
29pH7.74:2009/04/04(土) 22:33:56 ID:EOuZxjbT
>>1もういいよ
削除依頼出して来い
30pH7.74:2009/04/05(日) 12:00:06 ID:5insI0aZ
なんだコリア
31pH7.74:2009/04/05(日) 12:43:05 ID:7cO3+mj3
じゃあ>>15から

大きなダンボールを開けるとそこにはエーハの500とヒーターカバーとプレコハウス、おまけのあひる君が入っていた。
おかしい・・・うちはプレコなど飼っていない、そもそも・・・
虚ろな記憶を辿るがどうしても思い出せない。
もしやプレコハウスは送料無料が目的?それともおまけ?
しかしそんなことを延々と考えている状況ではない。
今は陽子がそばにいる。目の前の広がる物を片付けることが先決だ。
ダンボールの中の物を取り出し納戸に仕舞い込みダンボールをたたんだ。
「ちょっとゴミ出してくる。」


32pH7.74:2009/04/05(日) 12:49:01 ID:pwVsdbKP
>>31
いや、>>15がおかしいんだろ…なんで15の続きからなんだよ
33pH7.74:2009/04/05(日) 12:59:25 ID:7cO3+mj3
マンションのゴミ捨て場、紙おむつのつんとした臭いと、生ごみの刺激臭が立ち込める。
昇ももうここにきて半年、いい加減この臭いにも慣れてきた。
相変わらずプレコハウスのことは思い出せなかったがあることを思い出した。

今日はかねだいでインペリアルゼブラのセールだ。
これも何かの縁、陽子もきっと喜ぶに違いない。
少し浮かれた気分で部屋に戻るが陽子の様子がおかしい。
一呼吸し、意を決したように陽子は開口した。
「2,3日でいいの。ここにお世話になってもいい?」
34pH7.74:2009/04/05(日) 13:13:27 ID:7cO3+mj3
>>32
すまん、チャームネタからなら繋げられそうだったもので・・・
35pH7.74:2009/04/05(日) 13:15:08 ID:7cO3+mj3
重要なことのはずなのにセールのことが頭にあったのか返事ひとつで返してしまった。
「どうぞ。」
陽子には十分な返事だったらしい、先ほどの張り詰めた面持ちから一転笑顔が戻っていた。
「ありがとう。」
昇もその笑顔を見て安心した。
「陽子、これからかねだいにいくんだけど一緒に行かないか?」
「ううん、私ここで待ってるわ。いってらっしゃい。」
少し寂しい気もしたが、"いってらっしゃい"と言う言葉に表情がほころんだ。
「行ってきます。2,3時間で戻ってくるから。」

エンジンの掛かる音すら楽しみながら軽快に車を走らせた・・・。
36pH7.74:2009/04/05(日) 13:51:07 ID:7cO3+mj3
かねだいにつくと真っ先にセール品のある発泡スチロールのコーナーに急いだ。
「遅かったか・・・。」
時計の針は午後3時を指している。
それでも諦めきれずに気の良さそうな店員に尋ねる。
「インペリアルゼブラプレコのセールって終わっちゃいましたかね?」
店員は申し訳なさそうな顔でこちらを見ると口を開いた。
「申し訳ありません、インペリアルゼブラプレコは問屋の都合でセール中止になってしまったんですよ。」
「そうですか・・・。」
かねだいではよくあることだ。しかもこんな時間だ。
例え中止にならずとも朝並んでいた誰かが買っていただろう。
しかし燻った気持ちは晴れず、しばらくうわの空で水槽の魚たちを見渡していた。

・・・もう帰ろう・・・。足取り重く昇は車に乗り込む。
普段ならそこで諦めるところだが・・。
昇は部屋を出るときの陽子の笑顔を思い出していた。
ここまま帰っても俺の気持ちは沈んだまま。こんな俺といたらきっと陽子も楽しくないだろう。
それに陽子の喜ぶ顔を見たい。

昇は何かに取り付かれたように店に戻ると開口一番、
「ワイルドインペリアルゼブラプレコLサイズください!」
37pH7.74:2009/04/05(日) 14:24:51 ID:7cO3+mj3
帰り道、昇の気持ちは高ぶっていた。
外は日が沈みかけ強い西日が差している。
昇は目をすぼませ訝しげな表情をすることで感情の高まりを抑えていた。



「ただいま。遅くなってごめんね。」
部屋のドアを開けるや否や昇は声を発した。
次の瞬間、眼下には信じられない光景が広がっていた。
ただならぬ雰囲気を感じ取った昇の顔からは血の気が引き、冷たい汗が流れる。
「陽子!」
昇は声を荒げる。
部屋は一面水びだしになり外部フィルターがカラカラと唸り声を上げている。
水槽の水は8割近く無くなっている。
そしてその傍で陽子が倒れていた。

「何があったんだ?」

全く状況がつかめぬうちにチャイムが鳴った。
「すいません、警察のものですが。」
どうやら水漏れした下の住人が通報したらしい。
昇はへたへたと玄関に向かいドアを開けた。もはや何も考えられる状況にはなかった。

「これは・・・・!」
「ちょっと署まで御同行お願いします。」



38pH7.74:2009/04/05(日) 22:33:06 ID:7cO3+mj3
昇は疲れていた。
何も分からずただただ繰り返される尋問。

大柄でいかめしい顔つきの刑事が口を開く
「被害者の女性だが・・・彼女に外傷はなかった。
 そして君はかねだいに行っていた。確かにその証言は取れている。
 君が買った熱帯魚からもそれは明らかだろう。
 しかし君が家を出ている間、防犯カメラにも誰も映っていないんだよ。
 なぜ彼女は死んだんだ?」

尋問、そして尋問、どれぐらい経っただろう。

ガチャリとドアが開くとまた別の刑事が入ってきた。歳は30前後、若手の刑事だ。
きしりとした格好とテキパキとした仕草からは初々しさすら感じられる。
「被害者の女性の体内からフグの毒が検出されました。死因はフグ毒による血圧降下、呼吸停止です。
 死亡推定時刻は3時20分。なお水槽内の水、床にこぼれた水にも微量ながらフグ毒が検出されたようです。
 しかしその水槽の水を飲んだ痕跡はなく、仮に飲んでも検死結果のような濃度になることはなく死ぬこともないとのことでした。」
「報告ありがとう。」
それを受けて大柄の刑事が話し始める。
「なるほど、君はアクアリウムが趣味だったね。
 フグ毒ならばどこからか入手することもできたんじゃないか?さて・・・」
「俺はフグなんて飼ったことがない。まして海水なんてやってない。
 俺は何も知らないんだ。店から戻ってきたら彼女が倒れていた。 
 何か確認しようにもすぐに警察が来たんだ。俺のプレコは今どうなっている?」
39pH7.74:2009/04/05(日) 22:38:59 ID:7cO3+mj3
中年で小太り、にやけた感じの薄気味悪い雰囲気の刑事が口を開く。
取調べの最初からいた男だ。昇は一目見た瞬間からこの男に嫌悪感を抱いていた。
「淡水のフグにもね、毒はあるんですよお。まだよく分かっていない部分はあるけどね。
 そもそも飼っていたかどうかは問題ではないんです。プレコの心配もいらないね。
 それも重要な証拠物件ですから。今は僕が丁重に預かっていますよ。
 だいたい君の水槽はまだ立ち上げて間もないじゃないの。
 そんな水槽にパイロットフィッシュもなしで水槽ドボンしちゃったら
 プレコはかわいそうだよなあ。まあ人殺しができるようなやつならこんなものでしょうけど。」
自分の発言に酔っているのか、話終えた後でうんうんと頷いた。


何の進展もないまま2日が過ぎ昇はようやく解放されることになった。
小太りの刑事が昇の肩に触れ呟いた。
「君の容疑がはれたわけじゃないから。
 プレコの方は僕がちゃんと面倒を見るから君はいつでも自供していいんだよ。」
外は大雨だった。悲しみと悔しさに打ち拉がれながらも昇は誓った。
必ず警察より先にことの真相を明らかにする、と。

40pH7.74:2009/04/05(日) 22:45:26 ID:7cO3+mj3
昇はもう一度陽子が来た日のことを冷静に思い出してみた。
陽子が来て、チャームが届いて・・・
そうだ、チャームだ!何かを思い出したように部屋に向かおうとした。
しかし部屋の前には警察がいて立ち入り禁止になっている。
くそっ、何とかしなければ・・・・。


ある!まだ間に合うかもしれない。
昇はゴミ捨て場に急いだ。

刺激臭が立ち込める。しかし昇は夢中だった。どうやらまだごみは回収されていないようだ。
「見つけたぞ。やはりそうだったのか!」
差出人はチャームになってはいるが住所が違っている。
そしてその住所は・・・出鱈目だ。
「俺は確かに送料無料になるようにいらないものも買う習性があるし、
 頻繁に買うから何を頼んだか忘れることもある。
 だが今度ばかりは注文していない!」
誰かが成りすまして送っていたことが分かった。
そしてこの筆跡には見覚えがあった。

「ま・・さ・・か・・・・卓也・・・・!?」

41pH7.74:2009/04/05(日) 22:57:55 ID:7cO3+mj3
すぐにチャームに電話をした。個人情報に厳しい世の中だ。
正直に名乗っても教えてくれないだろう。そして昇は卓也の住所も電話も郵便番号も知っている。
昇は最初から卓也の振りをして掛けることにした。
「すいません、私、澤山卓也と申しますが、一週間ほど前にエーハイム500とヒーターカバーと、
ヒカリクレストプレコとあひる君を頼んだのですが違うものが届きまして・・・。」
「申し訳ございません。ただいま確認致します、少々お待ちください。
 ・・・失礼ですがお客様が頼まれたのはエーハイム500とヒーターカバーと、プレコハウスとあひる君のようですよ。」
ビンゴだ!
「そうですか、もう一度確認します、失礼しました。」


どうやら荷物を送ったのは卓也で間違いがないようだ。

昇はもう一度かねだいから帰ってきたときの状況を思い出す。
思い出したくはない、でも思い出さなければ・・・。
外部フィルターがカラ回る音、こぼれた水槽の水、そして横たわる陽子・・・。
そうだ、外部フィルターが2つになっていた。
彼女もアクアリストの端くれ。目の前にある水槽と外部フィルターに送られてきたエーハの500を繋げてみたかったんだろう。
そして空の外部フィルターを使うには呼び水が必要だ。
卓也も当然知っていることだ。
フグ毒をホースの外側に塗ったに違いない。
しかし呼び水をするためにはフィルターを止めなければならない。
それならなぜモーターは動いていたのか・・・。
ふと昇は釣り基地三平を思い出した。フグ毒には遅効性があるのだ。
陽子に毒が回り始めたときホースに気づき最後の力を持って水槽から取り外したのかも知れない。
俺が水槽内に魚を入れさせないために・・・。

42pH7.74:2009/04/05(日) 23:05:08 ID:7cO3+mj3
昇は全てを悟った後、卓也の住むアパートに向かった。
「やあ・・・、彼女元気?」
冷静でいるつもりだった。
だが卓也の言葉は昇にはあまりにも許しがたいものであった。

昇は怒りに震えながら鬼の形相で卓也を睨みつけ思い切り殴り飛ばした。
口元から流れ出る血をぺロリと舐め卓也は話し出す。
「へへっ、いい気味だぜ。俺はお前が憎かった。
 ろくに水合わせもしないくせに上から目線で水槽語るお前が!
 サブストラット以外はゴミだと言って麦飯石10キロ買った俺をあざ笑うお前が!
 仇は糞だと言ってたくせに通販禁止になった途端にアマゾニア買い漁ってたお前がなあ!
 陽子は本当はお前のことが好きだったんだよ!
 あいつが告白しようとしたときお前は合コン三昧で女遊びが激しかった。
 あいつはお前の気を引くために俺と付き合ったんだ。
 へへっ、お前がインペリアルゼブラをほしがってたことも、かねだいのセールのことも知ってたぜ。
 この前の飲んだときにべらべらしゃべってたもんなあ。
 その後、俺はチャームにお前がほしがってたものを注文。
 お前が送料無料になるまで買い続ける男だと言うことも、おまけを欠かさない男だということも
 当然知ってたさ。陽子には暴言吐いてお前のとこに行くよう誘導したんだ。
 こんなに上手くいくとは思わなかったよ。
 俺は、おまえが陽子の目の前で泡噴いて死んで醜態さらすのも、
 陽子が死んでお前から全てを奪うのもどちらでも良かったんだ。
 おっと、俺は警察には捕まらねえ。まあ慎重にやったが俺の指紋が見つかってないようだしな、
 上手くやれたらしい。澤山卓也は失踪。
 二重経由で色々工作したが結局お前が犯人でしたってことで片付くんだよ。
 クレジットカードもここにおいておくぜ。じゃあな。」
43pH7.74:2009/04/05(日) 23:09:55 ID:7cO3+mj3
「キキーーーーッ!!ドンッ!」
外ですさまじい音がした。昇は外に出ると、そこには車にはねられ体が引きちぎられた
見るも無残な卓也の姿があった。
「いてえよ、くそがァ・・・。あ、あの世でも陽子を苦しめてやるよ。はは・・は・・・。」
「お前は地獄に落ちるんだ。陽子には触れられない。」

ウーン、ウーン
サイレンの音が鳴り響いている。





あれから5年の月日が流れた。
パンに、ごはんですよ!を練り込んでコーヒーをがぶ飲みし、プレコに餌をやるのが俺の日課だ。
44pH7.74:2009/04/06(月) 01:06:04 ID:LmEzlibM
簡潔した……
45pH7.74:2009/04/06(月) 10:43:54 ID:k2mStI4O
じゃあ次
46pH7.74:2009/04/06(月) 19:15:48 ID:Y+GCYN5Q
なにげに面白いw
47pH7.74:2009/04/06(月) 20:00:38 ID:gqQTSDdy
>>44-46
2部的な感じでスタートさせるなり全く新しい設定から始めるなりお願いします。
おそまつさまでした。
48pH7.74:2009/04/06(月) 21:28:54 ID:PxiQ6z9q
その日は大粒の雨だった

外は夜でもないのに暗く、何か嫌な予感がするのを感じていた



亀田絵梨(16)は頭が良く、友達も多く、悩みもなさそうだった


しかし、雷雨のこの日、マンションの一室で
首を吊って死んでいるのが家族によって発見された


どう見ても自殺・・・しかし自称名探偵『魚・君』は
一瞬で自殺ではない事が分かった



ヒントは熱帯魚
49pH7.74:2009/04/06(月) 21:36:53 ID:k2mStI4O
かと思いきや、遺書がみつかり、友人関係でトラブルがあった事が証言によって裏付けられた。

みんなは決して自殺なんかしちゃいけないよ('A`)チャンチャン
50pH7.74:2009/04/06(月) 21:58:42 ID:TBZCxcZ2
魚・君はおかしいと思った

普通首吊り自殺なら足元に踏み台か何かがあるはずだ

しかしあるはずの踏み台はない…

かわりにあるのは水の入った120規格水槽

仮に自殺したのなら彼女は水の上を歩き首を吊ったことになる

しかし現実にはそんなマジックのような事は不可能。

その時魚・君はあるものが目についた
51pH7.74:2009/04/06(月) 23:15:22 ID:juESl4yK
>>47
アクアネタが多くておもしろかった。乙でした。
52pH7.74:2009/04/07(火) 02:08:58 ID:f7GHdrJK
ピラクルーだ!
掃除か餌やりをしようとして水槽に手を突っ込んだが噛まれて跳び上がりロープに引っ掛かったのかもしれない。

それならば事故だ!


だがこのロープはなんだ?
なぜこんなところにロープがある?
53pH7.74:2009/04/07(火) 04:34:38 ID:t1+AYdWe
魚・君『そうか、そういう事だったのかぎょ!!』



魚・君は事件のいきさつが分かり始めた



まずはピラルクーの人が天井にロープを吊す
そしてあらかじめどこかに隠していた水槽を床に置き、水を張る
その後、アクアショップに行き、ヒーターとサーモスタットを購入
一度絵梨のマンションに戻るが、ヒーターカバーを買い忘れた事に気付き、
もう一度アクアショップに行きヒーターカバーを購入
途中のコンビニで買ったアイスを食べながら絵梨の家に戻り、ヒーターで水槽を適温にする
(この間、偶然にも絵梨はテレビを見ていたため、一部始終に気付かなかった)
そしてなんやかんやでどっかからピラルクーを持ってきて水合わせをしてから水槽に入れる
そして、偶然絵梨がピラルクーを発見、驚き跳び上がって偶然にもロープに首が引っ掛かり死亡…


あとは、ピラルクーの人が一体誰なのか…?
そして動機は…?
54pH7.74:2009/04/07(火) 23:16:09 ID:WG7n/gJf
自分で説明してるだけ…www
読んでる人に推理させないとダメだろ

才能以前に小説読んだこと無いだろw
55pH7.74:2009/04/08(水) 11:04:11 ID:vvBJzQqP
>>54
見本みせてください
56pH7.74:2009/04/08(水) 21:24:49 ID:bNn60CDJ
>>54
先生お願いします
57pH7.74:2009/04/08(水) 21:49:12 ID:N6ureSmy
ブゥゥゥゥゥン・・ブまで読んだ
58pH7.74
>>55
15まではほとんど俺