さあ、次いってみよう!
ばーか
3 :
見ろ!名無しがゴミのようだ!:2011/07/23(土) 13:17:10.93 ID:jPl8UlHg
なんだこれ
しらねー
わらた
ひょっとすると・・・・・
果たして正体は?
日直なうだ。さくしゃがんそこねえのかな?
やっぱりここですか。有難うございます!
みっけ!
ここではコテ止めときま〜す。
甘いな
うそみたい。
ニッチョクで大漁ですね。
荒らさずにいきましょう?
おやすみなさ〜い♪
シンプルスレ続いてんな。
一方春日家では
「お兄ちゃんもあかねちゃんも中でお人形さんみたいになってる!」
「今、二人の意識は体を離れ時空の歪みを探し回っとるんじゃろう。」
まどかは輝く球体の中の二人を心配気にみつめながら
(あたしと逢えない『淋しい春日クン』…逢ってみたい。)
その頃
「恭介、あんた本当にここ(ハワイ)が好きね。」
呆れ顔のあかねに
「いや、このビーチが俺と鮎川に関係してるみたいなんだ。」
「でも、ここはちょっと違いすぎるよ。左右全部逆になってるし。」
あらためてよく見ると
「ホントだ!」
「ね?次行こう!」
ポォ〜ン!
「ここは?」
「駄目だあ…月が赤いし、海がグリーンに輝いてる。ここも違うよ。」
ポォ〜ン!
「ああ…めまいがしてきた。吐きそう。」
「恭介、あれ!」
あかねが指さす先に2人のカップルが。
よく見ると恭介とひかるが楽しそうに手をつないでいる。
「この裏切り者!」
「お、オレ知らないよ!」
(こういうバリエーションもあんのか。)
タジタジとなりながらもまんざらでもなさそう。
そんな恭介の表情に、あかねは眉間にしわを寄せムッとする。
「次行くわよ!」
ポォ〜ン!
時間にして数時間、恭介のアンテナを頼りに時空を旅する2人。
「おい、あれ!」
恭介が指さす。
「うん、なんか暗いね。髭面だし、やつれてるよ。」
「ちょっと待ってて。」
恭介はビーチストリート沿いにある店のデジタル時計で西暦、日付を確認した。
(おお!!5年後だ!ひょっとして?)
慌ててあかねの所に戻る。
「はーはー…」
「大丈分?」
息を切らしながら5年後の自分を見ている。
「あれ、多分…5年後のオレだよ。
細かい時間差は分んないけど…
西暦は5年後だし、それに…すごく感じる!」
『こりゃ!さっさと戻ってこんかい!』
「え?ええ…?」
ポワ〜ン!
いきなり二人は『現在』に連れ戻された。
虹色の球体が消え、蝋人形のようになっていた二人が元に戻る。
「一体いつまで待たせるんじゃ!」
「じいちゃん!今見つけたとこだったのにい!!」
「え?あ、そうか。悪かったのう…スマンスマン。」
照れ笑いするじいちゃんの傍からまどかが尋ねる。
「居たの?『あたしの』春日クン…」
「多分!」
「やった〜〜!!」
妹達が大喜びする。
じいちゃんは考えた。
「あかね、ちょっくら頭をこっちに貸してくれ。」
(……?)
じいちゃんはいきなりあかねの頭に手を載せるとぶつぶつ何か呟きだした。
そして…
「無限次元の座標から居場所を割り出したんじゃが…
後はまどかちゃん、あんたが自分で確かめるしかないのお。」
「あたしが?」
まどかはじいちゃんから説明を受ける。
「あんたが行って、本人と会ってみなさい。それがあんたと別れた恭介なら、
同じ時間を共有していた者同士ということであんたを覚えとるはずじゃ。」
「『今の』あたしと関係ない春日クンだったら?」
「恐らく、あんたには見えんだろうし…
向こうもまどかちゃん、あんたに気付かないじゃろうて。」
「とにかく、行ってみたい!」
「ふむ。あかね、今度はまどかちゃんと手をつなげ。」
「うん!!」
じいちゃんはあらためてあかねの脳に『座標』をインプットした。
「頑張ってね、あかねちゃん!」
姉妹に励まされているのだが聞こえていない。
年上のまどかと手をつないで、あかねは真っ赤になって見とれている。
自分が憧れた彼女が5歳お姉さんになって目の前に居る。
(きゃ〜、気絶しそう!!)
「あかねちゃん!んもう。」
心を読んだまなみとくるみにたしなめられた。
あらためてまどかと手をつなぐ。
「お願い、あかねちゃん!」
(はあぁ〜…)
真剣な眼差しで見つめられめまいを覚える。
「こりゃ!はよせんかい!」
(しょ、しょうがないか。)
気を取り直して
「じゃ、手を離さないでね!」
そう言うと
ポォ〜ン!
不思議な音と共に二人は虹色の球体に包まれた。
「何だよ、あかねのヤツ。オレの時は散々嫌がってたのに。」
「しょうがないよねえ〜。まどかさんとお兄ちゃんじゃ月とスッポンだし。」
「ホント、まどかさんあんなに綺麗になって…」
まなみは目をウルウルさせていた。
アップ数は少ないが、1つが長いのは900超えないようにする工夫か?
つ〜ことは、まだまだ続けるつもりか?
また早朝アップしてやがる・・・・
誰かの自演にしようという目論見かい?
もしそうならある意味サプライズだぜ。
無限に分かれるバリエーションの中には
恭介クンとひかるちゃんが結ばれるってのもあるんですね。
そう思えば、少しホッとします。
あかねちゃんがうっとりするのも解るなあ〜。
作者の理屈じゃ万分の一秒違っても別の世界になるぞ。
たかだかショップのデジタル時計で確認したところで
危ういなあと突っ込まずにはいられない。
自分でも解ってはいましたが、あえて指摘されると辛いですね。
よろしければ読み流して頂けると幸いですが。
不粋な突っ込みですよ〜。んもう!(拝借)
何となくはわかるけど、ほんと無理があると思わないか?
27 :
エウメニデス:2011/10/01(土) 12:17:13.15 ID:DUlpw38m
やっと発見しました^^
ノーヒントで探すのは結構大変な気がするのに皆さんスゴイですね^^;
発見した嬉しさでコテをデフォルトでやってしまいました^^;
せんぱいキタ〜〜〜〜〜!
がんそとどくたしか知らないスレがあんだろ?
悔しいがいまだそこがどこかわかんねー!
ここはkey ward 入れりゃ瞬殺だろw
そうすか?
30さん、そのスレッド一年以上更新されていません。
あまりにアップが遅いと、ひょっと他にあるのかしらって
疑心暗鬼にかられて、血眼になることがあります。
今のところ、此処が最新と思っていますが、
他の人に出し抜かれてるとすれば・・
ちょっと悔しいなあ。
27さん、こんばんは〜♪
27さんやレスペ〜さんの見解は読んでてスッゴク参考になりますよ〜。
釣り針見え見え
そういう糸はありません。
上手い!
2chではふつー
ポォ〜ン!
二人は夕暮れのビーチに着いた。
「まどかさん?」
まどかは気絶している。
でも、頑張って手だけは離さなかった。
(まどかさんはあたし達と違うから無理ないよねえ?
でも…『いじらしい』なあ…)
あかねはもたれかかる彼女をそっと抱きしめ
そして、耳元でささやいた。
「着いたよ。」
「…う〜ん?…ここは…」
あかねはまどかの体を支えてやると、やさしい笑顔で
「確かめてきたら?ほら!」
あかねが指さす向うに『彼』が座っていた。
髭面でも、やつれていても……まどかにはすぐに解った。
(春日クン…!!)
まどかは少しふらつきながらあかねから離れると二、三歩踏み出し、
そして小走りに駆け出した。
彼の姿からは長旅と、そして患った心の疲れがにじみ出ている。
恭介はアジアからヨーロッパ、アメリカへと西回りに放浪の旅を経て
5年ぶりにハワイにやって来ていた。
(5年経ってもまだ忘れられないよ、鮎川。
…キミの居ない世界は夢がないんだ…もう夢が…)
恭介の5年間は…
目指す大学には入ったものの、結局アルバイトばかり転々として
その内自主退学してしまった。
時には公園の階段を訪ねてみるけれど、『新しいまどか』と出逢うことも無く
想い出だけを引きずる日々を過ごしていた。
家族やあかね達は新しい世界で自分の道を見つけると、もう振り返る事をせずに
日々それに没頭して慌ただしく生活を送っているのに…
恭介だけは過去にとらわれたままであった。
そういう自分から逃れるように、バイトで貯めた貯金で放浪の旅へ出たのだが
何処に居ても彼女のことを想わない日は無かった。
それはまるで、『まどかの5年間』と同様の日々であった訳で…
恭介はぼんやりと日が沈んだ海を眺めている。
(もう…)
瞳を閉じてまどかを想いながら…
ガラスの欠片を頸の脈打つ部分に当てた。
「春日クン!」
(…?)
振り向いた彼の顔を見てまどかはいきなり
「なんてことすんの!!」
バチン!!
彼女を見た瞬間、言葉を失い
(…!!?)
何が起こっているのか全く理解できず、呆然としている。
(あ、あゆ……?!)
「何処に行ってたの?!探したんだよ…ずっと探したんだよ!!ずっと…」
まどかは涙をポロポロこぼしながら伝える。
「もう逢えないと…」
そう言うとひざまずき、彼に抱きついて泣き出した。
あふれ出る涙が彼のシャツに浸み込んでいく。
「バカ…恭介のバカ!」
まどかの深い愛情につつまれ放心している。
手から欠片がポトリと落ちた。
「ゆ、夢じゃないよね?…逢いたかった…俺も逢いたかった…」
恭介は何度も何度も繰り返しながら咽び泣く。
お互いが互いを5年後の姿として自然に受け止められた。
(良かったね、二人とも。あたしも…もらい泣きしそう…)
ヤシの木の下で、あかねはしゃがみ込むと両手で顔を覆った。
あら?
これって、ハワイ編に出てきたシーンですよね。
混乱してきました〜・・
おかしいなあ・・いつもならもう少し多いのに。
明日の朝に期待してみようかしら。
でも・・まどかちゃん、恭介クンよかったね。
もうお互いの手を離しちゃだめだよ。
今回少な!
逢いたかった〜会いたかった〜あ〜痛かった〜
ちぃみに〜 BYきょうすけ
叩かれたから?
しばらくして
「あかねちゃ〜ん?」
「まどかさ〜ん!こっち、こっち〜!」
恭介がまどかに手を引かれ、あかねのもとにやってきた。
3人は松明の下に集まる。
「お、お前は…あかね?」
若返った彼女にびっくりする恭介。
「訳解んないよね?」
「一体…?」
「う〜ん…ちょっとおでこをくっつけてよ。」
「何で?」
「いいから!」
あかねは恭介にいきなりおでこをくっつけると、
ピリッ!
「痛てっ!」
二人は飛び退くように離れた。
「どう?分かった?」
おでこをさすりながらあかねは尋ねる。
「そ、そうなんだ…驚いた。」
瞬間にあかねの言いたいことが恭介に伝わった。
(しかし、こいつ…まどかさんのいい匂いと違って…汗臭い!)
「じゃあ、俺が鮎川の住む世界に…俺たちの居ない世界に移ればいいの?」
「来てくれる?」
「でも、その世界じゃ、親父も妹達も…じいちゃんもお前もいないんだよな?
俺みたいなパワーを持った存在が誰も居ないのか…。」
ふと、あかねが
「作ればいいじゃん。」
「え?」
あかねは赤くなって念を押す。
「だ、か、らあ…二人で『作れば』いいでしょ?」
2人は視線を合わせられない。
「みんなに言わなくっちゃ、行くこと。」
「じゃあ、来てくれるの?」
「だって、俺もう耐えられないよ。鮎川の居ない世界なんて。」
まどかは恭介の手をしっかり握った。
あかねはそれをちらっと見やると話題を変える。
「ねえ、みんな元気にしてる?」
「まなみはイギリスに留学してるし、くるみは秋葉に入り浸りだし、
親父は相変わらず仕事忙しいみたいだよ。
お前は新米スポーツキャスタ一で頑張ってる。
でも、みんな時を移ってから…なんか心がバラバラになった気がするよ。」
「やっぱり…まどかさんの存在が必要だったのよね。」
「そうだね。」
3人はしんみりとする。
あかねが口を開いた。
「恭介、報告しといで!きっとみんなも笑顔で送り出してくれるって。」
「うん。じゃあ、ちょっと待ってて。」
5年ぶりに体の中から蘇るパワーを感じ、ギュッと両拳を握るや
シュパッ!
その姿は消えた。
数分後
「春日クン大丈夫かなあ…もし引きとめられたら、その時はあたしがここに残る!」
「大丈夫ですよ、あんなヤツ居ない方が…でもホントは…
やっぱり…みんな恭介には幸せになって欲しいって思うだろうから。」
シュパッ!
「どうだった?」
「うん、みんな凄く喜んでくれてた。オレの戸籍を鮎川の世界に移すんだって。」
「じゃあ、オマエも晴れてまどかさんの世界の住人だ。」
「あかねちゃん…何度も有難う。」
(え?)
まどかは彼女を抱きしめると、前髪をたらしたおでこに軽くキスをした。
あかねはギョッとしてまどかを見ていたが…その内、目がトロンとする。
身を委ねたくなった。
「ごめんね、あたしに今出来るお礼って…これくらいしかないから。」
何となくあかねの気持ちは解っている。
まあ、まどかにとっては可愛い後輩に悪戯するようなもの。
「あ、有難うございます。」
あかねは真っ赤になってドキドキしている。
「じゃあ、あかね、俺たちを彼女の世界に連れて行ってくれよ。」
「うん、その前に一度『現在』に戻って、座標インプットしなきゃ。」
「座標?」
「い〜から、い〜から。」
3人は手をつないだ。
(父さん、母さん、まなみ、くるみ、じいちゃんやばあちゃん、あかね、一也
みんな…みんな、さようなら。)
ポォ〜ン!
三人の姿が虹色の球体に包まれた。
覗いてみればサプライズ!
相変わらずあかねちゃんパワー炸裂してますね〜!
恭介達が待つマンションにて
ポォ〜ン!
球体が消えていくと、中から3人の姿が現れる。
年上の恭介はまどかに支えられていた。
「帰って来た!…え?お、俺?」
まどかが彼に寄り添っている姿に、恭介はちょっとショックを受けた。
そんな表情を『彼女』に見られたら、ず〜っと口をきいてもらえないはず。
あかねがやれやれという口調で
「ふ〜、疲れた…なんか食べさせてよ。パワー限界まで使ったから。」
くるみが
「うわ〜汚いお兄ちゃんだ!」
「くるみちゃん!」
「シャワー浴びて髭も剃っといで。」
「うん。」
年下のあかね達に言われ、サッパリ身綺麗になって出てきた。
「お兄ちゃん、痩せたね〜…。」
「うん…。」
恭介は時を移ったその後の5年間を語り出した。
黙って聞いていたみんなは考えてしまう。
あかねが訊いた。
「結局、みんなもう力を使うことに懲りて、心もシラケてしまったのかしら?」
「そう…あれ以来、もう誰もあの事に触れようとしなかったし、
みんなそれぞれがバラバラに自由に生きるようになったかな?
俺だけだったよ、いつまでも忘れられなかったのは…」
そんな話を彼から聞いて恭介は呟いた。
「別れないで済んだ俺、別れて5年後に逢えた俺…逢えないままの俺もどこかに…」
「おるんじゃよ。深くは詮索するな、詮無いことじゃて。」
バチン!って・・・・
手加減ってもんが・・・・
うわ〜〜!着いて行くのがやっとです〜♪
まどかはそっと恭介の手を取ると
「春日クン、あたし…またあなたに逢えて嬉しい。」
「俺、喜んでいいのかな?俺以外の『俺』のことを考えると…」
「あたしだってそうだよ…。」
そんな二人を見ていた恭介がポツリと
「今は…いや、今から二人は二人のことだけ考えて生きて行けば…」
柄にもないことを言う。
「やる〜恭介!!」
あかねが喜んだ。
まなみも応えるように
「そうよ、みんな『今この瞬間』を大切にしなくちゃ!」
「ほれ、あかね、頭貸せ。まどかちゃんもちょっと貸してくれんかのお?」
まどかの頭から彼女が居た5年後の座標があかねにインストールされた。
「じゃあ、連れてってあげる。」
「ちょ、ちょっと待って。」
まどかが待ったをかける。
「もう一度彼女に会えないかしら?」
鮎川邸にて
ルルルル…!
「まどか〜、出て頂戴!」
バスルームから声が響く。
(んもう、夜中に大声出さないでよ、恥ずかしいんだから。)
子機を取り上げディスプレイを見ると『KYOUSUKE』!
慌てて受話ボタンを押すと部屋の鍵をかけた。
「はい、鮎川です。」
「まどかちゃん?あたし。」
「まどかさん!…ママ達まだ当分居そうで」
「ううん、そうじゃないの。あなたにお別れを言おうと思って。」
「ええ?帰っちゃうんですか?どうして?」
(まさか、あたしに気を使って帰る決心をしたんじゃ?)
「…駄目よ!!絶対駄目!!」
怒った口調の中に年上の彼女を思いやる気持ちが溢れだす。
彼女は微笑んで
「あのね…、『あたしの春日クン』が見つかったの。」
「え?どういうことですか?」
「詳しくはあたしもよく解らないんだ。でもね、もう淋しくないの。」
彼女は傍に立つ『同じ歳』の恭介の手に自分の手を絡ませた。
「おじいちゃんが今からすぐに戻った方がいいって。
あなたにもう一度会いたかったんだけれど…」
「…本当に見つかったんですか?」
「ええ。」
「じゃあ、もう…もう淋しくないんですよね?」
「…うん。」
ちょっとの間沈黙が流れる。
「本当…に?」
「…本当よ。」
二人は涙で声を詰まらせていた。
「じゃあ、行くね。あなたに逢えて良かった。」
「あたしも。お幸せに。…あ、春日クンに代わって…」
まどかは年下の恭介に受話器を手渡す。
今日はこれで終わりかなあ?
しみじみと・・まどかさん、よかったですね。(涙
ムキになった?いきなりアップするなんて。
自分の手柄とでも言いたいのかw
上からな物言いがムカつくんだよなあ。
まどかちゃんとまどかさんの心の通いって
すごく素敵です!
原作では恭介クンのいないバラレルのストーリーが確か二回くらいあったと思いますが
その内の一回は、まどかちゃんスッゴイ不良だったし
怖かったですもん。
パラレルって形でいろんなバリエーションが存在するってのが
今回の流れなんですよね?
とにかく離れ離れになって5年も経つのにお互いを忘れずに思いあってたってところに
そして出会えたことに心からよかったとつくづく感動してます〜!
「もしもし、鮎川?」
「ねえ、ホントに見つかったの?」
「うん!」
「良かった…」
見ている恭介に二人が手を振った。
「あっ、今…」
「何?」
ポォ〜ン!
不思議な音が聞こえた。
「何?今の音。」
「うん、たった今、あかねが…二人を連れてった。」
「そう…。」
電話口のまどかと、そしてそこに居る全員が目を潤ませている。
(良かった…)
ポォ〜ン!
「ここでいいかしら?」
「ちょっと待ってて。」
まどかは駆け出し、ストリートに面した店のデジタル時計を探す。
見つけるや自分の腕時計と比べ、秒単位まで合っていることを確認。
(西暦、日付、そして時間…間違いない!)
「大丈夫みたい。」
「じゃあ、あたし戻ります。恭介、あとは自分の力で!」
「ああ。有難う。」
「あかねちゃん、ほんとにいろいろ有難う。」
「え?いや…」
(もう一度ギュッとして欲しいんだけど…)
あかねはまどかの姿をしっかり目に焼き付けた。
「じゃ、お幸せに!さようなら!」
「さようなら!」
あかねは暗がりに入ると
ポォ〜ン!
虹色の光を放って消えた。
あかねを見送ると二人はお互いの顔を見つめ…
「春日クン、もう離さない!」
「俺もだよ、鮎川!」
人目もはばからず二人は熱い口づけを交わす。
何度も何度も…
まどかは恭介の目を見つめながら
「ね、ねえ、行くとこないんでしょ?うちのコンドに…」
さっきからお互い解っていたこと。
そんな時間が近づくのを感じ、胸の高鳴りを抑えられない。
「い、いいの?」
「うん!」
まどかは恭介の腕にギュ〜ッとしがみついた。
そしてその夜…
遅れてシャワーから出ると、自分の部屋に入る。
カーテンの隙間からストリートの明かりと喧騒が漏れてくる。
彼の待つベッドに入ると
そっと恭介の胸に顔を埋め
目をつむって彼の鼓動を頬で感じてみた。
「ほっぺた…痛かった?…ごめんなさい。」
「うん。でも…5年前の『あの日』…」
すると、閉じていた目を開くまどか。
(やっぱり。)
「今でも覚えてる。まさか、『あの日』と今日が繋がってたなんて…
あたしたち、こうなる『運命』だったのよね」
応えるように彼女を抱きしめ
「随分遠回りしたけど…良かった。」
離ればなれの年月が互いの想いをより深いものへと育んでいた。
二人はしばし熱い口づけを交わし合う。
「鮎川…」
(…んもう。)
クスッと笑うまどか。
「23歳になっても『鮎川』なの?」
「変かなあ?」
「変よ。」
二人は笑った。
「ねえ、…『恭介』って呼んでいい?」
「うん。じゃあ、俺も…『まどか』って呼ぶよ。」
すると、まどかはいきなり恭介に覆いかぶさり
「コラ、恭介!ずっと泣いて暮らしてたんだぞ!5年分…甘えてやるから!」
「あゆ…まどか…」
「んもう!」
「ゴメン。」
「恭介…」
まどかは恭介の口に自分の唇を押し付けた。
愛おしくて…
愛おしくって…
二人は初めて結ばれた。
ハワイに行く前に初めて2人で行った学食で思いとどまったセリフが、
やっと言えたと思うとより感慨深く感じます^^
結ばれて本当によかった^^
これってあの夏のパクリじゃね〜?
同じ方でしょうか?パクリパクリって、しつこいんですけど。
>64さん
気付きませんでした!
一番のファンのつもりでいたのに・・
誰が見てもパクリっしょ! どー見ても!!
続きはまどかが悶えるシーン!!
見たいような見たくないようなおかずに・・・・・・
71 :
見ろ!名無しがゴミのようだ!:2011/11/14(月) 06:43:04.18 ID:2qBjdQXc
期待したけど
ポォ〜ン!
「お帰り、あかねちゃん!!」
「どうじゃったかのう?うん?」
「おい、お前、顔真っ赤だぞ!どうした?」
「任務完了!ちょっとシャワー浴びてくる。まなみ、パジャマ借りるね。」
急いでバスルームに入ると、全開で頭からシャワーを浴びる。
(あたしって…最低!)
あかねは帰った振りをして、つい覗き見してしまった。
そんなつもりじゃなかったのに…別れるのが名残惜しかっただけなのに…
二人の『現場』を見てしまった。
互いが初めてとは思えないほどに愛おしく求め合う姿を見てしまい…
頭がカッカして、顔が火照る。
(あたしも…いつかは『あんなこと』するのかしら?
今はまだ、まどかちゃんのことから離れられないのに…)
新展開がと思いきや以外な展開^^;
翌朝
恭介のマンションは賑やか。
「行ってきま〜す!」
みんながそれぞれ学校に向かう。
「じゃあな、あかね。」
「うん。」
一方、鮎川家では
「行ってきます。」
「あ、まどか、今夜は何食べたい?」
(…当分居るつもりね……は〜…)
心で溜息をつきながら笑顔を浮かべ
「ママの料理なら何でも!じゃ、行ってきま〜す。」
恭介と妹達が歩いている。
「おはよう!」
「あ、まどかさんおはようございます!!」
「おはよう、鮎川。」
「『まどかさん』…もう居ないのよね?」
「うん。…淋しい?」
ちらっと彼女を見ると、まどかは他所を向いて表情を隠した。
「ううん。彼女が幸せになってくれたらそれが一番だよ。
それにしてもあかね、大変だったんじゃない?」
「もう大活躍だよ。でも、帰って来てから…な〜んか変なんだよなあ?」
「きっと疲れたんだよ。…後でまどかさんのこと詳しく教えてね。」
「うん。」
学校が終わりまどかは恭介のマンションに寄る。
恭介と妹達から一部始終を聞いて
「すっご〜い!!でも、『まどかさん』…良かった。」
まどかはやさしく微笑を浮かべた。
「どうして5年後のオレは鮎川をパワーで探さなかったんだろ?」
「掟を守ったからでしょ?」
まなみがコーヒーを持ってきて口を挟む。
「つ〜ことは、あかねは相当掟を破った訳か…」
今度はくるみが冷静に突っ込む。
「破らせた一番の原因は…お兄ちゃん『達』じゃない。」
まどかはコーヒーをこぼしそうになった。
「くるみ!お前…」
言いかけた恭介を慌てて制して
「ううん、いいの。ホントのことだし。
あたし…あかねには感謝してもしきれないよ。
あたしがひかるを無事受け止めることが出来たのも、
春日クン達が行ってしまう寸前で時を止めてくれたのも、
そして、今回も…『悲しいあたし』を救ってくれた。」
コーヒーを少し飲んで、ふと
「あたしに出来るお礼って何かしら?ねえ、あかね、何が喜ぶかなあ?」
「(まどかさんの)キスじゃないですか?」
「え?」
「くるみ!」
「だって、あかねちゃん‥」
恭介とまなみは慌ててくるみの口を塞いだ。
まどかはドタバタしている3人を眺めながら
(な、何よ?)
恭介がその場を取り繕うように
「あ、鮎川が友達でいてくれることが一番だと思うよ。」
「そうかなあ?それって普通だし、あたしだって…」
「そうですよ。まどかさんが居てくれることが一番だと思う。」
「まなみちゃん…有難う。」
まどかは腕時計を見て
「あ、もう帰んなきゃ。」
「え?もう?」
「うん、今ママ達居るから…当分大人しくしてなくっちゃ。」
妹達は玄関のドアのところまで、恭介はマンションの出口まで
それぞれ見送った。
あれから2カ月
パパ達はヨーロッパツアーに出かけ今はまどか一人。
ただ…以前に比べ、お姉ちゃんやママからかかってくる電話の回数が増えた。
(受験の時期にピリピリしてる娘を煽ってどうするのよ…)
ママとお姉ちゃんに監視されているのがたまらなく鬱陶しい。
(心配してくれるのは有り難いんだけど、度が過ぎると『グレちゃう』よ)
ルルルルル…!
「んもう!集中できないじゃん。」
傍に置いていた子機を取るとディスプレイを確認する。
(あ!あかねだ。)
「もしもし?」
「やっほ〜!昨日はごちそうさま〜。」
「どういたしまして。あかねには大恩があるし。
って言うか、一緒に食べると楽しいよ。
で、何?」
「うん、実はねえ…明後日から連休でしょ?日光で『勉強合宿』を‥‥」
「紅葉でしょ?」
「あははは、バレたか。」
「春日クンは?」
「それがね、誘ったんだけど勉強があるから行かないって。」
「あらら、おめずらしい。」
「でしょ〜?」
「あはははは!!」
二人は電話口で笑いあっている。
二人は打ち合わせをする。
まどかはちょっと尋ねてみた。
「ねえ、くるみちゃんとまなみちゃんは?」
「たまには『大人の女』二人旅で行こうよ。」
「そうねえ…ま、それもいいわね。」
意気投合して続きはアバカブですることにした。
翌日
「おはよう。」
「あ、おはよ…」
よそよそしいまどかにちょっと引っ掛かりを覚える恭介。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。」
そう言うとさっさと歩きだした。
(…?)
恭介は気にしながら後ろを付いて行く。
まどかはまどかで
(もし春日クンと二人きりだったら…
こいつ迫ってきそうで、危ないよねえ?)
頭の中で余計なことを考えながら表情は平静を装う。
二人はそのまま教室へと上がり授業開始。
気にしてまどかの方を見ているのだが、彼女は知らんふり。
(ちぇ、俺には心を読む能力ないからなあ…)
集中していない恭介に
「おい、春日。当てられてるぞ!」
小松が小声で教える。
「え?あ、はい!」
恭介は慌てて立ち上がる。それを見て先生は
「ん?どうした、春日。」
「え?」
まんまと小松の罠に引っかかった。
「あ、す、スミマセン…」
顔を赤くして座りなおすと小声で
「やりやがったなぁ〜!」
余所を見て知らん顔している小松を睨み付けた。
それまで緊張していたクラスは大爆笑!
見るとまどかもお腹を押さえて笑っている。
(ちぇ、なんだよ…こっちは心配してんのに。笑い過ぎだっつ〜の!)
恭介は面白くない。
昼休みはいつも通り。
まどかはどっかに行ってしまう。
恭介は小松たちにからまれ学食へ。
ひかるとは少し会話もできるようになったけれど、お互い遠慮している。
そして放課後。
「ねえ、なんか隠してない?」
「別に。」
「まさか、またアメリカに?」
「ほお、よくお分りで。」
しらっとした眼差しで彼女を見つめる。
「んもう、嘘だね!」
「あはははは!アバカブに行ったらわかるよ。」
カランコロ〜ン!
「よお!いらっしゃい。学校の帰り?」
「ごらんの通り。ねえマスター、あかねは?」
「約束してるのかい?ん〜まだ来てないけど。」
「あかね?呼んだの?」
恭介はキョトンとしている。
「うん。実はね…」
まどかは恭介抜きで日光に勉強合宿(紅葉見物)に行く予定を語った。
「え〜、(鮎川も行くって)聞いてないよ。」
「今回は春日クンお留守番だね。ごめんね。」
決定事項を告げられ引き下がるしかない。
「そ、そうだよね、いつもオレとじゃね。たまには…」
ちょっと顔を引きつらせる恭介。
「お!到着したよ。」
マスターが店のウインドウの外に到着したあかねに視線を送る。
季節は11月、
彼女はニットの帽子を目深にかぶり赤い縁の眼鏡をかけている。
帽子から栗色の髪が可愛く伸びている。
長い脚線美にジーンズがフィットしてとてもカッコいい。
白地に赤い柄のニットを着て、おしゃれな自転車に乗ってきた。
肩からバッグをたすき掛けにからっている姿が彼女らしい。
カランコロ〜ン!
「こっちこっち。」
まどかが手招きした。
あかねはカウンターに寄り、バッグをおろすと何やらゴソゴソ。
「じゃじゃ〜ん!!」
「お!それ、門屋のたい焼きじゃない!」
「はい、これマスターとバイトのお姉さんの分。」
「有難う!まだ熱々ね。美味しそう!」
「でしょう〜?どうぞ。」
バイトのお姉さんに笑顔で応えると、まどかと恭介の傍にやってきた。
「やっほ〜、まどか。待った?」
「うん、『待った』よ。あはは。」
「あははは!」
あかねは恭介を押しのけるように隣に座る。
「今日はコンタクトじゃないの?」
「たまにはメガネっ娘もいいでしょ?」
「うん!似合ってるよ。」
「きゃ〜!まどかに褒められたぁ〜!」
「でも、ホント、メガネ姿も可愛いよ。」
「じゃ、あたしと付き合ってよ!」
「何言ってんのよ!んもう。…あははは。」
恭介は楽しげにおしゃべりする二人を眺めながら、空気に入れない。
「あかねちゃん、何にする?」
マスターの呼びかけに振り向いて
「すぐ出るからいいです〜。」
そう言うと、
「ねえ、まどか、今日はあたしの家においでよ。」
「いいよ。」
「じゃ…」
一緒に立ち上がろうとする恭介を見て
「あんたはいいよ。」
「え?」
「いつも一緒なんでしょ?たまには貸してよ。」
「あ、ああ…」
恭介は座りなおした。
「はい!あんたの分。」
あかねはたい焼きを恭介の前に置くと
「じゃ、行こう!」
「え…う、うん。」
まどかは彼に済まなそうな表情をして店を出て行った。
テーブルには紙ナプキンの上にたい焼きが置かれている。
(ちぇ…)
恭介は取り上げると頭からかぶりつく。
(くやしいけど…ん?)
あらためてたい焼きを見ると
(これ旨いや!)
私服のあかねの後ろにまどかは制服姿のまま横座り。
カバンを自転車のかごに入れてもらい、彼女はあかねの腰に手を回す。
「むふふふ。やった〜!」
「何よ?」
「なんでもないで〜す。」
「重くない?」
「あたし陸上部だよ。」
「そうだったわね。じゃあ遠慮なく!」
「しゅっぱ〜つ!」
秋の温かい日差しの中、二人乗りして街中を通る。
色づいた銀杏並木から街路樹が続いている。
二人はおしゃべりをしながら楽しそう。
久しぶりの大量アップ!
内容物はダラダラしてるが、二人の仲良しが微笑ましいな。
まさに元祖好みだな。一時続くんだろうな。
新しい展開はあるのか?
自転車に二人乗りするまどかちゃんとあかねちゃん・・
絵が欲しいです〜。
まだかしら?
そろそろ三週間経つんですけど・・
今しばらく。
待ちますとも、3週間でも4週間でも!
もう年末だけど、作者も忙しいんだろう。
明日にしよ。
待ってま〜す!
つーことは今日だな?
固唾を飲んで待っている・・・・・ほどでもないか。
あかねの家に到着。
「おじゃましま〜す。」
彼女の部屋に招かれびっくりするまどか。
「な、なによ〜これ!増えてるじゃない!」
以前来た時より写真が増えている。
中でも、あかねと二人で『変顔』して撮った写真が大きく引き伸ばされている。
「ねえ、あれ恥ずかしいから剥がしてくれない?」
「ダメよ、あたしは気に入ってるんだから。」
「んもう。あれ?あれ何よ?」
10月の体育祭のリレーで綺麗なフォームでトップを走るまどかの姿が。
「あれ?あれね、恭介が撮ったやつ。現像して貰ったの。」
「恥ずかしいなあ〜。」
「いいのよ、あたしにも素敵な人が現れたら熱が冷めるんだから。」
そう言って、例の二人のことを思い出した。
少し頬を赤くして想いにふけるあかねに突っ込む。
「ねえ、ところで、たい焼きくんはどこに行ったのよ?」
「あ!待ってて、チンしてくるから。」
あかねはバッグから袋を出すと慌てて台所に行った。
間もなくして、ほっかほかのたい焼きとお茶をお盆に乗せて戻ってきた。
「待ってたよ!いただきま〜す!!」
まどかは二つに割って口に入れる。
あかねはそのままかぶりつく。
「おいしい〜〜!」
ムフ〜と二人の顔が緩む。
やっぱりそこは女の子である。
二人でたい焼きを4匹平らげた。
「美味しかった〜。尻尾までちゃんとあんこが入ってるんだもん。」
「皮がパリッとしてて…あ!!」
「どうしたの?」
「…一也の分食べちゃった。」
「え〜〜!!やばいよ、それ。一也クン怒っちゃうよ!」
「ただいま〜!」
「うわっ、やばい!」
あかねは慌ててたい焼きの袋をゴミ箱に押し込んだ。
「あ、まどか姉ちゃん!いらっしゃ…ん?なんかいい匂い。」
「気のせいよ。ほら、自分の部屋に行って宿題やんなさい。」
一也はじ〜っと姉を睨んで
「…姉ちゃん、口に…」
「!!」
慌てて口に手をやる二人。
「ほ〜ら、やっぱり!何か食べたんだろー!」
まんまと引っかかって二人はバツが悪い。
「ごめん!今度はちゃんとあんたの分残しとくから。」
「ごめんね〜一也クン、お詫びに今度パフェおごったげるから。」
二人は小学生に平謝り。
「じゃあ、貸しにしとくね。」
そう言うと、自分の部屋に戻って行った。
(めずらしく聞き訳がいいわね…)
二人は顔を見合わせた。
一方、一也は自分の部屋に入るとニマ〜っと顔をほころばせた。
「へへっ、気付いてないや。お姉ちゃんの分も食べちゃおうっと。」
ママが冷蔵庫にあかねと一也のおやつにと買っておいたチーズケーキを
一人で食べ始めた。
もう、あたしの大丈夫はな流れです〜。
でも、今回は一話が少ないような・・
楽しみにしてま〜す!
二人はあかねが用意したパンフレットを見ながら、露天風呂や食事を
あれやこれやと比較している。
「よし!ここに決定!でも、部屋空いてるかしら?」
「キャンセル出てるといいね。」
早速ホテルに電話すると、案の定予約で一杯とのこと。
あかねは数件にキャンセル待ちの予約を入れた。
「ただいま〜。」
「あ、お母さんだ。」
「じゃあ、おいとまするね。」
ママは玄関にある靴に気付いて部屋に上がった。
「やっぱり、まどかちゃんだ。いらっしゃい。」
「こんにちは。」
「ちょうど良かったわ、今夜はお鍋するから一緒に食べてって。」
「え?…いいんですか?」
「良かった〜、おかげでお鍋にありついちゃった。」
「うちのは凄いと思うよ。キンキや白子がいっぱい入ってるから。
でも、いつも食べきれないんだ〜。お母さんっていつも
作りすぎるから。だから決まって次の日は雑炊なんだ。」
「うわ〜、それも美味しそう!明日もお邪魔しようかなあ?」
「明日は旅行じゃない!」
「そうだった!中止でもいいかな?」
「ダメ〜、んもう、あたしは楽しみにしてんだからあ。」
二人は顔を見合わせ笑っている。
「でも、あかねのご両親は二人とも…なんでしょう?」
「うん、純系だからあたしと一也はハーフの恭介たちよりパワー強いみたい。」
「でも、それを利用してないって…この世界にどのくらいの人が居るの?」
「わかんない。みんな隠してるから。一部の長老だけみたいよ、知ってるの。」
「ねえ、歳は取るの?」
「うん、みんなと一緒。ちゃんと老いるし、死ぬ時は死ぬよ。」
「そうなんだ…。」
(良かった…あたしだけ老いていくのは嫌だもんね。)
まどかはちょっと訊いてみたくなった。
「ね、ねえ、死んだらどうなるの?」
「それはさすがにわかんないよ〜。」
あかねは暗くなった窓の外に視線を移し、立ち上がるとちょっとだけ
外を眺めてカーテンを閉めた。
(恭介のお母さんが戻って来てるってことは、
あたしたち一族には『その世界』が待ってるんだろうなあ。
でも、叔父様やまどかちゃんたちには…)
ちょっと彼女を困らせてしまった気配を察して、まどかは申し訳なく思い
「ごめんね、変なこと聞いて。」
「全然平気よ。」
少し空気がおかしくなりそうな瞬間、あかねのママが
「出来たわよ〜!」
「食べよっか?」
「うん!」
「食べよっか?」
「うん!」「うん…今日はちょっと入んないや。」
お母さんがじ〜っと見つめる。
「ケーキ一個でもうお腹いっぱいなの?」
あかねとまどかの目が合う。
「…?何?ケーキって。」
「あんたと一也のおやつ…」
「あたし知らないけど…一也、あんたまさか…」
あかねは弟を睨むと
「えへへへ…でも、お姉ちゃんたちだってお腹いっぱいなんじゃない?」
「大人の女子力をナメてもらっては困るなあ。
後でも先でも別腹はべ、つ、ば、ら、な〜の!ねえ、まどか。」
まどかは「うん」と笑いながら頷く。
「一也、食べないならそのキンキ貰っていい?」
あかねはちょっと意地悪を言ってからかうと
「あ〜〜!!それダメ〜!それは僕のだよ〜!」
無理して詰め込む一也にみんなは笑っている。
食事が終わるとパパはリビングで一也とゲームに熱中している。
あかねとまどかはお片付けの手伝い。
「お鍋美味しかった〜!」
「そお?やっぱりお鍋は大勢に限るわね。」
「はい。」
ママは洗う手を休めずに語りかける。
「でも、まどかちゃん偉いわね〜。全部一人でしてるんだって?」
「両親はあまり家に居ないから…」
「まどかは何やらせてもソツなくこなすもん。」
「そんなことないよ。」
少し顔を赤くする。
ママは娘をじ〜っと見ながら
「あかね、あんた来年まどかちゃんと一緒になれたらいいのにね。」
「大丈夫よ、特体推薦は貰えそうだから。後は…」
「そう言えば…何にも言わないけど、この間の模試はどうだったの?」
「え?・・・C。」
「それって大丈夫なの?」
「前はE判定だから、随分マシに…ね?まどか。」
「え?そ、そうね。あかねはスプリンターだから追い込みに強いよね。」
一也が口を挟んだ
「姉ちゃん、散り際を見届けてやるよ。」
「こいつ、言ったなあ〜!こら、待て!ひとのケーキ食べやがって〜!」
あかねは濡れた手を慌てて拭くと、一也を追かけ出した。
「あかねがちょくちょくお邪魔してるみたいでごめんなさいね。」
「いえ、あかねとはすごく気が合うし、あたしも楽しいんです。」
「…ねえ、まどかちゃん、私たちはあなたとは違うけど…
ずっとあの子のお友達でいてくれる?」
「それを言うのはあたしの方です。」
ちょっと真顔で言う彼女にママは笑顔で
「有難う。」
夜9時を過ぎ、玄関先にて
「もっとゆっくりしていけばいいのに。」
「明日は早いんだよ。ね?まどか。」
「うん。それじゃあ、ご馳走様でした。おやすみなさい。」
そして…翌日、まどかの姿はどこにもなかった。
(おかしいなあ…?ここで待ち合わせだよねえ?)
ジーンズにオーバーコートを羽織って旅行カバンを手に
駅前の階段で辺りを見回す。
腕時計で時間を見ると、待ち合わせの5分前。
(いつもまどかが先なのに…)
>103
がんそ?お前また寝ぼけてるのか?
最後が何か思わせ振りな感じで終わってるけど・・・・・
このひと何が言いたいのだろう???
120 :
118:2011/12/28(水) 15:01:04.87 ID:cHYVvxMG
そのまんまだが?
121 :
119:2011/12/28(水) 19:02:29.33 ID:nztfZQjT
あなたのことを言ってんじゃなくってぇ
おっしゃる通りです。
昨夜もレス付けようとしたのに、「カキコ」押さないまま寝てしまっていました。
ところで、二人の変顔スッゴク見てみたいですね〜♪
そして117の後半、確かに思わせぶりです〜♪
なんかワクワク・・
また事件の気配
この作品はどこから発信されてるのか?
まさか、またハワイからとか?
わかればよろし
随分上から目線ですこと。
めずらしく新年の挨拶がないな。作者自身飽きたのか?
去年ハワイに行った時、ホテルのネットからカキコできませんでしたが
ひょっとして・・
毎年、まどかちゃんの素敵なつぶやき、楽しみにしてるんですけど。
そして予定より15分が過ぎて
(これじゃ、間に合わないよ〜…電話してみよ。)
あかねは駅の公衆電話からまどかの家に電話を掛ける。
でも、留守電になったまま…
(しょうがない。あまり使いたくないけど…)
『パワー』を使って探そうと念じる。
(……あ、れ?…あれ?)
もう一度…
「え?」
『パワー』が効かない!
「どうしたの?え?…えー!!」
ルルルル!!
「はい、春日です。あ、あかねちゃん。え?今から?やってみる。」
電話の向こうからまどかを探すよう頼まれた。
(…あれ?…あれ?効かない!)
「『パワー』が使えない!」
「まなみも?あたしもなのよ!恭介とくるみは?」
ふたりは焦りだした。
「あたしも効かな〜い!どうなってんの?」
くるみが半べそかいて言う。
「恭介は?」
「お兄ちゃん、出かけてる。」
3人は自分たちのパワーが効かないことに焦りを覚え、
「じいちゃんに訊いて!」
「うん!」
一旦電話を切ると、今度はじいちゃんに電話した。
リリリリ〜ン!
「おう、わしじゃ!」
「おじいいちゃん!あたしとくるみのパワーが効かないの!」
「おう、まなみか。どうしたんじゃ?」
「だ、か、ら〜、あたしとくるみのパワーが…」
「お前たちはまだ未熟じゃからのお。ムォフォッフォッ!」
「でも、あかねちゃんもなの!」
「ん?」
「おじいちゃんは?」
「……」
「おじいちゃん?」
テーブルの上の耳かきを『取ろう』とするけど、それはピクリとも動かない。
何度試しても同じ。
難易度はかなり低いはずなのに…
じいちゃんの顔がみるみる険しくなっていく。
「わ、わしもじゃ!!とにかくお前たちは普通に生活していろ!」
電話が一方的に切られた。
時間は遡って、まどかは…
喉元に鋭い剪刃を当てられ、今まさにベントレーに乗せられようとしている。
彼女は動きも、そしてかすれ声すら出すことも封じられていた。
突きつけられたものが銃であったらここまでの恐怖心は無かったであろうが、
相手も心得たもので、まどかに大声を出させない有効な方法を解っている。
唾を飲み込む際にわずかに持ち上がる喉が切れ味鋭そうな刃先に触れ、
大声を出すどころかピクリとも動けず、言い成りになるしかなかった。
何と彼女はプロ集団に襲われてしまった。
仲間同士が交わす言葉に
(な、なに?こいつら!!…中国語?)
まどかは恐怖と混乱の中にいた。
その日はあかねと紅葉の日光を訪れる約束の日。
まどかも楽しみにしていた。
大きめのショルダーバッグの中には申し訳程度の勉強道具を詰め
軽めの朝食を終えると手際よく片づけを済ませ、ちらりと腕時計を見る。
(6時過ぎかあ…もう出ないと遅れちゃう!)
待ち合わせの駅には朝7時に集合の予定。
(忘れ物は無いよね?あると言えば…『春日クン』かな?)
フフッと笑って、バッグをからうと玄関に降りた。
彼女はジーンズにダウンジャケット姿。
まどかの住む街は、閑静な高級住宅街。
少し鼻歌交じりに玄関を出ると段差を下りて後ろ向きに門を閉める。
少し寒い朝もやの中…閑静さが災いした。
人通りがない上、朝もやが奴らの行動を隠す。
あっという間に4人のチャイニーズに囲まれた。
こんなこと考えてもいないし、当然全くの無警戒だった。
どう考えても周到に計画されていることが解る。
(どうしてあたしなのよ!!)
全く身に覚えがない。
剪刃を彼女の喉元に当てている奴は無表情だけれど全く隙がない。
彼らの手際の良さと雰囲気から住む世界が違う連中だと感じる。
そんな連中が彼女に狙いをつけていたとなると
(一体…?お金目当て?)
動けない分、頭の中でいろんな想像を巡らせている。
そんな彼女の腕を一人が引っ張り、刃を当てた奴がまどかを車に押し込んだ。
まどかは2人に両側を挟まれると分厚いドアが閉められる。
バスン!という重い音を残して車はゆっくり動き出した。
前の二人はこちらを振り向かない。運転手とバックミラー越しに目があったが
相手はすぐに目を逸らした。
刃先で喉が裂けそうでピクリとも動けない。
計画通りなのか、奴らはほとんど会話をしていない。
車の外にばかり警戒心を向けている様子。
(どうしよう?…え?!)
瞬間、ダウンジャケットの上から二の腕に注射針が刺された。
車が動く瞬間の揺れで刃先が喉に当たらないよう体を硬直させた瞬間を
奴らは見逃さず、そのタイミングで鎮静薬を打ってきた。
まどかは刃先が気になりながらも、ものの2分もせずに頭がぼーっとなり…
「こ…こんな…うう…」
呂律も回らず意識が薄れていった。
一方恭介はマンションを出て
(鮎川とあかねは今頃車中の人か…ちぇ、いいなあ。鮎川は余裕あるだろうけど
何であかねも行くんだよ?あいつは特待と言っても「ギリ」じゃねえか。)
ぶつぶつこぼしながら人混みの中を自転車に乗って図書館に向かっていた。
11月祭日の図書館は多くの受験生で埋め尽くされる。
恭介はスペースの無い駐輪場に、ちょっとはみ出しながらも何とか自転車を停め
図書室へ向かおうとしたところ、後ろから
「カスガキョウスケさんですか?」
見た目、日本人とはちょっと違う感じ。
(…韓国?中国?)
訝しがるが日本語で訊かれつい対応してしまった。
「え?…そ、そうですが…」
応えると、相手はいきなり
「『鮎川まどか』の命が惜しかったら、黙って着いて来い。」
(え?ええ?!何言ってんの?)
当然、訳が解らない。
でも、奴が発する雰囲気から相手が一般人ではないのは解る。
「一体…何?!」
言うと相手は眉間にしわを寄せ、細い目で恭介を睨み付ける。
恭介は心底恐怖を覚えた。
こんな雰囲気今まで味わったことがない。
何となく…命の危険を覚える。
でも、彼女が何か事件に巻き込まれているんなら放っておける訳がない!
勇気を振り絞って奴を思いっきり睨み返した。
久し振りにコントロール出来ないような怒りが脳内に沸き立ち
(キタ、キタ、キタ〜〜!!)
(いっちょ、やってやるか!パワー使うの久し振りだし!)
でも…昂揚する自分とは反して…相手は不思議そうにこっちを見ている。
(?…あ、あれ?…もう一度…あれえ?効かない?)
この時初めて、自分のパワーが使えないことに気付いた。
(な、なんで?)
相手はドギマギして考え込む恭介を放ってさっさと黒のポルシェケイマンに
乗り込み、ドアを開けたままアゴをしゃくって恭介に(お前も乗れ)と合図した。
大声出して騒げばこの場は助かるかもしれないけれど、
(下手して鮎川の身に…)
そう思うと、言い成りになるしかない。
(まあ、あかねや妹たちが気づけば、こんな連中イチコロだし
取り敢えずここは相手に従っておくか。)
ちょっと楽観するけれど
(そう言えば確か朝早い出発って言ってたよなあ、あかねのやつ。
ということは…気付いてない?
んな訳ないよなあ…。
あいつのことだから、きっとパワーで探してるはず。)
もうそろそろ1か月
やる気無くなった?
まどか「やっと晴れてきたね。」
あかね「ビーチ行こうよ。」
作者「ただいまホノルル到着!」
疲れ知らずの二人に振り回されるのであった。
ここのところあかねのパワーが覚醒していることと
鮎川に何かあったのなら、あかねが気づいて放っておく訳がない。
判ればまどかも、そして自分も助けてくれるはず。
想いを巡らせ少し安心したかったけれど、でも…
(鮎川の身に危険が迫ってるってことは…?あかね気づいてない?)
どう考えても少しヤバい感じがしてきた。
もう一度パワーを使おうとするが、何も起きない。
(…かしいなあ〜)
パワーを拠り所としていただけに、かなり不安になってきた。
車に乗り込むと、後からもう一人が乗り込んできて恭介は二人に挟まれた。
車が出発する瞬間、恭介も不意打ちに服の上から注射を打たれ
「何を!!」
大声を出そうとしたが、すぐに口を塞がれ、あっという間に意識が朦朧
となって行く。
(これって…ハワイで打たれた注射と…同じ?)
もう少し強力なものであった。
(俺、どうしたんだ?なんでパワーが?おかしなモノ…食ったっ…け?)
事ここに及んでも間抜けなことを考えながら意識を失った。
その頃あかねはまどかの家に来ていた。
門は閉じられ、家の中にも人が居る気配はない。
「どこ行ったのよ~?今日だよ…」
もう一度試してみるけれど…効かない。
仕方なく、取り敢えず恭介のマンションンに向かうことにした。
昼前にマンションに到着した。
あかねは息を切らしながら
「じ、じいちゃんは?」
「それが…おじいちゃんも使えなくなってるみたい。」
「え〜〜!!…で、何て?」
「とにかく普通に生活してろって…切られたの。」
「一体何が起きたのかしら?」
(それにしてもまどかちゃん…どうしたのかしら?)
3人は一気に不安になってきた。
一方じいちゃん家では
「ばあさん…これはひょっとして…」
ばあちゃんにいつもの笑顔はなく、不安げな表情。
(あの一件が…掟を破ったことが今頃になって…)
その頃まどかは…
ゴーー!!
体が押し付けられる感じがして目が覚める。
(イタッ!)
まどかは口をテープで塞がれ、両腕両足を縛りあげられていた。
麻酔が切れても、まだ頭がぼんやりする。
まだはっきりしない意識で辺りを見回すと、
映画などで見たことがある洒落た小型ジェット機のソファに
横にされている自分に気付いた。
(これって…?あたし…まさか誘拐されてんの?嘘でしょ?)
理由がさっぱり解らない。
(ほどけないよ。苦しい!!春日クン!…春日クン!!あかねー!!)
もがくほどに体が汗に濡れ、暑く息苦しい。
(なんであたしなのよ!なんで!!)
まどかはソファから転げ落ちた。
それに気づいて後ろの座席からさっきまでナイフを当てていた奴がやってきた。
転がっているまどかを上から眺めながら
「大人しくしていろ。」
(え?日本語しゃべれるの?)
すると、奴はまどかを足で転がし上を向かせると抱え上げソファの上に放り投げた。
いきなり口のテープが剥がされると
「痛っ!何すんのよ!!バカ!!」
大声で罵った。
男はフッと笑うといきなりまどかの頬をはり倒した。
彼女の口元が切れ鼻からはすーっと血が垂れる。
ソファに倒れるまどかを見ている男の後ろから女の声が。
「やめな!大事な商品なんだから!」
広東語だからまどかには解らない。
女は男に席に戻るように言うと、奴はニタニタしながら戻った。
「お嬢ちゃん、初めまして。あたしは『リン』よ。」
冷たい表情のまま日本語で語りかけてくる。
彼女は30代くらいの女性。
深紅のリップがきつく、サングラス越しに射るような視線を送ってくる。
言葉は流暢だがイントネーションから日本人でないのは間違いない。
まどかは睨み付けると大声を出した。
「なんであたしなのよ!!」
「あらら、おもらししちゃったのね。」
まどかは麻酔を打たれ気を失っている間に失禁していた。
ジーンズが濡れている。
まどかは恥ずかしさのあまりカ~ッとなった。
リンは睨んでくるまどかを余裕の一言で黙らせると
「今頃、東シナ海の上あたりかしら?あなたが大声出しても騒いでも
どうにもならないわねえ。これ以上騒いだらあいつらに…
『犯される』かも…飢えてるし。」
まどかは相手が自分の想像をはるかに超えた組織の人間であることを
思い知らされた。誘拐の仕方から自家用ジェット機、脅し文句もそこらの
「ワル」とは質が違う。黙るしかなかった。
リンはまどかを起こすと持ってきたカップの水を飲ませた。
「さ、飲みなさい。」
まどかは拒むといきなり鼻を摘ままれ、開いた口に水が流し込まれた。
ムセて咳き込んでるまどかに口調だけ優しく
「もうちょっと大人しく寝ててね。」
そう言うや、いきなり二の腕に注射を打った。
(春日ク…ン…タスケ…テ…)
ぐったりとなった。
一方恭介は
まどかに遅れること数時間、双発機に乗せられ運ばれていた。
目が覚めると彼も両手両足を縛られ客室奥の貨物室に転がされている。
(う!…え?お、オレ…これって一体何なんだよ?)
客室よりかなり寒いけれど、凍死しないように毛布で簀巻きにされている。
空気が薄く息が苦しい。吐く息が白く頭がぼーっとする。
高山病のような状態に陥って吐き気もする。
頑張ってもう一度パワーを使おうとするが、状況は全く変わらない。
(お、俺…誘拐されてるの?鮎川…あゆか…)
また意識が遠のく。
まどかが乗せられたジェット機は、出発して4時間ほどで香港の空港に到着した。
機は滑走路の端のVIP専用のゲートに横付けされると、ドアが開きリンに続いて
男二人に抱えられたいるまどかの姿が。
意識は朦朧としている。
奴らはゲートで待っていたベンツに彼女を乗せると空港外へと連れ出した。
そう、大胆にもこんなことができる連中は…香港マフィアである。
賄賂と買収で、政府と対等に我が物顔でやってのける。
それだけの資金力と実力を持っている。
今は日本の暴力団をしのぐ勢いでアジアに勢力を伸ばしている。
でも、なぜ香港マフィアがまどかを…?
しかし、まさにその瞬間を「片思いな奴」が目撃していた。
(くっそ〜…全然やる気が出ねえ!)
まどかの歌を聴いて以来、自分で歌う気が失せていた。
それどころか、プロデュースする方に目覚めてしまって
ちょっと気になる声の持ち主を訪ねては歌ってもらう。
そう、あの曲を。
でも、全然違う。
みんなそれなりの歌唱力で歌うのだが、奴のハートに響かない。
(オレ、何やってんだ?こんなとこで…)
彼の人気は台湾や香港でも凄い。
コンサートの集客力はトップクラス。
彼が来ることを知ったファンが空港に押し寄せる。
彼はうんざり気味で空港のVIP専用デッキに逃れ、
ぼんやりとガラス張りの向こうを眺めていた。
(ん…?あれ…ええ?あ、あれ…あいつ?あ!)
小型ジェットからベンツに移される『ほんのちょっとの間』を見てしまった。
いつもいつも彼女のことを想っているから、アンテナはすぐに反応する。
(んな訳…ね〜よなあ?)
ハワイで初めて出会って『ときめいた』…初恋に近い気分。
その後何度となくアタックしたが全く相手にされない。
「お前の歌が聴きたいんだよ!!」
そうは言うけれど…目の前にするとドキドキしてしまう。
でも…あいつには「彼」がいる。
(何ともさえない、なんであんな奴が…)
そう思うとメラメラと闘志に火がつくけれど…
アバカブの窓の外から、中で談笑する2人を見ると
あんなに気心を許しているまどかの姿が信じられない。
つまり、「そういう関係」と諦めもするけれど
でも…やっぱり…
もう一度、あいつの歌声を聴きたい!
彼にとっては、むなしい3か月だった。
まどかと出会ったばかりに、
彼女の才能を誰より認めているだけに…。
(んな訳、ないよなあ…)
二人の男に抱えられるように車に乗り込む女性の姿に
(飛行機で気分が悪くなったとか…んな訳…)
ちょっと嫌な予感を覚えながら、早川は黒のベンツを見送った。
「母さん、連休を利用して有給取った甲斐があったなあ。」
「あなたもお仕事大変でしょう?旅行の間は学校のことは忘れて…」
「そうだな…。」
な、なんと!
まどかと反目しあう国語の小菅先生が、夫婦水入らずで旅行に来ていた。
(あの問題児も最近は大人しいし、反抗的な態度も無くなったし…ん?)
信号待ちのタクシーの横に並んだ黒のベンツを見るともなしに見た。
ベンツは後部座席の窓を開け、奥の中国女性が何か叫んでいる。
「どうなさったの?」
「いや…気のせいかな?」
信号が青に変わると同時にタクシーが出発すると、遅れてベンツも発車した。
斜め前方からベンツの車中を覗くと、ぐったりした『教え子』が?
(んな…そんな…いやあ間違いない!あれは鮎川だ!)
エスケープ、ガン飛ばし、ため口…忘れもしない悪行の数々。
決して許せない…けれど、我が校の生徒!
根っからの生真面目さと正義感が先に立つ。
ベンツはあっという間にタクシーを追い抜いて行った。
「おい、運ちゃん!あれ!あれ!」
「ナニ?」
「あれだって!」
一生懸命指差して叫ぶ先生。
「追えー!」
運転手はパニックになった。
先生は手帳に
「黒!」、「追!」という文字と共に「ベンツのマーク」を書くや
運転手に見せ、先を走るベンツを指差した。
「あなた!どうなさったの?」
「母さん、ドルくれ!香港ドル!」
奥さんは出国前に両替しておいたお金を渡すと、先生は運転手に
差し出した。
「ほれ!追ってくれ!」
運転手はびっくりした後、手でOKサインを作ってスピードを上げた。
実はこれこそがまどかの持つ『パワー』であった。
いつも誰かに見守られる。
パパやママやお姉ちゃんだけじゃない。
看護婦さん、マリーとその仲間、あかねやひかる、早川や…先生までも。
偶然でも運でもなく…彼女も『受け継がれた者』であった。
その頃じいちゃんとばあちゃんは思案に暮れていた。
「のお、ばあさん…わしらはちょっといじり過ぎたかのお?」
「仕方ないじゃありませんか…、可愛い娘と隆さん…そして孫の恭介と…」
ちょっと溜息をつくと立ち上がりお茶の用意をし出した。
「『時の神様』がお怒りになっとるんじゃろうか?」
不安気に訊くおじいさんに
「そうですねえ…その内『知らせ』が届くでしょう…」
おばあさんは覚悟をしていた。
(せめて災いが私たち二人だけで収まればいいのだけれど…)
二人は言い伝えしか聞いたことがない。
その伝承とは…
その昔一族の者たちが、時の整合性が無くなるほどに過去や未来を…
興味の赴くままに行き来をし過ぎたために、とうとう『時の神』の怒りが
一族に下った。
彼らは全ての力を奪われ、逃げ惑う中、業火と雷鳴に次々に焼きつくされた。
怒りに触れた人々の体中の汗腺が次々に開くと、皮膚は無数の穴で覆われ、
そこからたぎる血液が噴出しながら、肉も眼球も萎むように溶けて蒸散し、
その後数年間、地表は腐臭と血しぶきの生臭いモヤに覆われたという。
この見るもおぞましい光景は、わずかに生き残った者の間に語り継がれてきた。
二度と同じ過ちを犯さないように、決して『パワー』を使わないよう…。
彼らは過ちを悔い、その後は子孫を絶やさないように細々と暮らしていた。
そして…彼らの中にパワーを持たぬ『ヒト』が子孫として誕生し
繁栄することになった。
それから何万年もの時が流れ、一族の忌まわしい記憶が薄れて行くと同時に
言い伝えはただの『神話』として人々の間に受け継がれることになった。
悠久の年が流れるのと共に『戒め』の記憶は緩くなってしまい、
自分の『力』に目覚めた者の中に、またしても『それ』を使う者が現れ…
それにしても、今回はあまりにも限度を超えて使ってしまった。
この数か月で『時空』に歪が生じ、『世界』が崩れ出している。
みんなは互いのことを想って、ひたすら救いたくて、相手を思いやるがあまり…
やってはいけないことに手を染めてしまった。
でも…なぜ今頃?
その頃…
まどかの瞳は涙に濡れ、視線は香港島の街中を彷徨っていた。
窓の外には夕暮れ近いストリートが流れている。
うっすらと目が覚めてきたけど、頭が働かない。
映る景色をただただなぞっているだけ。
口元から滴り落ちる流涎を、リンは荒っぽくハンカチで受け止めると
そのまままどかの頬を伝う涙と一緒に拭きあげた。
されるがままになっている。
泣きたくて涙を流しているのではなく、麻酔の影響で涙腺も唾液腺も
緩んでしまって、筋弛緩の作用からまた失禁していた。
車の中を漂う尿臭にリンは不機嫌になる。
「何よ!この薬強過ぎるんじゃない?!」
男たちに広東語でまくし立てている。
まどかの隣に座る男が換気しようと窓を全開に開けた途端
「開けるんじゃないわよ!!」
まどかはその言葉も解らないまま…
リンにもたれかかったまま、ただ流れる景色を眺めていた。
(春日クン!何で裏切るの?
何で今更『ひかる』なの?
あかね…何であたしを…何で?)
まどかにとって一番嫌な夢を見た。
香港はもう11月というのに、アジアの熱風に街が賑わう。
行きかう人々の数の多さ、人口の密集度は物凄い。
慌ただしく動く人の群れは、東京のそれ以上。
オフィス街からメインストリート、そして路地裏までが賑わっている。
いきなりブラインドが開けられた。
当に今沈もうとする夕焼けが一面総ガラス張りの窓から溢れこむ。
やっと頭がはっきりしてきた。
まどかはリビングのソファに横たえられていた。
見覚えのないイカツイ白人2人とリンが何かを話している。
こちらを見ているまどかに気付いて
「起きたようね。シャワー浴びて着替えてらっしゃい。」
「……」
「睨んでも大声出しても無駄よ。解ってるわよね?」
リンが顔でバスルームを指すと、まどかは慌てて逃げ込んだ。
「変な気起こさないでね。全部見てるんだから。」
スリガラスで囲まれたバスルームは立派なもの。
透けては見えないものの、まどかの動きは全部解る。
リンはまどかに気遣い、白人の男を部屋の外に出した。
まどかは汚れたジーンズや下着を脱ぎ捨て、頭からシャワーを浴びる。
今はとにかくスッキリきれいになりたい。
入念に洗う傍から、リンが
「汚れ物は持って帰ってもらうからビニール袋に入れといて。」
まどかは悔し涙を浮かべながら、汚れた下着とジーンズを簡単に洗って入れた。
「あなたが大人しく言うことを聞いてくれたらすぐに帰してあげる。
でも、聞かない時は、阿片をたっぷり嗅いでもらって売られるだけよ。」
「何よ!?言うことって!あたしが何をしたの?!」
ちょっとヒステリックに大声で返した。
男たちが聞きつけドアを開けるけど、リンは大丈夫と手を振って追い出す。
「さあ?あ、着替えはそれしかないから…」
「あたしのバッグはどこよ!」
「証拠になるものは捨てたわ。ごめんね。」
あっさりと言われまどかは観念する。
まどかは髪もよく拭けずにシャワールームから出てきた。
(…!何よ?これ。)
身に着けるものがそのドレス一点しかないのを知ると観念した。
濃紺のチャイナドレスがまどかの美人度を一気に引き上げる。
「ヒュー!!なかなか似合うじゃない。」
「ねえ、説明して!一体何なの?」
それには応えず、リンはガラスポットのジャスミンティーを入れている。
「さあ、これ飲んで。あなた、随分脱水状態になってるし、これ
興奮も鎮めるから。訳は…もうちょっと待っててくれる?」
リンのあまりの余裕と今までの流れから、想像もつかない事件に
それも大がかりな組織が関与していると思われる事件に巻き込まれたと、
今は騒いだくらいじゃどうしようもない状況であることを理解する。
観念すると、リンから手渡されたティーを受け取り一気に飲み干す。
(あたしのエスパーは助けに来てくれないの?)
その頃エスパーは
「ね、ねえ、トイレ!」
聞こえているけれど、客室に居る連中は知らん顔している。
(うう…もれそう!)
「ねえってば!!ト!イ!レー!!
すると、客室と貨物室を仕切っているドアから女性が出てきた。
(…?!ひ、ひかるちゃん?!)
女はミニスカートに長いブーツを履き、革ジャンを羽織っている。
栗色のショートカットに大きな瞳。でも、少し大人。
もう一度よく見ると『泣き黒子』がない。
彼女はひかるとうり二つだが…全く別の女性だった。
彼女はつかつかと歩み寄ると恭介の目の前にしゃがみこんで覗き込む。
スカートの中が見えそうで、恭介は目をそらした。
「ねえ、トイレ!」
「restroom?…オシッコ?」
笑顔で訊かれ、恭介はムッとして言い返す。
「…ト、イ、レ!」
赤くなって他所を向く『坊や』に
「あはははは!!カワイイネ!」
立ち上がると後ろに着いて来た男たちに命令している。
広東語で解らないけど、どうもほどいてやるように言ってる様子。
見るからに女の方がボスに見える。
男たちはしぶしぶ簀巻きの恭介の縄をほどいてやりトイレまで連れて行く。
恭介は高山病の状態に近く、足元がおぼつかない。
よろけそうになるのを背中を押されながらトイレに連れて行かれた。
トイレに入ると再度試そうと力むのだけれど何も起こらない。
(もう一度…やっぱり駄目だ…効かない!一体どうなってんだ?)
観念せざるを得ない。
終わって出てくると、連中はまた貨物室に戻そうとするのだが、
女がこっちに連れて来いと呼んでいる。
そして…恭介は彼女と通路を挟んで隣に座らされた。
前の方には日本で恭介を連れ出した男がこっちを見ている。
席の前後は男たちに挟まれている。
恭介はチラチラと彼女を見ながら
(やっぱ似てるなあ…)
知らん顔して雑誌を見ていた彼女が恭介の視線に気付き雑誌を置いた。
恭介は慌てて反対側の窓の外を見た。
ポンポン
肩を叩かれ振り向くと
「痛っ!」
彼女の長い人差し指が左頬に爪痕を残す。
以前まどかにされたのと同じことをされた。
「あはははは!『タン、ジュン。』」
そう言うと席から立ち上がり、恭介の膝を跨いで乗り越え、隣に座ってきた。
恭介に顔を近づけるといきなり日本語で
「アタシ、メイファン。メイって呼んで。ソレニシテモ…
アンタ、アタシのモトカレに似てる。」
妙なことを言い出す。
(…?)
「デモネ、ウワキしたから『シズメタ』のよ。」
(わ、あわわ…)
恭介は離れたくなった。
「オトナシクしてたら『サカナのエサ』にならないでスムからさあ…」
そう言うといきなり恭介の頬をつねった。
「この女タラシ。」
「へ?」
彼女は立ち上がると、再びわざと恭介の膝の上にまたがるように、
でも、スッと乗り越え自分の席に戻った。
機内アナウンスが聞こえた途端、前の方に居た目つきの悪い男がやって来て
またもや服の上から注射を打たれてしまった。
「何!なに…な…」
一方日本では…
元カノが自転車置き場にお行儀悪くはみ出た自転車を見つける。
(あれえ?これ先輩の自転車…)
ちょっと立ち止まって眺める。
ひかるは試験前ということで図書館に来ていた。
(くるみちゃん、まどかさんとあかねさんが旅行に行くって言ってたわよね?
じゃあ、先輩…一人かしら?)
自分も自転車を端っこに停めて図書館に入ると、学習室の入口付近で
背伸びして恭介を探してみる。
(あのことがあって…身を引いたけれど…
今度はあたしが応援する番って決めたけれど…)
切なくなる想いを胸に辺りを見回すけれど「元彼」は居ない。
しょうがなくひかるは自分の席を探して座る。
気を取り直して勉強を始めた。
2時間くらい勉強をするとあっという間に稽古に行く時間が近づく。
勉強道具をカバンに直し、帰り支度をする。
立ち上がりもう一度辺りを見回すけれど、それらしい人は居ない。
自転車置き場に行くと、恭介の自転車はそのまま。
辺りを見回すとその自転車を奥に押し込んでやる。
(お勉強頑張って下さいね。)
自分の自転車にまたがり稽古へと向かった。
信号待ちしていると…
「ひかるちゃ〜ん!」
勇作が現れた。
(んもう…何よ、しんみりしてる時に。)
うんざりした顔つきで勇作を見ると、彼は少し慌てている。
「ひかるちゃん。まどかさんが居なくなったって!」
「まどかさんならあかねさんと…」
「そのあかねさんとまなみちゃんたちが探してるけど、連絡付かないって。」
(なんで、それくらいのことで騒ぐのかしら?)
「あたしは…解らないし、稽古があるから…じゃあね。」
そう言うと勇作を残し自転車に乗って街中に消えた。
ダンススタジオに着くとエレベーターに乗り込む。
顔をパンパンと叩き気合を入れる。
「よし!」
発声練習から始まりダンスに演技と立て続けに稽古に集中するけれど
どうしても頭の片隅から恭介とまどかのことが離れない。
(帰りに…久しぶりにアバカブに寄ってみよう。)
「こらー!桧山!何ぼんやりしてる!」
不意を突かれて叱られた。
「す、スミマセン!!」
ひかるは慌てて稽古に集中した。
一方、あかねたちは陽が暮れた街中を恭介とまどかを探してさまよっていた。
「あかねちゃん…どうしよう?」
「図書館にも居なかったし、マスターも来てないって言ってたし
…あたしたちのパワーが消えたことと関係が…」
チリンチリン!
3人が振り向くとひかるが自転車に乗ってやってきた。
「ひかるちゃん!」
「どうしたんですか?みんな揃って。」
三人は顔を見合わせ…ひかるを前に言うのを躊躇ったが…
くるみがしょうがないという顔で話す。
「それがね…お兄ちゃんとまどかさんが居なくなっちゃったの!」
(え?)
ひかるは嫌な過去がよみがえった。
少しドキドキする。
(また二人で?…
ちょっと腹を立ててみるけれど
でも、もうあたしは関係ないし…)
気を取り直すと
「そう言えば、先輩の自転車図書館にあったけど…」
知っていることを教えてあげたつもりが
『元彼』の持ち物を判ってしまう自分を晒してるようで…
捨て切れない『想い』が見透かされそうで…嫌になってくる。
そんなひかるの純情に、気づかない『フリ』のまま
「え?じゃあ恭介、やっぱり図書館には行ったんだ…探したけど…」
あかねが言うのに、まなみが
「もう一回行ってみよう!手がかりがあるかもしれない。」
「うん!あ、ごめんね、ひかるちゃん。じゃあね。」
そう言うと、3人は急いで図書館へと向かった。
(手がかり?何を大騒ぎしてるのかしら?)
3人が着くと、図書館はとっくに閉館していた。
自転車置き場に行くと確かに恭介の自転車がある。
これハワイでアップしてんの?それとも日本?
ひたすらROMってる方も多いと思います。
↑私もですが。。。
続きを期待しています^^
162 :
元祖:2012/04/08(日) 22:53:44.59 ID:cfGZr8tF
せ、先輩様!あれ?レスペー様なのかしら?お久しぶりです〜♪
もう、ここ、一ヶ月周期ですよね。
惑星並の周期にならないよう祈るばかりです。
163 :
元祖:2012/04/15(日) 23:18:48.56 ID:P1w2UEHY
ひょっとしてアク禁でしょうか?
164 :
元祖:2012/04/22(日) 23:33:40.98 ID:kT1BzNPK
ほんと、作者様どうかされたんでしょうか?心配です〜。
早くまどかちゃんやあかねちゃんに会いたいです!
だから〜〜〜アク禁だろ?サバ負荷かけ過ぎだろ!
きっといつかを期待してんだけどね〜〜〜ねえ、ま〜〜〜だ〜〜〜?
幕末純情伝だったっけか?あれほど長く待たされることもなかろう。
それにしても今回はなげーな。
リンとメイファンってまどかとひかるのでふぉだろ?
だからなんとなく話が面白くなりそーな期待をしてんだけどな。
連休も明けてしまったが
ハワイでお酒飲んでるから21歳以上?
でも、オマセでおてんばさんだから20歳以下かも?
パラレルのまどかさんだったら24歳?
とにかく、お誕生日おめでとうございました。
さすがに昨日は恭介クンと一緒ですよね?
まさかあかねちゃん達に乗り込まれたなんてことは・・
「さっき来た時、お兄ちゃんの自転車って気付かなかったのに〜。」
息をつきながらくるみが言うのを聞いて、あかねとまなみは顔を見合わせた。
(さすがはひかるちゃんね…)
ちょっと切なくなる。
そんな雰囲気を介さず、くるみは怒り口調で
「んも〜!おバカは一体どこに行ったのかしら?」
そして、ふと、あかねが独り言を呟いた。
「あたしたちのパワーが無くなっちゃったことと関係が…まさかねえ?」
顔を見合わせると、みんな不安気な表情をしている。
見ると自転車にはずぼらな恭介らしくキーが掛かってない。
「んっしょ!」
あかねは自転車を引っ張り出すと
「二人はこれに乗ってマンションに帰って。あたしはうちに帰って訊いてみる。」
くるみがサドルにまたがると、まなみが後ろに座った。
「じゃあ、帰ったら電話するね。」
あかねは2人をちょっと見送ると暗くなった寒空を見上げてつぶやいた。
「まさか…あの伝説ってホントのことなの?もしそうなら…」
楽天家のあかねもさすがに深刻な気分になってくる。
帰る足取りが重い。
「まどかは一族じゃないのに…どうして?偶然?」
一方香港のホテルでは…
仕入れておいたまどかの電話番号に電話をかけてみるけれど、
何度かけても留守電になっている。
ライターを点けたり消したり指を動かしながら
「やっぱり出ねえなあ…んじゃ、あそこに電話してみるか。」
早川はそう呟くと今度はアバカブに電話した。
リリリリ〜ン!リリリリ〜ン!
「はい、アバカブですが…」
夜のアバカブはお酒も出すのでOLや学生で賑わっている。
マスターは片方の耳を塞ぎ、電話先の声を聞こうとする。
「もしもし、あ、マスター?俺、早川です。」
「やあ!早川クン。めずらしいね電話なんて。え?まどかクン?居ないけど。」
店がうるさくてマスターは声が大きくなる。
「あいつ…春日は?え?今日は見てない…。」
「どうしたの?…う、うわっ!」
マスターは大声を出すと思いっ切りのけぞる。
すぐ横であかねが聞き耳を立てていた。
ちょっと気になり彼女はアバカブに寄ってみたけどマスターは電話中。
いくら呼んでも一向に自分に気付かないマスターに近付き、
彼の顔のすぐ近くまで自分の顔を寄せていた。
電話に集中していたマスターはあかねに不意を突かれた。
(……?)
一方の早川も電話の向こうでいきなり大声を出されてびっくりしている。
マスターは(なんだよ〜)って顔であかねに
「まどかクン知らないかって。早川クンから…」
(え?!)
聞くや、マスターから受話器を奪い
「もしもし!あたし、あかねです!」
「おお!久しぶりだな厄病神。」
(こいつに言ってもいいもんやら…?)
「誰が厄病神よ!それより、あたしたちもまどか探してるの!」
(え?う〜ん…まあ、一応伝えとこうか…)
「…実は今、俺香港に来てるんだが…まどかクリソツなやつを見てな…」
「え〜!な、何で香港なのよ〜?!」
大声になった。
ハッと気づいて周りを見ると、客がみんな自分を見ている。
あかねは首をすくめ、ソッポを向いた。
「とにかく、まだ解らないが、もしあれが本物だったら…何でこっちにいるんだ?」
早川の頭の中に、ぐったりとなって車に乗せられる女性の姿が…
彼女の容姿を思い出すと…どう考えても…
(やっぱり…『あいつ』だ!)
「有り得…ないよねえ?」
不安げに訊いてくるあかねに、早川は動きが早い。
「もし明日も連絡が取れないんなら、俺に連絡くれ。
ホテルの電話番号言うから控えろよ。」
あかねは電話機の下に置いてあるメモ用紙に言われる番号を書きとめた。
「もし明日も見つからなかったら…」
「そん時は、オレの事務所にちょっと動いてもらうよ。
あいつの両親にも連絡しなきゃなんねーしな。しかし…」
ちょっと間が開いて
「何で香港?」
二人はハモってしまった。
173 :
見ろ!名無しがゴミのようだ!:2012/07/02(月) 09:56:27.50 ID:CpYhAWzM
ああつまんね
小菅先生達はというと…
ベンツを追いかけ上環から中環を曲がり山手へと向かっていた。
二階建ての路面電車やバスで混雑して見失いそうになる。
そして何とか山の中腹まで追って来たのだが、運転手は車を路肩に寄せて急停車。
「ん?おい!何で止まる?」
「イケナイ!コノサキ、コワイ!」
運転手はそれ以上進もうとしない。
その世界を知る者なら、この先が大物マフィアの邸宅であることをわきまえている。
超高級住宅街の中でも一際異彩を放っているし、
よく見ればあちらこちらに監視カメラが睨みを利かせている。
車中で夫婦はもう一度事の詳細について確認し合う。
「ねえ、あなたが首を突っ込むより日本に連絡を取った方が…」
「あいつはとんでもない奴だから、きっととんでもない事件に…今目を離す訳には!」
「じ、じゃあ、せめて地元の警察か日本大使館に…」
二人は相談し、怯える運転手にUターンを促しふもとまで戻った。
そこは一気に開けたビジネス街。
日本企業も進出している。
『ITACHI』の看板を掲げるビルが目に飛び込んだ。
「母さん、行ってくる!」
就業時間を終え、帰路へと向かう現地社員で混み合うロビーに突撃すると
「いかにも」日本人らしい二人連れにターゲットを見定め、思いっきり大声で
「大変だ!大変だ〜〜〜!!」
相手はビックリしてちょっとのけ反ると、
目の前にいる『変なおじさん』を無視して談笑しながらその場を去って行った。
先生はすがるような思いで二人を目で追いかけ
(お、おい!!日本人じゃないのか?)
相手は現地の中国人社員だった。
先生は脇から滴る汗を感じながら、一刻の猶予も無いのだからと自ら言い聞かせ
手当たり次第に声を掛けた。
「ジャパニーズ!アイ、アム、ジャパニーズ!アー、ユー、日本人?」
「どうされました?」
奥の方から声がした!まぎれもない『日本語』
先生は泣けてきた。
そこにはノーネクタイの開襟シャツをズボンの中に入れた恰幅のいい男性が…
よく見ると、日本人ではないが『日本語』に長けた「いかにも」現地の人だった。
仕事で日本と香港を行き来している現地支店の支社長らしい。
身振り手振りで事の次第を話すと
「それはご心配ですね。確かにあの辺は私たちも近づきません。
取り敢えず、その女性があなたの知り合いかどうかを調べる方法はありますか?」
「学校に…わ、私の職場に電話を!」
「私が掛けて差し上げますから、どうぞ電話番号を。」
「く!…く、くう…!」
あまりの温情に先生は泣けてくる。
「さあ、遠慮なさらず。」
「有難い!…本当に有難い!謝謝!謝謝!」
いまだに日本を嫌う中国人の中にも、過去は過去として、しかし現在と未来は
別物と考える合理的な考え方の人達もいることを知り、感激しきりだった。
次行ってみよう!
通された支社長室に奥さんと二人。
タクシーの運転手にはチップをはずみ、固く口止めして帰ってもらった。
支社長は秘書の女性に電話を頼み、つながったのを確認すると上司に渡す。
支社長は自己紹介を軽く済ませ、そちらの先生に代わる旨伝え、
小菅先生に受話器を渡した。
先生はすぐに、緊急時のホットラインを通じて教頭先生に事の詳細を伝え、
すぐに鮎川家に『ヤツ』の安否確認を入れるように頼む。
次にツアー会社の香港支店に電話をしてもらい、
現地で『知人』が何やら事件に巻き込まれているようで、急遽別行動をとったと
緊急事態であることを伝え、今後どうすればいいのか指示を仰いだ。
日本では…
教頭先生はまずは鮎川邸に電話を入れるが留守電になっている。
まあ、居ても出ないのはいつものこと。
仕方がないと、第一連絡先の姉宅に電話をかける。
「夜分に電話いたしまして申し訳ありません。高陵学園の教頭の・・です。
誠に申し上げにくいのですが、実は…先ほど連絡が有りまして…」
鮎川君らしき人物を香港で見かけた、そして、その時の様子が『おかしかった』と
たまたま現地に居合わせた教務主任から連絡があったことを伝えた。
「まさか…」
姉は妹がこっそり日光に旅行に出かけていることは知っている。
(お姉ちゃんには言っておこう)
まどかは姉には伝えていた。
(日光に居ても、香港には…居る訳ないわよねえ?)
「解りました、すぐに母に連絡します。詳細が解り次第折り返しご連絡します。
いつも妹のことでご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。それでは。」
「誰から?」
「う〜ん、まどかの学校の先生。」
「また何かやっちゃった?」
「多分、人違いと思うんだけど…」
(香港に居る訳ないでしょ?でも…あの子のことだから…一応調べて…)
「ね、ねえ、ごめんね、またおバカな妹のことで相談なんだけど…
ママに言ったら今度こそまどか…」
「そうだね。僕だったら…で、どうすればいい?」
「日光旅行のことはまどかから聞いてるんだけど…それが香港で見かけたって
その時の様子がおかしかったって…そんな訳…ないよね?」
「泊まるホテルは聞いてるの?彼は?」
「あ、そうだ!春日クンに訊いてみるのが早いよね。」
ルルルル!
「ハイ春日です!」
返ってきた慌てた口調に戸惑うお姉ちゃん。
「すみません、夜分遅くに…鮎川まどかの姉ですけど…」
「…!」
動き出した1日一個なのは何故?
アク禁恐れてるからじゃね?
ちょっとずつでもOKです。だって、ずっと待ってたんですもん。
まなみは急に涙声になり声を詰まらせる。
「一体…?」
「お兄ちゃんも…まどかさんも居なくなっちゃったんです!」
後は泣きじゃくって話にならない。
パワーが効かなくなったことと併せて、非常事態が起きていると感じ
心底不安になっている。でも、まどかの姉にはそんな事情は分からない。
ピンポ〜ン!ピンポ〜ン!ピンポ〜ン!
いきなりチャイムが慌ただしく鳴らされた。
くるみが開けるとあかねが入ってきた。
涙を流しながら受話器を握るまなみを見ると小声で
「誰から?」
「まどかさんのお姉さんから。」
そう言うとまなみは受話器をあかねに渡した。
「こんばんは。『親友』のあかねです。まどかを香港で見たって知り合いから
電話があって…実は今日待ち合わせていたのに…」
「そう…それじゃ、やっぱり香港に居るのかしら?…とにかくあなたたちは
落ち着いて頂戴ね。後はあたしたちが動くから。心配しないで。」
「はい…」
あかねも泣けてきた。
二人が居ないだけじゃない。パワーも効かない!
今までなかったことだけに、尋常ではない事態に襲われていると感じている。
教頭先生とあかねの全く異なる情報源から「同じ目撃情報」が得られた。
やはり妹は香港に居るのか?
(……)
受話器を置くと黙り込んでしまう妻にそっと声をかける。
「すぐに動いた方がいいんじゃない?」
「うん、ちょっと電話してみる。」
念のため家に電話したが、やはり出ない。
妹から聞いておいた宿のホテルに尋ねるも、まだ来ていないとの返事。
電話を前に固まってしまう。
「どうしよう…。」
「最近変わったことなかった?」
「解らないけど…いつも通りだったかしら…。」
「取り敢えず、上に当たって出入国をあたってみるよ。」
「有難う。」
「一応、お母さんたちには連絡しておいた方が」
「もう少し待ってあげて。」
普通読み飛ばすようなところを延々と書かれてもなあ・・・・・
半年近く主人公の二人を見てない気がするのはオレだけか?
その頃恭介は
「う〜ん…」
「目、サメタ?」
恭介は目をこすりながら辺りを見回す。
白い壁に囲まれたワンルーム。装飾品の他に衣装棚や壁にかけてある衣装、
鏡やポスター…まるで女の子の部屋。化粧の匂いが少しきつい。
「ほら、これノンデ。ダイジョウブヨ、何も入ってないから。」
恭介は手を後ろに縛られ、口にはさるぐつわをされている。
「サワガナイ?約束してくれるならホドイタゲル。
大声出したら引っ叩いてまたシバッチャウケド。」
取り敢えず、ここは頷いて外してもらうことにした。
「はい。」
屈強の男2人に挟まれ口と手を自由にしてもらった。
ティーポットからウーロン茶が注がれ、彼女はすする。
恭介にも注がれるが手を付けない。
「ノマナイの?」
「砂糖が…シュ…シュガー?」
過度の緊張を強いられたせいか、甘いものを欲しくなる。
「エ?…ぷっ!」
彼女は吹き出して、呆れたように棚からシュガーポットを持ってきた。
砂糖を混ぜ恐る恐る口にする。朝から何も口にしていなかったから
やけに美味しく感じる。しみじみと味わっている。
そんな「人質」の姿をメイファンは不思議そうに眺めている。
(ニホンジンはお茶にシュガーを入れるの?)
美味しそうに飲んでいる恭介を眺めながら、監視役の2人の男に部屋の前で
待機するように命令する。男たちは躊躇するが、彼女は少し睨んで出るよう命令する。
やはり格が違うのか、彼らはすごすごと部屋から出て行った。
「シンパイしないでいい、ココアタシの部屋。」
彼女の部屋は、売春を上がりとするビルの中の一室で、組織が支配している。
彼女は客を取ることからはすでに引退し、今では組織の中堅幹部になっており
大陸から流れてくる女性たちの手配を主に扱っている。
大麻やヘロインはリンクラスの幹部が仕切る仕事になる。
メイファンは福建省の中流商家の3番目の娘として生まれた。
年頃になり、海外を夢見るようになって家を飛び出し、香港へとやってきた。
やって来たもののすぐに先立つものが底を尽き、知人も泊まる場所も無い。
街をブラブラして過ごすものの、お腹も減ってファーストフードの前を行ったり来たり。
そして、そこに声をかけてきたのがリンだった。
「オゴッテアゲヨウカ?」
さすがに長年ここを縄張りとして住んできたリンだけに、化粧も格好も洗練されている。
「住むトコないんでしょ?よかったら…」
香港で「取材」していてるね、こりゃあ
189 :
見ろ!名無しがゴミのようだ!:
利用したってことだろうな、141とか。