紅の豚

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641見ろ!名無しがゴミのようだ!
>実に宮崎の東欧の友人たちが戦禍に巻き込まれていたからね
詳しく
642見ろ!名無しがゴミのようだ!:2008/07/20(日) 21:20:50 ID:Cvgs+RP8
「いい奴は皆死ぬ」

「手伝うか?奴らを他へ引っ張っていくんだ」
643639:2008/07/20(日) 21:31:13 ID:G1yy0fcc
海外のアニメに関心のない俺にとってはまた聞きみたいな知識でしか
ないのだけど、東欧の「民族主義」がもたらした内戦は宮崎の世界観を
根底から覆すくらい大きなものだったっていうことは、たとえば渋谷
陽一との対談「風の帰る場所」でもこれでもかと語られてる。

ノルシュテインが来日するきっかけにもなった広島映画祭なんかの
おかげで、宮崎・高畑は東欧の新旧アニメ作家たちと強い交流を
持っていた。とにかく80年代から宮崎は国内のアニメより海外の
作家たちの方に啓発されていたから。

東欧で内戦や文化大革命みたいな騒乱が起きたというのは、この
知り合いたちがみんな消息不明になるっていうことだったわけで。
644見ろ!名無しがゴミのようだ!:2008/07/20(日) 21:34:36 ID:tGYujPHi
ええ!!?
ノルシュテインってそうだったの?
ボスニアとかあのへんの?
いやショック・・・
645639:2008/07/20(日) 21:34:57 ID:G1yy0fcc
紅の豚を製作中の時期がまさにその最悪の内戦の一つ、ユーゴ紛争の
さなかで、森卓也がキネ旬のインタビューに行った時も「ヴコチッチ、
どうしてるかなあ…」と気もそぞろだったそうだ。何しろ東アジアの
一介のアニメ監督。混乱するユーゴ国内の特定の知人たちの消息なんて
つかみようがない。ジリジリしながら戦火が収まるのを待つしかない。

東欧内戦は、このあいだまで同じ街で買い物をし、同じサッカーチームの
応援をしていた同志が突然「これまでの怨みを思い知れ」と武器をふるい、
リンチし、殺し合うっていうもので、しかもそれが「悪の支配者」だった
ソ連の「支配」が崩壊し人々が「解放」された途端に起きたものだったから、
そりゃコナンやラピュタ的な世界観に影響がなければウソで。

93年のアヌシーで「クロアチアからの便り」を見た宮崎は、ザグレブの
アニメーターたちが健在であるのに大感激していたという。
646639:2008/07/20(日) 21:49:41 ID:G1yy0fcc
だものでそういう戦乱の地をまともに舞台にしてしまった「豚」の
コンテ=ストーリーが、能天気なアクション活劇のはずが一転
「途中で物凄く重くなってしまった」のは仕方ないわけで。

「この後登場人物たちはどうやって生きていくんだろうと気になって。
僕の知ってるだけでもその後大変な激動の時代が続くんです。そこで
フィオはどうしたんだろう。イタリアの町工場がどういう風に戦争に
巻き込まれていったのか。ああいう生き方をしているジーナみたいな
女が、ホテルアドリアーノを抱えたまユーゴと戦争になった時、どこに
生きたんだろう。そういうことが気になったんです」

「この映画は、それでもみんなに生きていてほしいと思いながら作った。
ファシストと戦ってカタルシスを得ると言うことではなく」

ファッショの嵐の中でジーナみたいな生き方をして、それをフィオ
みたいな女の子が助ける、というとつい映画「ジュリア」で描かれた
ジュリアとリリアン・ヘルマンの姿を思い出してしまうのですよね。

東欧の混乱に巻き込まれたアニメ作家たちも、ファッショの中で
生きていくジーナも、あの映画のバネッサ・レッドグレーブのように
民衆が笑いながら笑いながらホテルのドアを突き破り窓から外に
放り出すなんていうリンチを公然と行う対象になり得ていたわけで。

加藤登紀子も森卓也も、昔の時代を知っている人間はみんなそれを分かって
「紅の豚」を作り、見ていたということが個人的にうれしいのですね。
駄文失礼。