「シナリオ本からの引用」
日本的想像力の宝庫である「狸ばなし」を何故日本のアニメ界は取り上げないのか、
怠慢ではないのか、という主張を以前したことを思い出した。日本人が過去、どのような
視聴覚的想像力を持っていたかを明らかにするためにも、基本の仕事としてアニメ化する
義務があるのではないか。
(中略)どうすれば「狸ばなし」をいま、本格的な長編漫画映画(断じてアニメーションではない!)
に仕立て上げられるだろうか、それを考えた。
(中略)構成に「平家物語」のような考え方(盛者必衰の理)を導入すれば、開発で滅んでいく
タヌキたちを、化け話なども取り込んで面白く描けるかも知れない。戦記物の「平家物語」が
想像をまじえたドキュメンタリー本であることに励まされ、「空想的ドキュメンタリー」として
現代のタヌキたちをパロディー的に描いてみたらどうだろうか。「平家物語」を引き合いに出すなど
恥ずかしいかぎりであるが、これが「平成狸合戦ぽんぽこ」を思いついたもう一つのきっかけである。