━━久々のオリジナル作品となる「クラスターエッジ」。作品に対する意気込みなどを教えて下さい。
池田:キャラクターを作るコツのようなものが、最近ようやく分かってきました。
それで、キャラクターたちの喜怒哀楽、たくさんの表情を出せるようになったんです。
そうすると、こちらが想定したお話以上に、キャラクターが動いてくれるわけです。ですので、制作側は彼らの活躍できるステージを用意してあげればよい。
それが、僕の感じるアニメーション制作の面白味です。
今回、キャラクターを作るにあたり、小松田わんさん(キャラクター原案)に協力してもらい試行錯誤した結果、アゲートたちが誕生しました。
ここから、アゲートらが自由に動いてくれるような環境を作ります。
非常に大変な作業なのですが、現場の方で頑張っていきたいですね。
━━主人公のアゲートは15歳。「奇跡」を起こす不思議な力の持ち主だそうですね。
池田:アニメーションの主人公が、15歳前後と言うのは、視聴者の年齢が近く共感しやすいからでしょう。
サンライズ作品は、メカものだったり戦争がテーマだったりする作品が多く、「クラスターエッジ」も戦争がある世界の物語ですが、アゲートたちが戦争に直接関わるということではありません。
15歳くらいの子がどんなに頑張っても、大人の世界が変わるはずないでしょう?
戦争に対しピュアな正義感を持っている子供も、大人社会に出たときごく自然に大人の世界の歯車に組み込まれ戦争をしていることがある。
それを見て「大人は汚い」などと感じる子供たちの、心理的葛藤を描くのがひとつのテーマです。
だから、アゲートたちがいきなりの戦闘機のパイロットになったりはしませんよ(笑)。
もちろん、心理的葛藤ばかりのお話では息が詰まってしまうので、アゲートに特異な才能を持たせました。
彼の「奇蹟」を起こす力で、お話のテーマを掘り下げようと思っています。
━━作品の、背景的な面を教えてください。
池田:「クラスターエッジ」はファンタジー世界なのですが、20世紀初頭のヨーロッパをイメージしています。
この時代は、まだ騎士の精神が残っている反面で、産業が発達して国が世界に飛び出していくものすごいパワーがあります。
その先の時代だと、軍縮だ温暖化だといった問題が出てきますからね。映像的な点では、少女漫画のようなコマ割りを参考に、自由な演出をしていきたいと思っています。
戦争が舞台だと、誰もが心情を語るんですよね。それだけだと、お話はつまらない。キャラクターの心情はセリフや表情、音楽で普段表現されますが、それ以外でも表現する方法を模索しているところです。
実験的な部分も多いのですが、作ってる側は楽しくやらせてもらっています。
━━10月4日についに放送開始となります。ずばり、第一話のみどころは?
池田:明るいアゲート登場!です。
僕は明るい主人公が出ているだけで、楽しくて仕方ないんですよ。サンライズ作品では珍しい主人公だと思います。
あと、飛行機同士の戦闘シーンがあるのですが、その空中戦はよく出来ていると思います。その辺りをぜひチェックして欲しいですね。
タイトなスケジュールの中、テンポのよい作品になっていると思います。
1話1話を楽しんでもらえるよう作っていますので、ちょっと注目してみて下さい。