光の中にいる三人は話し合った
みんな食べられてしまったでゲショ、とうとう私達だけになってしまったじゃなイカ
でも、侵略者魂で人間を虜にして、ここに新しい楽園を築き上げようじゃなイカ、私達はここに楽園を築きあげる祖先になるでゲショ、とミカが言うと、二匹は賛同した
早速人間の親子が出てきた
三匹は媚を売る
人間さん、私達食べれそうでゲショ、どうわ私達を保護して飼ってほしいでゲショ、と目をうるうるさせながら言った
親子の少年は飼いたいと言ったが、親はすでにミニイカの悪さを知らされており、拒否した
親が帰るぞと父が言ったら、少年は、ミニイカにまた来るから待っててねと言った
言葉は理解できなくても、少年の笑顔で、自分たちが助けてもらえることは分かった
しばらくして少年は食べ物と水の入ったバケツを持って戻ってきた
まず三匹はバケツの水で優しく洗ってもらえた、ミニイカ達はキャッキャッ騒ぐ、少年の心を射止めるためだ
少年はミニイカの可愛さに、助けて良かったと思った
水浴びの後は食事だ、少年はミニイカ達に食事をあげた、少年は夕食を食べなかったのだ、しかし次の瞬間助けたことを後悔することになる
ミニイカは、皿に盛られているエビだけ食べて、あとの物はチッと言って触手で皿をひっくり返して、まだエビが足りないとばかりに泣き出したのだ
ミニイカからすればエビと書いてご飯と読むのである、当然だと思っている
少年は驚愕した、少年の家は貧しく、食事にありつけるだけでもありがたいのだ
父が少年の元にやってきた、父は少年が食事を食べずに外に行ったから気がついていたのだ
ミニイカに情けは与えちゃいけないと言われたけど、理由は分かったよと父は言った
地雷処理の時に、父の村にミニイカが行っても相手にしないように言われていたのだ、だから父は少年にかまわないように言ったのだ
お腹空いたか?と父が少年に問いかける、涙目の少年はうなずいた
父はミニイカを食べたらいいと言い出した、食べることは禁止されていない
バケツに三匹のミニイカを入れると家路についた
ミニイカは、幸せな生活を期待してわくわくしてキャッキャ騒いでいる
家に着くとミニイカは優しく葉っぱにくるまれた、ミニイカ達は葉っぱの布団だと喜んだ
そして鍋に移された、鍋にミルクが注がれた、ミニイカ達は葉っぱのお布団にミルクの川、新しいご主人様はなかなかセンスいいんじゃなイカと喜んだ
最後に熱く熱せられた石が入った
わかった、これはサウナじゃなイカ!と三人は、葉っぱの上で寝ころび足を組んで大喜びしている
少しずつ鍋の中が熱くなる
ミルクの霧なんてオシャレじゃなイカ
でも、ちょっと熱すぎなイカ
鍋を空けて途中でスパイスを入れる父
熱いじゃなイカ!、もう出してくれなイカ
しかし父はスパイスを入れるとすぐ蓋をした
ミニイカは悟った、蒸し殺される、もう嫌でゲソ、何でこうなったんでゲソ、などと最初は言っていたが、やがて元気が無くなり、声も出なくなった、ミニイカたちは、薄れゆく意識の中で、同胞たちとの楽しかった一時を思い出していたのであった
鍋を開けるとミニイカのミルク蒸しが出来ていた、少年がミニイカの頭をかじりつくと、そのおいしさに、大喜びで、父に笑顔で言った
ミニイカってすごいんだね、地雷の処理も出来るし、食べたらすごくおいしい、いつかミニイカの養殖をしたい
十数年後、この村は、ミニイカの養殖で栄えることになる
ミカたちの侵略者魂は少年に十二分に伝わったのだった、しかし、それはミカたちが望む形ではなかった…
終わりでゲソ