【シャイニング】Shining Tears × Wind 心剣21本目
録画見たけど、さすがに今回は泣いた
ソウマはキリヤに嫉妬したんじゃなくて
呉羽の思いが届いていないことに苛立っていたという、
その想い人の幸せを真っ先に想う心の深さに感動
もちろん、その葛藤を示すための心象風景として
あえてストーリーの流れを無視して
荒野に一人という場面を出した脚本家の大胆さも見逃せない
Bパートで、当然守りを固めているべき巫女の塔にキリヤが簡単に潜入できたのも
言うまでもなく、呉羽がキリヤが好きで心を許していると言う比喩
逆にソウマは苦労して外壁を上っており
巫女の塔が呉羽の心のメタファであることを端的に示している
視聴者にキリヤとソウマの差わかりやすく再確認させる計算され尽くした描写
全く展開に不自然さはない
そして、そのあとのもう一度キリヤとソウマの勝負での台詞が上手い
「これ以上やったら心が折れてしまうな」
心剣と言う設定を最大限に利用しながら、
ソウマの優しさと切ない思いを見事に表現した台詞
正直、今回の話は神がかってたな・・・
今回はマオの心理描写が秀逸だったな
マオの逢いたいという気持ちと、シオンの、マオのためにこそ逢えないという事情
そして逢えないことで深まるマオの不信、信じられない自分への自己嫌悪
そこに、ジードの来襲という思いもよらない斬新な展開
自分はどうなってもいいと自暴自棄になるマオに、「よくねえ!」と叫ぶソウマ
マオはそこに、「大切な仲間」といったシオンの姿を重ねる
そしてマオから心剣を抜くソウマ
シオンへの迷いを象徴する黒と白の羽の心象風景からの解放
まさに「心の剣を解き放つ」描写
心剣をぬくことは、現実での強大な武器という側面と、
心理的な解放を示す象徴的意味合いの2つの側面があり
この二重構造こそがこのアニメのもっとも革新的な部分だが
今回はその要素を最大限に使う見事な構成
ここで満を持して、ソウマの台詞「大事なのは、お互いの、心」
また、ここで上手いのは指輪の使い方
単に心剣を抜くだけでは、「ピンチになったから、指輪のなんらかの力で剣が抜けた」
といった予期せぬミスリーディングを誘ってしまう恐れがあった
もちろんこの周到なアニメが、そんな展開を一度でもしようはずがないことは
もはや言うまでも無いのだが
しかし、ここに指輪をなくすという展開をはさむことにより、
自暴自棄になっていたマオが、
ソウマを信じ心を通わせたからこそ心剣が抜けたと言う事実が
誤解なくわかりやすく視聴者に伝わるのである
そしてソウマを通じて、シオンを信じようという気持ちになれたマオでエンド
見事としかいいようのない自然な流れは芸術的ですらある
ここまで丁寧過ぎる心理描写を、あの迫力の戦闘シーンと両立させて
実質Bパートだけでやられてしまっては、ただただ脱帽するほかない
今回は、その名称が作中で出て以来、だれもが気になっていた「聖杯」について考えてみたい
聖杯とは純粋な心の結晶から生まれるもの
それは、トライハルトには前回において裏人格が解放されたヒルダであり
キリヤにはキルレインに対しての使命感によってセレスティアとの統合を果たしたゼクティであり
そして、ソウマにはキリヤであった
トライハルトか世界か、誰でも迷わずにはいられない究極の選択。
キリヤはゼクティの存在とその死に関して、トライハルトに対してわだかまりを残していた
これは、中盤のキリヤの錯乱ぶりとゼクティへの執着を見ていれば当然気付いて然るべきだが
さらに回想まで入れる念の入れようは、さすがに丁寧な脚本、やはりこのアニメに隙はない
しかし、ここで世界ではなくトライハルトを選んだことで、キリヤはその迷いを断ち切る
それと同時に、この重大な選択をキリヤに託してくれたことで、ソウマへの絆はさらに深まる
迷いなき純粋な心と、ソウマへの信頼。
ここに来て、キリヤから究極心剣が現れるお膳立ては、全て、整う
そして、ここでようやく視聴者はハッと気付くのだ
先に、明らかに強敵の風格をもつ魔獣ケルベロスが
キリヤソウマの前に、一見不自然なまでになすすべなく倒れたこと、
そのこと自体が、キリヤとソウマの絆の強さを予感させる伏線であったことに
こうなると、もはやソウマの究極心剣がキリヤから抜かれることは確定的に明らかである
そして、予定調和のごとくキリヤから現れるソウマの究極心剣
意外でありながら必然、予想を裏切り期待を裏切らない展開、怒涛のドラマツルギー、驚愕のカタルシス、
視聴者にできることは、もう、この物語をあるがままに受け入れることのみ
一方で、そんな、誰が見てもあきらかにキリヤ=聖杯と言う状況ですら、
心剣を抜く直前に「俺の聖杯はどこだ!」などとソウマに叫ばせて
「おいおい、キリヤ以外有り得ないだろ!」と、既に気付いている視聴者をやきもきさせたりする
クライマックス前に軽くクッションを入れる余裕の演出がまた心にくい
そして、ソウマ・キリヤ・トライハルトが、最後の敵エルファーレンと対峙する緊迫の構図で次回へ
ソウマ達の戦いはこれからだと言うことを印象付ける完璧な様式美で、いやがおうにも期待は高まる