新海誠 ほしのこえ/雲のむこう/秒速5センチメートル 16
643 :
超夢銀漢王:
今月のアニメージュで4ページの特集記事が載ってます。
少女時代の明里役、近藤好美との対談が2ページ、制作スタッフとの
対談が2ページ。
以下簡単に内容を書くと、
監督「近藤さんを選んだのはデモテープを聴いた中で10代の女の子に
手紙を読んでもらっている感じ、現役のティーンエイジャーならではの
リアリティがあったから」
近藤「映像に合わせて喋るのがはじめてだったので難しかった」
(出演者の中でアフレコ経験者は花村怜美のみ)
一番好きなシーンは、とのことで
近藤「冒頭の『猫、チョビだ』と再会後の『まるで雪みたいだね』のところ」
監督「お弁当を食べているところの『ほうじ茶、初めて飲んだ』『嘘、絶対
飲んだことあるよ』のやりとり。この場面は明里が本当は嬉しいのにそれを
抑えているようなクールな印象がある。貴樹は安心しているけどどこか
緊張しているような感じがあって、貴樹と明里はこういう関係なんだなあと
改めて思った」
監督「貴樹が明里にキスをしてものすごく嬉しいはずなのにふとその先に
思いがいってしまって、ずっと一緒にいることは出来ないと思ってしまう、
その漠然とした不安感も受けとめてもらえると嬉しい」
監督「決定的な理由がないけど時間や距離の積み重ねで何となく別れて
しまうような現実はよくあると思う。そんな中でも現実の世界は美しい
ものに囲まれている、ということを第三話では表現したかった」
監督「貴樹の気持ちについては色々な解釈ができると思う。ふとした
瞬間に明里が心をよぎるようなこともあるが、それは思春期の
人格形成において重要な時期にその子のことを想って過ごしたから。
初恋の子に似た人を見つけると目で追ってしまうという部分は年配の
男性からの反応も大きかったが、それは作中で明里が貴樹の視線で
描かれているからかと思う。どこか夢のような幻想的な女の子で、『僕の
好きな子はこういう子だったかも』と思ってもらえるのかも知れない」
644 :
超夢銀漢王:2007/03/09(金) 14:31:04 ID:A+yuJ2NU
続いてスタッフ編。
監督「西村さんは僕たちの間で一番キャリアがあり、物量にも対応
できるし緻密な動きを丁寧に描く技術も持っている。」
西村「最初はもっと短いスパンで作れるイメージだったので、動画も
自分で全部描いていた」
「心理描写部分の作画が一番大変だった。絵コンテから汲みとれるが
いざ表現するとなるとやはり大変。心のひだを描くのが難しい」
丹治「第二話の種子島、ロケハンに行っていなかったので南国の
匂いや空気を美術で表現するのが難しかった」
馬島「最初だったこともあって一話の方が大変だった。(普段は油絵
なので)きれいな色合いが苦手」
天門「(山崎まさよしの曲のアレンジは)最初は難しかった。歌いまわし
によって魅力が出てくるメロディなので」
「シンプルなメロディーにすると魅力を出しづらいので、結局ピアノと
バイオリンで演奏した。全部デジタルの音だと感情を表現するのには
足りない。弦楽器はそのへんの効果が大きい。生の音は情感が全然違う」
監督「第二話の回想に入る部分では(天門さんは)生ギターも弾いている。
あのギターが入るだけで『北の国から』が始まったみたい」
天門「前々から新海作品にはアコースティックギターが似合うんじゃないか
と思っていた。四畳半フォーク的な叙情性というか」
完成した映画を観て、
監督「今回は仕上げのタッチ、学生バイト中心にフォトショップで塗ったが
彼らがよくこんなに塗ったなとちょっと感動した。美術950枚前後、動画
2万枚という膨大な量を塗ってもらったと思うと『よくやったな。僕ならとても
できないな』と。メインスタッフとしては出てこないが根性ある仕事をやって
くれたと思う」
今後の監督に対する希望など
天門「次に仕事を頼まれたら実験的なこともやっていきたい」
馬島「旅行に行かれるという噂を聞いたのでその後の作品がすごく気になります」
丹治「新海さんにはこのまま進んで行ってほしいと思う反面、新海節じゃないものを
観てみたい気もする、コメディーとか」
監督「この作品の半分は西村さんの力で成り立っている。このあとちょっと
短い作品でご一緒させて頂くが、その先ももっといろんなことをやれたらと思う」
西村「どんな作品を作っても新海さんらしさは出てくると思うので、全然違う
ジャンルも見てみたい」
実写に興味はあるか、との問いに
監督「僕はあまりない。やってみたらと勧められることも多いが、実写は現場
でのコミュニケーションが難しそう。俳優にゆだねなければいけない部分など
自分でコントロールできない要素が多そう。完全にコントロールしてアニメーション
を作れているという自信がもてるまではもう少しこっちで頑張ってみる」
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超夢銀漢王:2007/03/09(金) 14:33:18 ID:A+yuJ2NU
あと、杉井ギサブローのアニメでお茶を、のコーナーも秒速5センチ特集。
作画監督の西村貴世が「あらしのよるに」に参加していたこともあって、
そのあたりからも思い入れのあるコメントをしてました。
「第一話をしばらく観たところで『なぜアニメで作品を作っているのだろう』と
思った。小説や実写でなくなぜアニメなのか。
でも映画が進むうちに『アニメじゃないとだめなんだな』ということが自然に
伝わってきた。アニメが実写と違うところは一コマ一コマが『絵=アート』
であること。リアルではあるが実写とは違う、絵画として描かれた風景を
映像言語として使い、情感を心地よく演出している」
「新海監督が書きたい世界は必ずしも巧いアニメートが必要というわけでは
ないと思う。でも今回の作品ではアニメーの巧さが世界観を伝える強力な
手助けになっていて気持ちよかった」
「新海さんは『ここから先は踏み込まない』というコントロールが巧く、そこが
作家性になっている。もう一歩踏み込めば作品に密度が出たり、他の
メッセージも伝えられるかも知れない、でも『ここでやめておこう』と抑える
感覚が新海さんの持ち味だと思う」
以上、長文連投失礼。
どちらの記事もかなりの長さなので、興味持った人は実際に読んで下さい。
#スキャナがないので申し訳ない……。