半分の月がのぼる空 〜八日月〜【荒らしは即通報】

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5名無しさん@お腹いっぱい。
328 名前: ◆WNCTZRfj36 [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 05:03:50 ID:9K6LsB3Y
 前半は気分がいい話(良い意味で)。
 後半はすげー気分が悪い話(悪い意味で)。
 そんな感じの話やったな。
 前回の欝的なヒキのお陰か、とにかくそれを挽回せんとする前半の展開が妙にグッとくるのだよ。

 まず前半、心引かれたのは裕一と司の友情だ。
 何気なくふらりときた裕一を、ごくごく普通に、これまた何気なく迎え入れる司。
 よく考えれば「何気なく」だからこそ、二人の友情を感じられる場面ではないだろうか?
 あとで犬を巡る一件が回想されていたが、「犬とて弱者を見捨てられない」「困った相手を放置できない」というこの二人。
 これまた何気ないけど「優しい気持ち」の共通認識が強く表された部分であった。
 そんな二人が挑む「里香の本の奪還行動」。
 本作は熱血アクションアニメというわけじゃないけど、「何とかしたい」という優しい気持ちがこちらにヒシヒシと伝わってくるせいか、妙に手に汗握らせる。
 しかも闇の下、豪雨寸前状態という状況もあってか。焦燥感をより一層煽らせる。
 だがそれを、ゼブラーマスクのサポートでなんとか目的成功!という結末は実に気分爽快であった。
 この行動で里香から感謝してもらえるかどうか確証はない。
 それ以前に、裕一自身の身が危うい(事実、熱出してるし)。

 だけど、それでもやり遂げる・・・というか、優しい気持ちに素直なまま行動しちまう。

 「本を奪還する」という目的の裏で、司との友情が描かれ、そして里香の笑顔も(夢のシーンで)描かれた事後結末は、妙な達成感が溢れている。
 今回の前半は良い意味で気分の良い話だった。

 勿論、後半も良い場面はあった。
 特に屋上での「銀河鉄道の夜」、それを模した裕一と里香のやりとりは絶妙であった。
 ただ宮沢賢治の原作を知らない人には、とっつきにくかった思うが・・・(それにしてもここまで宮沢文学をリスペクトしたアニメってかつてあったか? 自分は『ジェネレイターガウル』の授業場面で引用されたこと位しか思い浮かばん)。
 でもそれ知ってる人にとっては、実にはまるはまる。最後の悲しいオチも含めて、実にハマるのは確かだ。
 そして平和な里香と裕一の風景と対照的に描かれる、里香の母の嗚咽、夏目の落胆・・・
 ここら辺りの伏線となる対描写もお見事だ。
 
 でもまあやっぱり、夏目の態度は好きになれんな。
 飲酒程度ならまだ良い(ホントは職務怠慢で良くないけど)。
 裕一への暴言も許そう(ホントは名誉毀損で良くないけど)。
 しかし暴力だけは絶対駄目だ。
 人様の命と健康を預かる医師が、他人の健康を損なうことだけは絶対にやってはいけないことなのだ。
 たとえるなら警察が泥棒したり、消防署員が放火しちまうような物だ。
 今回、医師の夏目が行なった暴力は(たとえ背景に里香の病状と裕一の態度、自身の悲しい過去があったとしても)、許されるものではない。
 このお陰で、非があるのは「状況が飲み込めてない裕一」ではなく、自分勝手に悲劇の医者をふるまって常軌を逸した夏目の方にあるように思えてならない(演出的には裕一の楽観ぶりを糾弾したかったんだろうが)。
 確かに夏目の言うように泣いて病気は治らないし、周囲との軋轢も解消できない。
 しかしだからって、17歳の少年に八つ当たりしても解消できるものじゃないだろう?
 それどころか、こういう行動に出るって事は、事実上、夏目は医師失格以前に人間失格宣言をやっちまってることにならんか?
 職務意識以前に、自分の心に負けている夏目。
 そんな夏目の行動を当たり前の様に描いちまったことには、やはり不快感を感じてならなかったのだ。

 無論、そういう夏目の行動に反発・・・ってわけじゃないけど、絶望の中で希望を見出すのが裕一であり、それが次回の話につながるんじゃないかと思ってる。

 前半のゼブラーマスクの活躍に笑い、
 後半の夏目の暴力に怒り、
 そして最後の里香の運命に泣いた今回。

 話数が少ない分、やはり一話一話の充実度はかなり高い。次回も期待!でもビデオのタイマーには気をつけようw


http://gush.nobody.jp/th002/021.html
感動します。見て下さい。