:*・゚・*: 雪の女王 :*・゚・*: その21

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160名無しさん@お腹いっぱい。
>>>>以前書いたものですが、最終回記念ということで。

雪の女王の城でのラストバトル後。
ゲルダの熱い涙が凍結したラギの氷を溶かし、ラギ復活。
ラギに抱きつき嬉しさの余り泣くゲルダ。
そんなゲルダを優しく抱きとめるラギ。
そんな二人を見つめながら、ゲルダの愛と二人の絆の強さを知るカイ。
「……そうか、ゲルダは…。そうなんだね…。負けちゃったな。二人の愛には……」
雪の女王はカイを解放。自分の故郷に帰るようにカイに告げる。
しかし、長い刻を一人で孤独に生きてきた雪の女王の背中には
拭いきれない寂しさの影が。
それを感じ取ったカイは雪の女王の城に残ることを決意。
雪の女王との優しくも幸せな生活は、カイの心に雪の女王への同情と共に
確かな愛情をも育んでいた…。
「本当にいいのですか、カイ?」
「うん。僕は決めたんだ。これからもずっと貴女と一緒にいたいって」
「ごめん、ゲルダ。僕のお父さんやお母さんに僕はもう死んだって伝えて」
「カイ!」
雪の女王の城を立ち去るゲルダとラギ。吹雪の中に霞んで消えていく城。
涙に暮れるゲルダをラギがなぐさめる。
しかし、ゲルダはカイが選んだことだから、カイが幸せならそれでいいと
顔をあげる。
「さあ、ゲルダ。帰ろう」
「はい…」
161名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/20(月) 06:44:03 ID:2d3gSWe6
再び二年の長い時間をかけて、ようやくゲルダの村のそばまで帰ってくるゲルダとラギ。
進む道が先の方で二本に分かれている。
「さあ、ゲルダ、私はこちらの道を行く。 ここでお別れだな」
「ラギさん……」
「私はまた旅を続けたいと思う。死んでいった私の部下達を弔う旅を」
「いつまで旅を…?」
「さあ…。きっと私の心が納得するまでだろう。一年かかるか、二年かかるか、
ひょっとすると一生かかるのかもしれないな」
「ラギさん、私、待ってますから! ずっとずっと、待ってますから!」
涙を流すゲルダの胸に今までのラギとの旅の出来事の数々が走馬灯のようによぎっていく。

「近くによったら、きっとまた私の村を訪ねてください! きっとまた…。必ず」
「ああ。私の心に区切りがついて、自分で自分が許せるようになったら必ず」
優しく頷くラギ。その笑顔はゲルダが一番大好きだったもの…。
しかし、ゲルダがそれを見るのはこれがもう最後になろうとしていた。

互いに背中を向け、歩き出す二人。涙を流すゲルダ。 だが、決して振り返らない。
決然と瞳を前に向け、懐かしい故郷への一歩を力強く踏み出していくのだった。(止め絵)
162名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/20(月) 07:00:59 ID:2d3gSWe6
更に数年後、美しく成長したゲルダは今も元気に故郷の村で働いている。
年頃に育ったゲルダに求婚する男達は後をたたないが、ゲルダはそれらを全て断わっている。
村人達の間では、誰か想い人がいるに違いないとのもっぱらの噂だった。

そんな冬のある日、村の広場から懐かしいリュートの音色が響いてくる。
ゲルダははっと息を呑み、運んでいた洗濯物のかごを手から落とす。
駆け出すゲルダ。その先には懐かしいラギの姿があった。
ラギの胸に駆け込んでいくゲルダ。
激しく泣きじゃくるゲルダを優しく抱きとめるラギ。
長旅によってやつれてはいたが、それは長い間ゲルダが待ち望んでいた、
懐かしくて暖かなラギのぬくもりだった。

「ラギ、ラギっ!」
「ゲルダ…」
何度も何度もラギの名前を繰り返して泣くゲルダ。
そんなゲルダを優しく包むラギ。

まるでゲルダがラギに初めて出会った頃のように、優しく降る雪が静かに祝福するように
二人を包んでいく……。


   「信じ続けていれば 思いはきっと届く」



         雪の女王     完
163名無しさん@お腹いっぱい。:2006/02/20(月) 07:01:55 ID:2d3gSWe6
感想・・・

ただの妄想バカww