伸恵には友達がいなかった。
伸恵には妹がいた。妹の友達がいた。
この子達がいればいいと思ったいた。思い込んでいた。
先日の誕生日にその子達がプレゼントをくれた。
PSPだった。
「これってゲームもできれば音楽も聴けて、映画も見れるんだって。
いつも私達と遊んでるでしょ?これを使ってたまには友達と遊んだ方がいいよ」
悪気はなかったのだろう。分かっている。
子供たちがお小遣を出し合ってこんな高いものを買ってくれたんだ。素直に嬉しい。
しかし嬉しさと共に虚しさが溢れてきた。これ以上心配させちゃいけない・・・
伸恵は精一杯の笑顔で子供たちに“ありがとう”と伝えた。
伸恵はまた独りだった。
でも子供たちがくれたPSPのおかげで暇を潰す事はできた。
「ねぇ。それってPSPでしょ?」
突然、後から声がした。見たことある顔だった。
確かクラスメイトの・・・名前が出てこない・・・
「それ妹さん?」
「え・・・あ・・うん」
「みんな楽しそうな顔してるね。伊藤さんのこと大好きなんだね。」
最初は馴れ馴れしさに戸惑ったが、意外と自然に会話できた。
そして、今までにない充足感が溢れてきた。─私はこれを望んでいたんだ─
「今日一緒に帰らない?」
「うん」
伸恵はもうどこでも独りじゃなくなった
ありがとう妹達。持っててよかったPSP