墜落現場には雪風の苦しそうな軋みとレーダーの警告音だけが響いている。
雪風の多目的ディスプレイは時折垂直同期信号が乱れるが、それ以外は至って静穏
なものだ。
とても、ジャムに打ち落とされた戦闘機には見えない。
なんで、俺じゃなくて雪風なんだ。まだスーパーシルフじゃないか。あんまりだ。
「Lt.FUKAI……」
いつもの祈りとも呪詛ともつかない思いが終わる前に、雪風が静にMAcProUを
起動した。
「……なんだ?」
「JAMのニュータイプが存在する。攻撃せよ。」
JAMどころか、二次電力だって不足しているのに。
「ニュータイプか。……どんな武装が必要なんだ?」
「敵戦力を推定する。」
一時的にビジーになった雪風は、すべての表示を消去してこう答えた。
「……フェアリー星全体に脅威が及んでいる可能性あり。地球破壊爆弾の使用許可を求める。」
マスターアームスイッチON