スクールランブル School Rumble ♯44
アニメージュの高松監督インタビューから
スクラン関係の部分のみ無断転載
── 『School Rumble』は基本的なスタンスとしてはどのような?
高松 原作が面白かったんです。
最初はショートで始まってるんだけど、だんだんショートじゃなくなっちゃったり。
脇のキャラクターの話になったり、話があっちゃこっちゃに行ったり。構造が面白かった。
この構造を活かすにはどうしたらいいんだろうと思って、そのまんまやる事にしました。
スタイルが変わっていったり、ぶッとんだ展開になっていく様も含めてアニメ化しようと。
普通は内容を整えちゃったり、関連のある話をまとめて30分での話を作ろうと思っちゃうじゃないですか。
だけど、それをやると、このマンガの面白さもなくなっちゃう。
── Dパートを3DCGで作った話もありましたよね。
高松 高野晶の夏休みの話が、本編から遊離してる話だったんです。
前からCG班が「何か、まとまった事がやりたい」と言っていて。
だったら、その話をやってみたらどうだろうという話が出てきて。
「本当にやるんですか?」という意見もあったんですが、やってみたら結構面白かったので、後は雪崩のようにいろんな事をやるようになって。
── オタク的にも大人気だったわけですけど、そのあたりのツボについては自信があったんですか。
高松 いや、そういうコアなファンに向けて作ってる意識はなくて、スタンス的には『こち亀』とそんなに変わんないんですよね。
テレ東の夕方だから、多分、ちっちゃい子供も観るだろうと思って、「オールターゲットで観られるもの」を目指して作ったつもりです。
『こち亀』って、アニメ誌に載らないタイプの作品じゃないですか。
一度、アニメ誌に載るような作品に戻っておこうと思って、『School Rumble』は、ちょっとリハビリのつもりでやったんですよ(笑)。
で、蓋を開けたら、コアなファンの真ん中にいたので、びっくりしたみたいな感じですよね。
── ラス前で、いきなり主題歌がマグロ漁船の歌になったりしましたよね。
ああいった部分はいつ頃、決まったんですか。
高松 歌ものは、最初からある程度やるつもりだったんです。
原作にも出てくる播磨のラブレターを歌にして、播磨役の高橋(広樹)君に歌ってもらったら、それが思いのほか面白かった(笑)。
「ドジビロンのテーマ」というのがあって、今鳥と一条がデートしに行った時に観る映画の主題歌なんですけど。
それも作ったら非常に面白いものができてしまったので、もったいないのでエンディングにしたんです。
また『こち亀』の話に戻りますけど、両津がアニメ作る話があって、そこで「ロボ刑事番長の歌」という両津が歌うロボットアニメの主題歌があって、それを『こち亀』のエンディングに使ったんですよ(注15)。
それで、挿入歌をエンディングにするのは「あり」だなあって思ってたんで、どっかで使おうと思ってたんです。
ただ後半は悪ノリしちゃって、1話の中で何曲も歌ものを作ったり、それを主題歌にしてしまったり。
── ある程度、悪ノリするというのがプランとしてあったわけですよね。
高松 そうですね。
Dパートまでやろうとか、歌ものでいこうとかは、最初の段階で腹案としてあって、ただそのアイデアを出すタイミングが難しいんです。
初めからそういう事を言うと「えーーっ」と言われるんで(笑)。
最終回についても、わりと早い段階で「烏丸が宇宙人で」みたいな話にすると決めてあったんです。
── あそこは原作と違うんですか。
高松 違いますね。
25話までが原作の話で、26話は沢近の車にひかれる話と、猫になっちゃう話の、半分くらいが原作で、後はオリジナル。
25話までは、90%ぐらいが原作通りなんです。
最終回はアニメなりの最終回を作る事になっていて、私が「宇宙人をやりたい」と言って、シリーズ構成のときた(ひろこ)さんが「猫の話をやりたい」と言って、「じゃあ、やりたい事、みんなやろうか」という事になって(笑)。
ああいうかたちになりました。
原作も続いているので、ドラマの決着をつけるわけにはいかなかったし、物語やキャラクターを原作に返すかたちの最終回でしたね。
── 3DCGで作ったエンディングもそうだけど、僕はあれを悪ノリではなくて、悪ノリにみせたサービスだったと思ってます。
本当に悪ノリすると、もっとバランスが悪くなると思うんですよ。
高松 そう言っていただけるとありがたいですね。
10年以上監督をやってきて、余裕が出てきたのかな。
余裕と言ってしまうと、楽して作ってるみたいになっちゃうかな(笑)。
── 今後の抱負についてもうかがえますか。
高松 今現在は、あの作品の続編OVAと、某イベント用の単発アニメの監督をしているんですが、できれば、また、「TVアニメ」がやりたいですね。
みんなが普通に観られる時間に、不特定多数の人が観るようなものが。コアなファン向けな「作品」ではなくて、「番組」がやっぱり自分には合ってると、思うので(笑)。
(2005年5月9日 東京・江古田にて)
以上