神無月の巫女　Part22

気付いてくれない相手への問い詰めなんだから、千歌音の立場からのがしっくりくるような気がして改変してみた

わたし、姫子にとって、なんなのよっ！！
ねぇ？　姫子にとって、わたしはなんなの……。
単なる、お友達なの？

ねぇ、教えてよっ！！
姫子にとって、わたしはなんなの！？
姫子、姫子の方から、わたしにキスしてくれたことないじゃないっ！！
姫子の方から、わたしを抱き締めてくれたことないじゃないっ！！

わたし、姫子にいっぱい、アプローチしたのに……。
それでも姫子は気付いてくれなくて……。
あの夜のことは、私の精一杯の勇気だったんだよ……。

なのに、姫子は答えを出してくれなかった……。
わたし、怖くなった。

もしかして、姫子は、わたしのことなんて、どうでもいいと思ってるんじゃないかって。
わたしは、だから怖くなった。『好き』って一言を、姫子に言えなくなった。
だって、拒絶されたら怖いもんっ！！

わたしの気持ちは、出会った時から変わってない。
だけど、姫子の気持ちは、わたしにはわからなかった。

わたしは、姫子の高校の思い出しかもってない。
だから、姫子との新しい思い出を作ろうって、わたし、必死だった。
わたしも昔のわたしじゃなくて、新しい自分に変わろうって必死だった。
姫子の好きな女の子になりたいって思った。

でも、どんなに頑張っても、姫子がわたしをどう思っているのかわからなかった……。
わたし、こんなに姫子のことが好きなのに……。

もしかしたら、わたしのこの想いは、姫子にとって迷惑なものなのかもしれない。
そんな風に、わたしは考えるようになってきた。
だから、やっぱりわたしは姫子と友達でい続けようと思った。

姫子にとって、わたしってなんなのか……。
それを考えるだけで、怖かったから。
友達なら、こんな想いをしなくてすむと思ったから……。

わたし、このままでいいと思った……。
わたし、このままでもいいと思ったのに……。

でも、大神君と姫子がキスして、わたしは本当に一人ぼっちになって……。
そしたら、このままじゃ嫌だっていう気持ちが湧いてきて……っ。

そして、やっぱりわたしは、姫子のことが忘れられないんだって思ったの。
思いが抑えきれなくなっちゃって……っ。

だって姫子は、わたしの初恋の人なんだもの……。
ずっと、ずっと好きだったんだもの……。

わたしは……わたしは……っ。
姫子のこと、わたし、前世の頃から大好きだった。
だから前世の頃、姫子と別れる、って聞いた時、すっごく泣いたんだよ。
すっごく泣いたんだから……っ。

でも、姫子とは笑顔でお別れしたいと思って。
好きだったから、姫子にわたしの笑顔を覚えていて欲しかった。
そして、いつかまた、姫子に会えるって思って……。

だからわたしは、姫子を刺したあの時、精一杯の勇気を振り絞ったんだよ。
転生しようって約束したよね。
わたしにとっては、あれは精一杯の勇気だった。

もしかしたら、姫子ともう会うことはないかもしれない。
でも、わたしはどうしても姫子が好きだった……。
姫子との繋がりを消したくなかった……っ。
だから、約束をしたんだよ。

あれは、姫子にとっては、ささいな約束だったのかもしれないけど……。
わたしにとっては、とても大切な約束だったの……っ。

たとえ離れても姫子との関係を、唯一、繋げてくれる約束だったから……っ。
姫子があの約束を受け入れてくれた時、わたしは本当に嬉しかった。
だから、笑顔で別れられたんだよ……っ。

でも……。本当に長かった……。
姫子との再会までの時間は、わたしにとっては本当に長かった……。
わたしは、一生懸命に貝を送り続けた。
いつか、この貝が姫子の胸に届くんじゃないか、って……。

でも、年を経るにつれて、こんなことをしても、意味がないんじゃないかって思えてきた……。
だって、こんな小さな貝の殻なんて、こんな大勢の人たちがいる世界で、姫子の胸だけに届くなんてありえないもの……っ。

それでも、わたしはこの貝殻にすがるしかなかった……。
あの約束にすがるしかなかった。
わたしにとっての、姫子との接点。
それは、この貝殻と、あの約束しかなかったから……っ。

そして、2度目の転生の時……。
この世に転生してきた時……。
わたしの願いが、ようやく届いた……。

薔薇の園で……。
姫子が犬を追いかけていた……。
姫子は最初、わたしのことがわからなかったみたいだけど……。

わたしには、すぐにわかった。
心臓が張り裂けそうだった。心が……飛び出しそうだった。

そして、これが最後のチャンスなんだって思った。
神様がくれた、最後のチャンスなんだって。
私の気持ちを姫子に伝える、神様からの最後のチャンスなんだ、って……っ。

だけど、姫子は、昔と一緒で、わたしの想いには全く気付いてくれなかった。
だからわたしは、姫子に行動で知らせようと思った。わたしの想いを……。

でも姫子にとって、わたしはいつまでも、素敵の友達のままだった。
わたしにとっては、精一杯の勇気だったのに……。
姫子はわたしのそんな心に、気付いてくれなかった……っ。

だから、わたしは怖くなったの……。
もしかしたら、わたしのことを、姫子は何とも思ってないんじゃないか……。
だから、最後の賭けだった……っ。

館でのレイプ……。
でも姫子はやっぱり、何もわたしに示してくれなかった……。

わたし、本当に怖くなって……。
姫子の気持ちが、わからなくなって。
だからこのまま、巫女の関係でいいと思った……。

でも、世界が滅んじゃって……。

……わたしにだって、わかってた。
姫子が、前世の時とは違うってこと。

でも、わたしには前世の時の姫子の思い出しかなかったんだもんっ。
大神くんとマコちゃんみたいに、子供の時から今まで、ずっと一緒にいられたわけじゃなかったんだもんっ。

姫子との空白の時間……。
それを取り戻そうと、わたしは必死だったんだよっ。

そして、わたしも変わろうと必死だった。
過去のわたしじゃなく、新しいわたしになろうと必死だった。

そうすれば、姫子はわたしに振り向いてくれるんじゃないか……。
巫女のわたしじゃなくて、オロチのわたしなら、姫子は振り向いてくれるんじゃないか、って思ったの……っ。

だから、巫女服だって変えたんだよっ。
わたしも、変わろうって……っ。
昔のわたしじゃなくて、新しい自分に変わろうって。

だけど、それでも姫子は私を見てくれなかった……っ。
姫子は最後まで、私を見てくれなかった……っ。

嫌いなら嫌いって、はっきり言ってよ……っ！！
私に気のあるそぶりを見せないでよっ！！
今、ここで、私のことが好きなのか、答えてよぉ……っ。

そうしないとわたし、姫子のこと、いつまでも想い続けちゃうじゃない……っ！！
苦しいんだから……っ！！
想い続けているのは、とっても苦しいんだから……っ！！


長すぎだ。。。