それから数年後、ある姉も他界する。
自分の寿命をしったこころんは、本の整理を始める。棚一杯に詰まっていた
本は他の図書館に寄贈し、がらんどうになっている。
戸口には閉館の看板が立て、お詫びの文章が書かれている。
”長年、御愛顧いただきましたココロ図書館ですが、
都合により閉館することとなりました。
皆様の御声援にお答えできず申し訳ありません。
いままでありがとうございました。”
キットの姿もここ最近みかけない。旅立ったんだろうとこころは思う。
19歳の誕生日の朝、こころはいつもどおり起き食事の用意をする。一人しか
いない食卓。3姉妹がそろっていた頃を思い出し涙がつーっと頬をつたう。
昼、洗濯物も終わり、午後の日課は一段落する。
「こんにちは」朱葉ちゃんが訪れる。こころの寿命が今日一日なのを知って
おり、午後の紅茶は思い出話に花が咲く。
お茶の時間も終え、帰宅する朱葉ちゃんを見送りに行くこころ。
「ごめんね」こころが謝る。「後始末頼めるのが朱葉ちゃんだけだから」
「ううん・・・」言葉にならない。
朱葉、急に振り向きこころを抱きしめる。瞳から涙が溢れ出ている。
10分程抱き合っていただろうか。ようやく泣き止んだ朱葉の目は真っ赤だ。
「じゃあね。」
「さよなら。」
何度も振り向き、手を振りながら行く朱葉
朱葉の姿が見えなくなった頃、「さ、洗い物しなくちゃ。」台所に向かうこころ。
最期の夜、日記をつけてベットにはいるこころ。
目を閉じる。
そして二度とその目が開かれることはなかった。
ココロ図書館おわり。
こころは本の中に帰って行った。なぜなら今日は朱葉が病院を退院する日だから、、、
長く辛かった病院生活も本の中から出てきたこころ達のおかげでなんとか頑張れた。
「ありがとう」
そう心の中でつぶやいて朱葉は病室のドアを閉めた。
あの本を持って帰るようなことはしない、、、なぜなら、あの本はずっとそうやって
誰かの心を励ましてきたり、慰めてきたものだから、、、
『ココロ図書館』、私はこの本のことを一生忘れない。。。。