とっとこハム太郎5なのだ!

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776ハムが好きなんだもんっ
 翌朝、小鳥のさえずりで目を覚ましたハム太郎は、どこかボーっとしたような心持ちであたりを見回した。
「よくお休みになれましたでしゅか」
既に起きて、朝食の準備を整えていたリボンが部屋へと入ってきた。それでハム太郎はやっと昨夜のことを思い出した。真っ赤になるハム太郎に、リボンはニコリと、いつもの笑顔を見せた。
 ふたりは朝食のあと散歩に出かけた。昨夜からの雨は嘘のように上がり、朝の光が眩しくふたりを包み込んだ。ハム太郎の方からリボンの手を握った。
「まぁ」
彼女は、少し驚いて声をあげた。今日は、川辺に咲く花たちさえも、今のふたりを祝福してくれているように感ぜられた。
「もう、絶対にリボンちゃんを離さないのだ」
「わたくしも、ずっとついていきまちゅわ」
遠い海のほうから吹いてくる風が、いつもより少し暖かく、とても心地良かった。雨の季節が去り、木々の緑がもう少し深みを増せば、もう、すっかり夏である。