銀魂’〜ぎんたま〜第二百九十二訓

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677風の谷の名無しさん@実況は実況板で
>>668

のそのそと、着替えをして、簪を手に取る。じっとそれを見ている。

そのまま、うごかない。

このことを、後悔しているのか。

それをくれた奴相手に。

・・・くだらねえ。

「傷でも付いたか」わざと声を掛けてやる。

そう言ってやれば、ハッとする。

フン。俺がいたことすら、忘れていたようだな。

そんなに気になるなら、とっとと帰りな。
678風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:05:19.15 ID:8plDe8lY0
「なあ、高杉・・」

ああ?なんだよ。

「いつだったか、貴様これを持っていったことがあっただろう。あれは、なぜだ」

・・・・

・・・は・・・?

・・・てめえ。鈍いにも程があるぜ。

今更、それを言うのかよ。

で、それを、なぜか?だと、俺の口から言わせたいのか。

さっき、俺が好きだって言った奴が、分からないのかよ。

だとしたら、てめえは。

・・・・本当にたちが悪いぜ。
679風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:06:02.98 ID:TS2kUCoN0
「・・・覚えてねえ」

俺の口からは、言いたくねえよ。

てめえで考えな。

その鈍い頭で。



ああ、馬鹿なてめえらは似合いだよ。

とっとと亭主ンところにもどりゃいい。

俺は一服させてもらうぜ。



いまこそ、

煙でものまなけりゃあ、やってられねえ。
680風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:06:34.21 ID:EAjCMapU0
余談 吉原?K



1.

すっと、ふすまが開いた。

思わず、くるりと、向きを変える。

・・・こういうところで会うと、きまずいものだ・・・

後ろ姿でも、銀時なら分かって声を掛けるだろう。

が、近づいてきた足音は俺のすぐ後ろで止まって・・・

階段を下りることなく、髪のかんざしを抜き取った。

バサ・・・っと、髪が堕ちると同時に、振り向くと。



!!!!!!
681風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:12:13.76 ID:hgv5lm6P0
いるはずのない、男がいた。

奴は、静かに俺の腕を掴むと、無言で部屋に入っていった。

部屋には、女がいた。とろり、とした長い黒髪の美人だ。

髪の乱れ、開かれた合わせ、何かしらの情交の後・・・。

おもわず、眉をひそめて目をそらす。

なんと言ってみようもなく戸惑っていると、

「座れ」と、奴が言った。

仕方ないので、部屋の隅、奴とうんと離れたところに座る。

知らず、手が腹に行ってしまう。

「高杉はん、一体、どういうわけですのん」

とろりとした美女が高杉にすり寄る。

この感じだと、なじみ客なのだろうか。
682風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:13:17.55 ID:KHDoKmex0
「気が変わった。出ていってくれ」

「そんな・・・今日は偉く気が変わる日どすなあ・・・」

「金は払うから、頼む」と言えば、女は静かに出ていった。

「たまに来ては、舐めてもらうんだ」というので、何だかかあっとなった。その様子を、さもおかしそうに見て、「傷を」と、最後に付け加えた。いかにも奴らしい言い方だ。

「お前さん、その様子だと銀時に会わなかったようだな」

「あ、ああ・・・高杉、ここから電話をくれたのか?」

「まあな。下でちょっとばかり奴と飲んでいたからな」

「!!!!二人でか・・・めずらしい」

「まさか。たまたま会ったんだよ。俺は違うツレがいる」

くるり、と、煙管を回しながら言った。ああ、それ・・・使ってくれているんだな。その視線で分かったのか、

「俺は、もうちっと派手な色が好みだが」という。

知ってるさ。知っててあえてそれにしたんだ。

「貴様は何もかもが派手なのだから、ひとつくらい落ち着いたモノがあった方が良い・・ちょっとはおとなしくしろ・・・その方が、世の女のためだ」
と言ってやった。ふうん、と生返事をしてくるくるとまた煙管を回す。
いっこうに、その言葉の意味も分かってない様子。手持ち蓋差な感じだ。それに、何だか違和感を感じていたら、煙管を片手に持っている割に吸うそぶりを見せない。
・・ああ、まさか、この傍若無人な男が、俺の身体を気遣っているのか。
683風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:14:05.14 ID:Mt5afBCH0
「なんで銀時がこんなところにいるんだろうなァ」クククとのどを鳴らす。

「おおかた・・・不満なのだろう」

「相手してやってないのか」

「・・・子供がいるのに」ついつい腹をさすってしまう。

「へえ。随分大切にしているんだな」部屋に漂う空気が変わる。幸い、ふすまの近くに座っている。奴がこっちへ来る前に逃げることも可能だ。

「子供が出来た時の、銀時の喜び方は普通じゃなかった。貴様も分かるだろう。・・・あいつは・・・」

「一人もんだからな。血のつながりを欲してやまないんだろうよ」

「ああ。・・・じゃ、俺は帰る」なるべく直前までそのそぶりを見せずに、分からないよう立ち上がった時だ。

「待てよ」

手首を捕まれる。

・ ・・・思っていたより、奴の動きの方が早かった。

「はなせ」

「一度この部屋に入って、何もしないなんて野暮じゃねえか」

「は・・・貴様」

ぞっとした。その目もそうだが、俺の腹に手を当てている。
684風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:14:53.50 ID:Z3fz5rep0
「・・・・!!!」

「こいつ、いなくなったら困るよなあ。銀時、狂っちまうかもしれねえな。クク・・それもそれで又面白えかもな。また、あの白夜叉に会えるんじゃあねえか」

「な・・・」節くれ立った手で、俺の腹をゆっくりさする。だが、優しさは感じない。

瞬間、あの、橋であった時の殺気を思い出す。自分の子か、そうじゃないか、分からない状態であの殺気。この子は間違いなく銀時の子だ。震えそうになるのを必死でこらえる。

「桂・・・」低く耳元でささやく。

「・・・・高杉」

こいつは、俺を素早く抱え上げると、隣の布団にゆっくり寝かせた。

「フン・・・随分おとなしいじゃねえか」

「抵抗するだけ無駄なのだろう」

「・・・・」

ふと、寂しげな顔をしたのは、気のせいだっただろうか。