677 :
風の谷の名無しさん@実況は実況板で:
>>668 のそのそと、着替えをして、簪を手に取る。じっとそれを見ている。
そのまま、うごかない。
このことを、後悔しているのか。
それをくれた奴相手に。
・・・くだらねえ。
「傷でも付いたか」わざと声を掛けてやる。
そう言ってやれば、ハッとする。
フン。俺がいたことすら、忘れていたようだな。
そんなに気になるなら、とっとと帰りな。
678 :
風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/08(土) 02:05:19.15 ID:8plDe8lY0
「なあ、高杉・・」
ああ?なんだよ。
「いつだったか、貴様これを持っていったことがあっただろう。あれは、なぜだ」
・・・・
・・・は・・・?
・・・てめえ。鈍いにも程があるぜ。
今更、それを言うのかよ。
で、それを、なぜか?だと、俺の口から言わせたいのか。
さっき、俺が好きだって言った奴が、分からないのかよ。
だとしたら、てめえは。
・・・・本当にたちが悪いぜ。
「・・・覚えてねえ」
俺の口からは、言いたくねえよ。
てめえで考えな。
その鈍い頭で。
ああ、馬鹿なてめえらは似合いだよ。
とっとと亭主ンところにもどりゃいい。
俺は一服させてもらうぜ。
いまこそ、
煙でものまなけりゃあ、やってられねえ。
余談 吉原?K
1.
すっと、ふすまが開いた。
思わず、くるりと、向きを変える。
・・・こういうところで会うと、きまずいものだ・・・
後ろ姿でも、銀時なら分かって声を掛けるだろう。
が、近づいてきた足音は俺のすぐ後ろで止まって・・・
階段を下りることなく、髪のかんざしを抜き取った。
バサ・・・っと、髪が堕ちると同時に、振り向くと。
!!!!!!
いるはずのない、男がいた。
奴は、静かに俺の腕を掴むと、無言で部屋に入っていった。
部屋には、女がいた。とろり、とした長い黒髪の美人だ。
髪の乱れ、開かれた合わせ、何かしらの情交の後・・・。
おもわず、眉をひそめて目をそらす。
なんと言ってみようもなく戸惑っていると、
「座れ」と、奴が言った。
仕方ないので、部屋の隅、奴とうんと離れたところに座る。
知らず、手が腹に行ってしまう。
「高杉はん、一体、どういうわけですのん」
とろりとした美女が高杉にすり寄る。
この感じだと、なじみ客なのだろうか。
「気が変わった。出ていってくれ」
「そんな・・・今日は偉く気が変わる日どすなあ・・・」
「金は払うから、頼む」と言えば、女は静かに出ていった。
「たまに来ては、舐めてもらうんだ」というので、何だかかあっとなった。その様子を、さもおかしそうに見て、「傷を」と、最後に付け加えた。いかにも奴らしい言い方だ。
「お前さん、その様子だと銀時に会わなかったようだな」
「あ、ああ・・・高杉、ここから電話をくれたのか?」
「まあな。下でちょっとばかり奴と飲んでいたからな」
「!!!!二人でか・・・めずらしい」
「まさか。たまたま会ったんだよ。俺は違うツレがいる」
くるり、と、煙管を回しながら言った。ああ、それ・・・使ってくれているんだな。その視線で分かったのか、
「俺は、もうちっと派手な色が好みだが」という。
知ってるさ。知っててあえてそれにしたんだ。
「貴様は何もかもが派手なのだから、ひとつくらい落ち着いたモノがあった方が良い・・ちょっとはおとなしくしろ・・・その方が、世の女のためだ」
と言ってやった。ふうん、と生返事をしてくるくるとまた煙管を回す。
いっこうに、その言葉の意味も分かってない様子。手持ち蓋差な感じだ。それに、何だか違和感を感じていたら、煙管を片手に持っている割に吸うそぶりを見せない。
・・ああ、まさか、この傍若無人な男が、俺の身体を気遣っているのか。
「なんで銀時がこんなところにいるんだろうなァ」クククとのどを鳴らす。
「おおかた・・・不満なのだろう」
「相手してやってないのか」
「・・・子供がいるのに」ついつい腹をさすってしまう。
「へえ。随分大切にしているんだな」部屋に漂う空気が変わる。幸い、ふすまの近くに座っている。奴がこっちへ来る前に逃げることも可能だ。
「子供が出来た時の、銀時の喜び方は普通じゃなかった。貴様も分かるだろう。・・・あいつは・・・」
「一人もんだからな。血のつながりを欲してやまないんだろうよ」
「ああ。・・・じゃ、俺は帰る」なるべく直前までそのそぶりを見せずに、分からないよう立ち上がった時だ。
「待てよ」
手首を捕まれる。
・ ・・・思っていたより、奴の動きの方が早かった。
「はなせ」
「一度この部屋に入って、何もしないなんて野暮じゃねえか」
「は・・・貴様」
ぞっとした。その目もそうだが、俺の腹に手を当てている。
「・・・・!!!」
「こいつ、いなくなったら困るよなあ。銀時、狂っちまうかもしれねえな。クク・・それもそれで又面白えかもな。また、あの白夜叉に会えるんじゃあねえか」
「な・・・」節くれ立った手で、俺の腹をゆっくりさする。だが、優しさは感じない。
瞬間、あの、橋であった時の殺気を思い出す。自分の子か、そうじゃないか、分からない状態であの殺気。この子は間違いなく銀時の子だ。震えそうになるのを必死でこらえる。
「桂・・・」低く耳元でささやく。
「・・・・高杉」
こいつは、俺を素早く抱え上げると、隣の布団にゆっくり寝かせた。
「フン・・・随分おとなしいじゃねえか」
「抵抗するだけ無駄なのだろう」
「・・・・」
ふと、寂しげな顔をしたのは、気のせいだっただろうか。