>>501 その次の朝、高杉たちは朝早く経った。そのため、すずという娘が高杉の部屋で目を覚ました時には誰もいなかった。
そして、三人分の宿泊費は全て支払われていた。
あんなにも、熱く、自分を欲した男。
傲慢で、横暴な態度なのに、情熱と相反する優しさを持っている。
ただ一つの眼差しは、危うげで、切なく、
自分を見ているようで、見ていないようでもある。
その熱が大きすぎて、知らなかった自分を思い出せない。過ぎ去った今は、凍えそう。
娘は、その男を思い出して、また泣いた。
一夜の夢とは知っていた。でも、
知っていてもなお、
本当に、好きだったのに・・・・と。
【万斎】
さて、その早朝。
「そういえば、晋助に渡しそびれていたものがあるでござるよ」
「ああ?」
「昨日、月子殿から、これを」
と、白い包みのなにやら長いものを渡す。
「何だァ?」
「誕生日プレゼントだそうで。いつもお世話になっているからと」
「へえ」
早速開けてみる。
中から出てきたのは・・・・
渋い、茶色の煙管。
「・・・・・」
「・・・・・」
「いや、なかなかいいじゃないでござるか」
「・・・・まあ、もらっとくぜ」
拙者は、笑いをこらえるのに必死だ。
どう見ても、高杉に似合うとは思えない。高杉が実に、嫌そうな顔をした。
と、そこで、もう一つあることを思いついた。
「どうでも言い話だとは思うが、昨日の娘の件、月子殿はご存じでござるよ」言えば、
「!」あからさまに驚く。