>>481 それから、徐々にしっかりした足取りで、階段を上り、二階に来た時、突然。
うっ・・・と言って、口元を抑えた。なにやら吐き気を催しているようで、持っていた袋の荷物だけを出して袋を桂に渡す。
はあはあと息をしながら、吐き気に耐える桂。結局、戻さずに終わった。
しかし・・・
これは、ただの湯あたりではないな。
「月子殿・・・これは拙者の勝手な憶測でござるが」
ビクッと桂の身体が揺れた。
ああ、きっと、この先言われることを予想しているのだろう。
「もし、貴殿に今お子が出来たとしたら、晋助の子の可能性はあるのだろうか」
ない、とは思う。思うが、確信はない。知りたかった。これ以上、惑わされるものが出来るのはごめんだ。もし、頷かれたら・・・自分はこの人を蹴り上げてしまうかもしれない。
だが、桂は、力無く首を横に振る。
「それは・・・絶対に、ない」
ほっとした半面、・・・得体の知れない嫌な予感もする。
と言うことは、白夜叉の子だ。それはそれで、危険な気もする。
「高杉には・・・言わないで欲しい。それに、もし、子供が出来たとしても、産むかどうかも分からないのだ・・・」
そうか、男に戻るためには、子供は邪魔だ。
「分かっているでござる。拙者も無駄な波風は立てたくない故。これは、主と拙者、二人だけの秘密と言うことに。もとより、夫婦の問題でござろうから」
と言えば、ほっとしたように、頷く。
すこし、座って水分を捕れば、だいぶ具合が良くなったようだ。
部屋までもう少し。立って歩き出す。
と、突然、近くのドアが開いた。
出てきたのは、女の子3人組だ。
あ・・・・
二人の女の子が、泣いている一人の女の子を挟むように歩いてくる。
「行って、あやまってもらう!一言言わなきゃ気が済まない!」
「自分から、声を掛けてきて、途中で放り出すなんて、訳わかなん無い!絶対許せないよ」
「で、でも・・・」泣いている、真ん中の子は、見覚えがある。
晋助の部屋から出てきた娘だ・・・
「あっ」
気付かれてしまった。
「どうしたの?」
「あの部屋の前にいた人だ・・・」
「え??!!じゃ、この人は例の奴の仲間?」
うわ??、この状況で会いたくなかった。