銀魂’〜ぎんたま〜第二百九十二訓

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461風の谷の名無しさん@実況は実況板で
>>458
「いいだろ、あんたは十分楽しんだはずだぜ」

体を離せば、プライドが傷ついたのか。

「なんで・・・何言って・・・」

泣きそうな顔をした。めんどくせえな。

「耳が痛くてかなわねえ。もう勘弁してくれや」

女の服をそっちに放る。もう泣いている。



「わりいが、これから用事があるんだ。ちっと席を外してくれねえか」

「何よ!!!馬鹿にして!!!」

今度は怒ったのか。忙しい女だ。

ばっ、と、服を着て飛び出していった。



ドアの外に、奴がいる。

「突っ立ってないで、入れや」
462風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 12:51:06.62 ID:2Sltvktr0
>>459

>>5を読んでね
463風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:06:12.94 ID:fxzSZRmM0
>>459

>>7を読んでね
464風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:09:56.93 ID:BXNM6JLO0
>>461
【万斎】

その部屋の前に行くと、

女の声が、ひっきりなしに部屋から漏れ聞こえている。

結構厚い扉だと思うが、それを越して声が聞こえるとは。

・ ・・なんとも、品のない女でござる。



元来、性的に淡泊な高杉が、このようなことをするのは、久しぶりだ。

万斎がずっと部屋の入り口にいたのが分かったのか、女の声がやんだ。

高杉は、自分の情事を特に気にしない。中断されようと、見られようとも平然としている。女だけではない。

部下の命も、自分の命にすらきっと執着はしていまい。何を犠牲にしても、構わないのだ。そもそも、滅多なことでは動じない男だ、この男は。
465風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:19:26.38 ID:C2mMYuvE0
なにより自分の野望を優先させる。

その為に重要だと思うものを優先させる、それだけのこと。

だからこそ、女より自分を優先させるのは当然だ。

きっと高杉は出てくるだろう。

そうでなくてはならない。

そのはずだ。

それなのに。

桂が騎兵隊の船にいた時、高杉の私室に泊まっていることを確かめるため、同じようにこうやってドアの近くに居たことが何度かある。

艶っぽい声はしなかった。なにやら話す声がかすかに聞こえるだけ。昔話でもしているのか、それとも・・・と思っていた。
466風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:20:37.05 ID:rJ4Am7kz0
だが、どっちにしても。

そのとき、高杉は出てこなかった。

慣れた自分の気配に気づかないはずはない。

そして、気づけば出てこないはずがないのだ。

常の、彼であれば。

それが拙者をとても不安にさせた。

この男を惑わせるものがこの世にあること。それは、とても危険な存在を意味する。

燃えさかる火で全てを焼き尽くそうとしている自分達にとって、消火栓になりかねない。

下手をすれば、晋助自身が死へ追い込まれかねないのではなかろうか。



しばらくして、ドアが開いた。

あわてて女が出て行く。一瞬、目があった。ぼろぼろと泣いている。

おやおや。ずいぶんと若い・・・
467風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:33:38.64 ID:/Z1tJrKB0
「突っ立ってないで、入れや」

どうも、女を追い出すのに今までかかったようだ。

「別に、追い出さずとも良かったのに。拙者は後でも」

「ずっと部屋の前にいながら、よく言うぜ」

「泣いていたでござるよ」

「ああ?鳴き声はうるさかったが。十分満足したんじゃねえかな」

「晋助は、途中だったのでは」

「俺はいい。いつものこったろうが」



別段、気にもとめずそういって、「で、なんだ」と用件を促す。

やれやれ。
468風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:34:19.54 ID:HNjaDxoT0
万斎は、先程騎兵隊から連絡があった件を手短に放した。全てを聞いた後、すかさず、

「どう思う?」との意見を求められ、自分の意見を言う。この男は、いつもそうだ。自分の意見を求めてくる。

終始、目を細め、歪ませた笑みを浮かべながら、「てめえは相変わらず聡いな」と、言う。

ああ、たまらない。

この男の、こういうところ。



そして、決まってその後で、自分の考えの上を言う。

「まあ、加え言いえば、家持を使って竈を壊させたら完璧だな。家持ちには息子が居た。ありゃ相当などら息子だ。2??3人当てりゃ堕ちんだろ」

「・・・なるほど。適任者を手配いたそう」

「最後に、爆破するなら待機は10人前後ってところだな」

「・・・ちと多くはござらんか」

犠牲者と言うには。一応は戦力だ。

「少なすぎんと、不審に思うだろうが。十人くれえが丁度良い」

平然と、10人の命のやり取りを口にする。この時点で、その10人の命は売られた。
469風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:35:32.82 ID:JqsgkcHh0
「・・・承知した。その10人も武市殿とともに選出するでござるよ」

「頼んだぜ、万斎」

“頼んだぜ”

その短い言葉で、簡単に喜ぶ自分がいる。

その言葉を、もらえる人間が本当に少ないことを知っているからだ。

いや、あえて彼がそうしているのかもしれないが。

この男は、こうやって、人の心を簡単に掴んでしまう。そして、捕まれたら最後、惹かれて、やまない。
470風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:36:30.47 ID:E2kRULHb0
一応の話が終わり、帰ろうとした時、思い出したことがあった。

「・・・そういえば、白夜叉に風呂場で会い申した」

「は?」

「奥方と一緒に」

「・・・・」

「おおかた、新婚旅行でござろうか」

「へえ・・・」

「用心のため、脱衣所で確認したところ、部屋番号は202でござる。こちらの部屋のことはひとつも言っていないでござるよ」

「・・・」



「先程、・・・途中で中断してしまったのは拙者が悪いかもしれぬが、ゆめゆめ面倒はごめんでござる。今日は、めでたい誕生日故」

「ああ?なんの心配をしてるんだ。奴らのことなんか関係ねえ。女の代わりもいらねえよ」

では、と、部屋を出ようとした時、珍しく呼び止められた。
471風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:37:10.60 ID:sQ/LbMME0
「万斎、ちっと散歩にでもいかねえか。暇で仕方ねえ」

「・・・いいでござるよ。お供致そう」



一階の、売店近くを通って、廊下を進む。中庭に、ベンチがおいてある。

そこに行こうと思っていた。

ところが、そこには先客が居た。

何か、見覚えがあるような・・・

見れば、髪の長い女と、体格のいい男。カップルか?と思った時、意外にも、つかつかと高杉がその二人に近寄るので驚いた。

どうも、女の方は眠っているらしく、不自然に男に身体を預けている。



「兄ちゃん、何してんだい」

高杉が声を掛けると、男の方はビクッとなる。

万斎も聞きたくない、敵意むき出しのときの声だ。
472風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:37:40.44 ID:pTMGuxtS0
「だ、誰だ、あんた・・・」

高杉のただならぬ雰囲気と、その威圧に、怯える男。

「てめぇごときが触れていい奴じゃねえよ、そいつは」

言うが速いか、女を抱いていた腕を掴んで、男の顎を強打し、すっ飛ばした。



あちゃ??!

男は、その場で動かなくなった。脳しんとうを起こしたに違いない。



「晋助・・・」

高杉は構わず、その女の頬を優しく叩く。

「う??ん・・・」とは言うが、意識はもうろうとしているようだ。

月明かりに、はっきりと、その顔が見えた・・・

桂。
473風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:39:03.97 ID:AJ2eIZu+0
「先程、湯あたりをしたとは言っていたが・・・なぜここに」

「さあな。ぶっ倒れたところをその男が介抱していたのかもしれねえな」

そんな男をあんたは更にぶったおしたんかい!!思わずつっこみたくなった。



「おおかた、脱水なんだろ」

桂の近くになにやら売店で買ったらしい荷物が置いてある。

その中に、ペットボトルの水がある。

高杉が、それを開けて口に含み、ためらいなく、桂に口移しで与えた。

はああ!!



「う・・・」

それを、数回繰り返すと、ぼんやり桂の意識が戻ってきたようだ。

「万斎、来い」

言われたとおりに行くと、桂を支えるよう言われる。
474風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:39:43.68 ID:FppVQEon0
「適当に気付いたら、抱えるなりなんなりして部屋に送り届けておけ。フロントには行くなよ。あとで追求されたら面倒だからな」

「晋助は?」

「部屋に戻る」

「え・・・」

「面倒はごめんなんだろ?お前の言いつけは守らなきゃなぁ」

不敵に笑う。

・・・言いつけって・・・またそんな、心にもない、可愛いことを。



「晋助」

「あァ?」

「拙者は、月子殿に触れても構わぬのだろうか」

「・・・くだらねえことを言うな」

フ・・・と嗤って去っていく高杉。



まったく、この人は。どこまで、人の心を操るのが上手いのか。
475風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:40:40.33 ID:Pj5siOD20
【高杉】

部屋に戻ると、

Tullll・・・電話が鳴った。



舌打ちと共に、出ると、

「すみませ??ん、フロントですけどォ」間抜けな、気の抜けたような声が聞こえた。

「あの・・・そちらに、長い黒髪の女の人は・・・」

「いねえよ。ヅラなんぞ」

「・・・!!!あっ!!!てめ、高」ガチャン!

なるほどな。
476風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/12/02(日) 13:41:20.99 ID:lrW5v2md0
おおかた、ヅラが居なくて、フロントに行ったが、ここの宿屋は秘密厳守が絶対だ。各部屋に電話を掛けて確かめてもらうことも断られたんだろう。

で、自分でひとつひとつ部屋に電話を掛けて確かめている訳だ。ご苦労なこったぜ。

まったく。しっかりしやがれ。

まあ、分かるけどな。



女・・・月子として最後の旅行だろう。

先程の、久しぶりの肌の感触、唇の感触を思い出して、身体が熱くなるのを感じた。

ガキか、俺は・・・。

ああ、一風呂浴びてくるか。頭から水でもかぶらなきゃ寝れそうにねえ。