【万斉】
あの晋助の、様子。
桂・・・女の話を聞いていたでござるな・・・それで・・・
しかし、焼き餅とは、可愛いところがある。
というか、そう言う気持ちがあると言うことか。これは驚き。
倒れた女を、適当に空いている部屋に運ぼうと思ったら。
バタン、と、また晋助が出てきた。
「万斎、適当に鯉幟買っておくってくんねぇか。あいつに」
「いいでござるが、適当に?」
「・・・立派な奴」
「・・・承知したでござる」
くくく・・・あの顔。まるで、浮気を見つかった亭主のような顔でござる。
最近の晋助は、何だか可愛い。
【高杉】
今日はまた、久しぶりに女を抱いた。
別にいなけりゃいないで構わないが、
こうして女の中を味わうと、
やっぱり、これはこれで良いとおもう。
生きている、感じがする。
女が、ひときわ甲高い声を上げた。
その痙攣の中の心地よさを味わっていると・・・
・・・
ああ、また。
どうして最近てめえは。
仕方なしに部屋の外に出ると、又ヅラから電話だという。
タイミングとは恐ろしいもの。
俺が女を部屋に入れたのは、先回のヅラの電話の件以来だ。
「・・・どうした」
なんとなく、きまずく電話に出ると、反して、嬉しそうな桂の声。
ちょっと拍子抜けだ。ほっとした半面、俺のことはどうでも良いのかと、思う。
「高杉!ありがとう!」
「あ?」
「立派な鯉幟、・・・感動した」
「あ、ああ」
「高かっただろうに。すまない・・」
「別に、構わねえよ・・・元気か、あいつは」
「ああ、相変わらず元気だ!」
「そうかい」
「そう言えば、この間、検診の時に・・・」
などと、またしても、体重やら身長やら、
よく分からない成長記録を読み上げられる。
桂との話しは嫌いではないが、面白いものでもない時がある。
良く脱線しやがるし・・・
ちら、と、時計を見る。部屋の女・・・
また飛び出してきたりしないだろうな。今回の女は大丈夫だと思うが。
「高杉、聞いているのか?」
ちょっと、上の空だったのがばれたか、
「生返事ばかりして。そんなに俺の話は退屈か」
なんだ、いきなり。
「そんなことはねぇ。ちゃんと聞いている」
「じゃあ、ここで問題だ」
「はあ?」
「今の、松之助の体重はいくつだ?」
「・・・・」
「どうした、答えられんのか。俺はさっき言ったぞ!やはり聞いていなかったな!」
とたん、機嫌が悪くなる桂。
しかも、そのとき、運悪く、バタン!戸が開いた。
女が、不思議そうに、こっちを見ている。
「!!」この間の女の狂乱を思い出す。