「銀時の名前まで語って。いつまでそうやってこそこそしているつもりだい。一生名乗らないつもりなのかい」
「あんたには、関係ないだろ」剣呑な空気を醸し出す。
「月子のことで、ちょっと話したいんだけどねえ。時間をくれないかい」
「はあ?」
「いいだろ、たまにはババアの話も聞いておくのも。あんたにとっても悪くはないと思うがねえ」
そうしたら、フン、と軽く笑った。だが、以外にも、
「少しだけならつき合ってやらあ・・・世話になっているようだしな」
と、病室の子供をちらりと見た。あら分かってんじゃないの。
きっとこれから言われることもこの男は分かってる。
二人は、病院の喫茶室に入った。
「あんた、仕事は何をしてんだい。どうも堅気じゃないようだねえ。・・・あんたのことを月子がよく高杉と呼んでいたが、確か、有名な攘夷志士にもそんな名前の奴が居たっけね」
「バアさんよ、もうちっと長生きしたいなら、余計なこと言わねえほうがいいぜ」
瞬間、察知した。この男、間違いなく、高杉晋助。本人だ。で、あれば、やはり危険だ。そして、この話は、これ以上はしない方が良いだろう。