高杉、俺はお前の気持ちが分かるよ。認めたくない気持ちが。
こいつ相手に、本気になるなんて自分、恥ずかしすぎて穴に入っちゃいたいよ。豆腐の角に頭ぶつけて記憶喪失になりたいよ。
でも、穴に入ろうが記憶喪失になろうが、こいつを無くすよりははるかにましだ。
桂は、元々頭の切れる男だ。変なところ鋭いし、聡い。だが、半面、
疎いところはとことん疎い。特に恋愛に関しちゃ、中学生レベルだよ。だから、
てめえの気持ちなんかも、桂は気づいちゃいねえよ。
「元彼でも何でもない」ってさあ。ざまあみろ。
ああ、それは幸いか。
むしろ、お前はそれが望みなのかもしれないな。
だがよ、だったら認めちまえよ。
計算高いあまりに、負けるとわかってる戦に出るのがいやだったんだって。
怖かったんだって。
それが出来ない奴に、俺たちの関係に割ってはいって欲しくない。
やっと手に入れた家族なんだ。
もう、誰にも、奪わせない。