>>303 こいつは、どんなに苦しくても、哀しくても、痛くても泣いたことがない。
こいつが泣くのは決まって、・・・自分を責めているときだ。
死んでゆく仲間を助けることも出来ず、どうにもならない歯がゆさを感じたときに、
声も出さずに泣いていた。
こんな風に。
だから、気づくと、俺も泣いていた。
銀時が、それを見て笑ったように見えた。
くすぐったい気持ちになる。
ああ、もしも、俺がお前を少しでも癒せるのなら、
それがうれしい。
お前は一人じゃない。
案外、これは幸せという感覚なのかもしれない。
翌日。
いつもの時間に、目が覚めた。
と、驚くほど身近に奴の寝息を感じた。
こいつ・・・はずかしげもなく、腕枕なんぞしおって・・・!
こっちが照れる。
起きあがり、男の自分の腕より、筋肉の着いたたくましい腕を見る。
なんかむかつく。
寝汚いこいつはほっといて、
さっと、着替えて、いつものように食事の支度に向かった。
二人を起こして、
「おはよう」いつもと変わらず、挨拶する。
「あ??新聞・・・」と、銀時が取りに行く前に、渡す。「ど??も」と、言って受け取ったやつと、ふと、目があった。
昨日の、こいつの泣き顔を思い出す。
え????気まずい。見るな!照れる!!
あいつの顔が赤くなってると言うことは、俺もきっと紅いのだろう。
「おはようございま??す!」と新八君が入ってきて、ほっとする。
いつもの日常が始まった。