>>298 長い沈黙だった。
いつも軽口を叩く奴が、全く言葉を発しない。
ただただ、俺の身体をなぞるだけ。
そんなに戸惑うなら、迷うなら、辞めればいい。
この関係を、壊すのが怖いのは俺とて同じだ。
俺だって、もう、何かおかしな感情を抱え込む余裕が正直言って、ない。
だから、
「銀時」やめにしようか、と。
けれど、
そのとき、こいつがやけにきらめいた目をしてやんわり口づけてきた。
別に不慣れな訳じゃないのだろうが、
遠慮がちな仕草に何とも言えない気持ちになる。
俺ごときに、気を遣わなくても良いのに。
そしたら、
「・・・いい?」
久しぶりに、聞いた様な気がする、その声。
お前は、最後の最後に、承諾を得る。
おれは、頷くしかない。
よく知っているはずの男の、
初めて知った感触。
どうにも、
こいつの孤独、寂しさ、強がり、
さめた心が突き刺さるようで、切ない。苦しい。
そっと、銀時の腕を掴んだ。
数え切れないものを守って、守れずに、傷ついてきた腕だ。
俺と同じ。
身体と一緒にゆれる意識の中で、あの熱を思い出す。
高杉に付けられた火は、やっぱりこの身に燻っている。
銀時、お前は、この火を消してくれるだろうか。
この火が消えない限り、俺は自由になれない。
溶けそうな、快感を感じたとき、
熱い体に、滴がぽたぽた流れ落ちた。
なんだろうと、目を開けて確認したら。
ああ、銀時が泣いている。