「お前は・・・」すたすたと近寄って、子供の顔をみやる。
「しけた面してやがる」
「まだ生まれて三ヶ月だからな。お前とてこんなものだったのだぞ。今では見る影もないが」
驚いたことに、そっと高杉が息子の頭をなでた。その様子が妙にしっくりいっているようでもあり、たどたどしいようでもあり、見ているこっちが気恥ずかしいような、
何とも表現しがたい感情におそわれる。きっと端から見たら、ただの夫婦に見えたことだろう。
ふと、高杉と目があった。
・・・こいつは、こんな顔をする男だっただろうか。
なんて目をするんだ。
その隻眼に、何か亡くした大切なものでも写すかのように俺を見る。切ない。一言で言えばそうだが、もっともっと複雑な何かが混在している。
胸の奥に、忘れていた熱いものがこみ上げてくるのを感じる。
---ああ、何で貴様はいつもそうなんだ。
大事なところで、いつも、裏切られる。
嫌な男のままでいてくれればいいのに。嫌いな奴のままでいてくれればどんなにか。