銀魂’〜ぎんたま〜第二百九十二訓

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159風の谷の名無しさん@実況は実況板で
「お前、好きだったろう」と月子が言うと、「甘いものはすきじゃねえ」と素っ気なく応える。そのわりに、じっとその菓子を見つめているから、なんだか可愛い。

気をよくしたのか、月子が得意げにしゃべり出す。

「銀時の家にやっかいになったときも作ったんだ。うまいと言って・・・」と桂が言い終える前に高杉が、ドン!!と、机に水菓子をたたきつけた。

そして、そのまま無言で去っていってしまった。

ぽかんとするのは、みんな一緒だ。

万斎は、そのあと、ゆっくりと邂逅する。

あの反応、白夜叉の名前が出たタイミング。あれではまるで・・・(嫉妬ではないか?)



その日の夕方、西日がまぶしい時に、一仕事終えた高杉がデッキにたたずんでいる。

万斎は、たまたま通りかかったのだが、はて?と、違和感を感じた。

高杉がいる場所は、船の先端近くの端。手すりを越えれば空、と言うところにいる。

これは、いつも煙管をふかして悠々としている高杉の定位置だ。だが、おかしいのは、煙管を持っていない。かわりに、なにやら紅い・・・簪を持っている。

“あれは確か・・・月子殿の?”その表情は、ちらりと横顔しか見えなかったが、なんとも、つらそうな、切なそうな表情に見えた。

時折、手すりの向こうへ簪をかざしてみては、また手元へ戻す。そんなことを繰り返している。ただ、もてあそんでいるようにも見えるし、

捨てようかどうするか、悩んでいるようにも見えた。どちらにしても、その悲壮感あふれる光景は、万斎に見ては行けないものを見てしまったような気にさせた。