「お登勢殿・・・すまぬが、今日は気分が悪い。早退しても良いだろうか」
将軍が来たときから、月子に何処か影のような、剣呑な雰囲気を感じていたお登勢には、騒ぎを起こさないためにも、了解することが最善に思えた。
「ああ、いいよ。ゆっくりやすんどいで」
だが、月子が去ろうとしたとき、将軍がたまりかねて手を掴んだ。
「本当の名前だけでも、聞かせてもらえないだろうか」
その瞬間、あろうことか、将軍の左ほほがゆれた。パン!と高い音がした。
「触るな!無礼な」
その瞬間、さすがの松平のおっさんも、外にいた真撰組も飛んできた。
「おい、ね??????ちゃん、なにしてくれてんの????」
「月子!」さすがの、お登勢も焦る。
月子は土方に取り押さえられた。
「離せ、芋侍!」
しかし、女の力では、それをふりほどくことは出来ない。