TARI TARI 第54小節

雨が激しく降っている。
傘がなかった和奏は出られず困っていた。
「お？坂井、なに、傘持って来なかったか」
「あ、田中…。うん、置いてきちゃった、あはは…」
「へーそなのか。んじゃ、先行くからなー」
「え？」
「気をつけろよー」
「……」

何歩か進んだ田中は、ぐるっと振り向く。
「プッ、ククッ~あはははは、そんな表情するくらいなら突っ込めって！」
「え…？あっ！……うっ…くぅ、田中のくせに…、ばか！」
「ばかってなによ。いつも三人で俺のこと散々からかってるだろ」
「もー早くこっち来なさいよ！」
「でもいいのか？その…」
「仕方ないでしょ、止みそうじゃないし。ほら、」
「あ、おう…」
二人は傘の下で並んで歩き始めた。

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