灼眼のシャナV-Final- メロンパン272個目
「空港での暴挙は全て、フレイムヘイズが起こしているんだぞ、分かっているのか!?」
「世界のバランスを守る使命とやらはどこへいったのだ!これでは戦うべきではない時を弁えているだけ“徒”の方がマシというものだ!!」
「言っていいことと悪いことがあろう!弁えるというのならば、そのフレイムヘイズに守られてきた世界に生きている身を弁えたらどうだ!?」
「そうよ、フレイムヘイズが何故そうしているのか、分からないわけでもないでしょう?」
「守られてきたことは、恩着せがましく言われるまでもない、良く知っている!しかし、だからといって、個人の感情をこのような微妙な情勢下でぶちまけて良い法があるか!」
「たしかに。今まで守られてきたのだから黙れ、というのは傲慢な論法と言えよう」
「その決めつけも、また傲慢だろう。このように微妙な情勢下だから、彼らがあのような行動に出ている……とは考えないのかね?」
「同感ですが、無謀な戦闘を仕掛けている者たちを、なんとか説得して押しとどめられませんか。このままでは、なんら戦局に寄与しない損耗が増すばかりです」
「まったく、これでは犬死だ。年経た古強者が混ざっていながら、冷静な判断力を失っている。フレイムヘイズなら誰もが、創造神の提案を聞いていただろうに」
「親兄弟か妻子、恋人か友達、最悪その全てを喰らった仇が、手の届かない場所に逃げようとしている横から『身勝手な感情で動くな。失った者のいない俺たちの、より安全で幸福な世界のために、おまえの数百年来の復讐を諦めろ』なんて言うのかよ、冗談じゃねぇ」
「……言い方がアンフェアではありませんか?」
「できるだけ率直に、本音を口にしたつもりなんだがな」
「他の絶対多数に害が及んでも、自分の復讐を押し通そうっていうの?奴らは、震源地の日本で人間を喰うな、って厳命までしてるのに、ナンセンスだわ!」
「及んでも、押し通すよ。ナンセンスでもなんでも、僕らはそうするために人間としての未来も繋がりも捧げて、討滅の追手たるの存在と力を得たんだから。少なくとも、今仕掛けている連中は、そう思っているだろうね」