>>975 ・・・・張。
根っから極道稼業の貴様にはわかるまい。
我々はもはや軍人でもなければ敗残兵ですらない―――
軍人崩れでお前と同じ、ただの無頼者だ。
だが―――
ソ連邦に見捨てられ、新生ロシアにも裏切られ、そしてすべてを失った我々に――
残された唯一のものは一体なんだ?
軍旗の下で、生と死のすべてを味わってきた――
その矜持だ。
黴が生え、古びた碑となり果てた、「矜持の残滓」だ。
私はお前のように、明日なき生を生きることは望まない。
そして―― 無為に生をまっとうするだけの人生では犬と同じだ。
我々が望む死はただ一つ、しかるべき者としかるべき戦いの中で、
自分がかつて何者だったかを想い出して死ぬことなんだよ、ミスター・張
・・・・・―――くだらねえ、くだらねえな。
俺からすりゃ、生き様なんぞくだらん思い込みだ。
状況と時で、どうとでも変節しちまうほど、いい加減なものさ。
こだわっちまうってことは―――
逆に、それ以外の何もできなくなちまうてェことだ。
・・・・・・どう思うかはお前の勝手だ。
もう話すことはない、――失礼する。