【スタジオリッカ】イヴの時間 act:03【吉浦康裕】
さて、皆さんには我が社の実験の最初の60分のビデオ記録を見てもらったわけだが、
ここで何か質問があれば受け付けようとおもう。が、
その前に、もう一回、今回の実験の概要を説明しておこう。
ご存知のように、我が社は、不法投棄ハウスロイドに関するクレーム処理に手を焼いていた。
そこで、あたかも感情を持っているかのように振る舞うハウスロイドを販売すれば、
ユーザがハウスロイドを大切に扱うようになり、この問題は解消されると考えたわけだ。
人間と同等の運動能力を持ち、正確に発話出来る今のハウスロイドに、
感情を持っているかのように振る舞わせることは、技術的にはたいして困難なこと
ではない。問題は、倫理委員会のプロパガンダに影響されている顧客が、
そのようなロボットを受け入れるかどうかであった。
そこで、感情を持っているかのように振る舞うロボットを見たとき、
人はそれに嫌悪感を抱いて拒絶するか、理解して受け入れるかを確かめるための
大掛かりな実験が計画された。そのような製品が理解されるなら製品化を
進めることができるが、拒否されるなら計画を見直す必要があるからだ。
実験では、ロボットが感情を持つことが許可されていると説明した場所を作り、
そこに被験者を連れてきて反応を観察することにした。
そこで路地裏の雑居ビルの地下に、カフェの店舗にみたてた「イヴの時間」を設営した。
実験についてもうすこし詳しい話を聞きたいかね?