43 名前:ず・ぼん 有川インタビュー抜粋(1/4) 投稿日:2008/05/12(月) 22:29:14 ID:mcShHPpm
東條 昨日も日本図書館協会の事務局長をちょっと話したんですけど、
彼も「『図書館の自由問題』について書いてくれて感謝している」
なんて言っていたくらいですから。
有川 それはとっても嬉しい。でも図書館関係者のなかには快く思って
いらっしゃらない方もいるようですけどね。
実は日本図書館協会のウェブサイト(
http://www.jla.or.jp)に「学校図書館部会」
というコーナーがありますでしょう。そこから部会の幹部の方々のブログに
つながるリンクがあるんですよね
(今年の5月19日に閉鎖され、現在は新しい部会幹部によって一新されている)
東條 ああ、ありますね。
有川 そのリンク先のブログである人に『図書館戦争』と著者を「ふざけやがって!!」
と酷評されまくる、という出来事がありまして。版元であるメディアワークス社内でも、
けっこう大きな問題になってしまったということがあったんですよ(笑)。
それこそ法務部から正式に抗議を入れるかどうかの会議までしましたし。
「図書館界公式HPからリンクされているブログでこういうことを書くのは図書館界から
一図書・一作家に対して『表現の自由』を侵害する攻撃ではないのか」とか色々。
その記事、「こんなふざけた本はこれ限りにしてほしい」とまで書いちゃってましたんで。
作家仲間でもけっこう話題になってすごく怒ってくれた人もたくさんいました。
東條 その酷評、機関誌では読んだけど、ホームページは知らんかったなぁ。
44 名前:ず・ぼん 有川インタビュー抜粋(2/4) 投稿日:2008/05/12(月) 22:29:59 ID:mcShHPpm
有川 結局、日本図書館協会への正式な抗議は見送ったんですが。
なぜ見送ったかといいますと、実は、たまたま私がその出来事と全く同じエピソードを
書いていたところだったんですね
(『図書館内乱』では、ある公共図書館員が図書館の公共のホームページに
本の悪評を書いて、そのことで問題が大きくなるというシーンが描かれている)。
私としては「こんなバカな図書館員がいるわけないだろう」と
信じて安心して書いていたところに、 自分が書いたエピソードとまったく同じことをやられてしまいまして(笑)。
しかし今ここでこれを問題にしてしまったら、本に書いたエピソードそのものが、
彼への意趣返しととられる可能性があるということになってしまう。
なので「今回は発見しなかったことにして見過ごそう」という会社的判断になったんです。
つまり作家としての私と、出版される前の作品を守る判断を下したんですね。
出版社は営利団体ですから当然の判断ですが、やまり複雑でしたね。
こう、図書館界のかたはインターネットというものの怖さも
分かっておられないんじゃないかという危惧もあって。
東條 なるほど。ま、僕なんかほとんど使わないのでよく分りませんが。
45 名前:ず・ぼん 有川インタビュー抜粋(3/4) 投稿日:2008/05/12(月) 22:30:25 ID:mcShHPpm
有川 例えば、この理事さんが問題になった記事について「間違った、削除しよう」と
思ってくださったとしても、その時までに検索エンジンのキャッシュやアーカイブに
記事が拾われてしまっていたら、そこにはもう手は出せないんですね。特にアーカイブ。
ちなみにその方の記事は、私達で補足した時はキャッシュにすでに拾われていましたね。
キャッシュはパソコンに詳しい人ならまだ操作が可能だそうなんですが、
その方はそんなに詳しいとはとても思えない
(※07年7月時点、まだそのキャッシュは残っている)。
インターネットは自分の都合で一方的に使える便利な空間ではないんです。
一個人が安価で全世界に情報を発信できる、時流にも乗ってインターネットを
利用する公共機関も増えた。しかし、その巨大な利便の裏側には当然、
巨大なリスクがあるわけです。不用意な情報を発信して、
自分で手出しができないところにその情報が拾われてしまう可能性もそうですよね。
>10
大学で図書館学を教え、図書館協会関係者でもある
「須永和之(すながかずゆき)」氏が
個人的なブログで「図書館戦争」に批判的な感想を書く
↓
ブログを見た有川が本職からの批判にブチ切れ。
ブログの書き込みを片っ端から発掘して、本名や勤務先その他の個人情報を特定。
↓
その時執筆中だった続編「図書館内乱」に登場する悪役の名前に採用
悪役の名前が砂川一騎(すながわかずき)⇒すながわ=須永和(苗字+名の一部を音読み)
かずき=かず(ゆ)き
後にインタビューでも、
「『図書館内乱』のDQNな図書館員が登場するエピソードを書いてたところだった。
まさかリアルでこんなDQNな図書館員いないだろと思って書いてたのにホントにいたのでびっくり!」
という趣旨の発言を披露。
「書いていた『ところ』」という発言から、執筆した後で批判を見たわけではなく
批判を見た時期と執筆の時期が重なっていると推測され、名前は偶然の一致ではなく
恣意的に付けられたものである事はガチ。
45 名前:ず・ぼん 有川インタビュー抜粋(3/4) 投稿日:2008/05/12(月) 22:30:25 ID:mcShHPpm
不用意な情報でなければいくら拾われても問題ないわけですが。
仮にも日本図書館協会の公式部会の理事が、
一図書にこれだけの攻撃的な記事をアップした。
そのことがネット上にずっと残ってしまうかもしれないことや、
そのことを図書館界全体に責任をとれるかどうかまで考えて
この方は記事を発信したのか、と。
単に簡便に持論を世界発信できる便利な電子空間としてしか
ネットを認識してないんじゃないのか、と。そして図書館界の方が
誰もその方の不用意なネットの使用法に気付いてないという脇の甘さも不安でしたね。
あるいは気づいてもたいした問題じゃないと思っていたのかもしれませんが。
東條 まあ、あんなのは放っておけばええんやけど、日図協からつながるというのは
不用意やね。
有川 ネットというのは便利ですが大変恐ろしい空間です。
便利さと同時にその恐ろしさを認識できない人は、使わない方が安全なんです。
今どき、問題になったその方よりも、うっかりすると中高生の方がその恐ろしさは熟知しています。
ついでにもう一つ怖い話をしますが、その方は後に、『図書館雑誌』で
名前と所属大学明を明記して『図書館戦争』を批判する記事を発表されてたんですが、
私たちはその前にその方のお名前と所属大学、肩書き、持っている講義、
研究室のある校舎、通勤路線まで知っていました。
何も非合法な手段で知ったわけじゃない、その方が全部自分でブログに書いて
いるんですよ。ご自分はハンドルネームを使えば分らないと
思っていたのかもしれませんが、日図協で開示されている情報と
その方のブログを読み合わせると、誰でも個人が特定できてしまうほどに
安易にご自分の情報を垂れ流しておられた。しかも、ちょっと特定できすぎるほどに。
ネットの怖さを知っている人ならとても真似できません。
公職に就いておられる方としてはちょっと迂闊でしたね。
46 名前:ず・ぼん 有川インタビュー抜粋(4/4) 投稿日:2008/05/12(月) 22:30:48 ID:mcShHPpm
また、図書館界の方から勉強会に参加してほしい、というような申し込みは何度も
受けていましたが、これを受けられなかったのもこの問題が大きいです。
編集部も「そんな奴がいると分かっている世界に敢えて作家を
乗り込ませる訳にはいかない」と。
図書館界と私の交流は、ある意味この方一人のお陰でずっと阻まれてきたんです。
東條 いや知りませんでした。不愉快な思いをされていたんですね。
でも私どものインタビューは受けてくださった。感謝します。
有川 いえ。東條さんの本は参考にさせていただきましたし。
また、今年、図問研(図書館問題研究会)の全国大会への出席を打診されたんですね。
それで、この件のこともお話ししたんです。そしたら、日本図書館協会のほうにも
そのことを伝えていただいて、こちらで考えていた以上に具体的な対処を
していただけたんですね。日本図書館協会の方々に。
「例のブログでの避難はあくまで一個人の意見に過ぎず、
部会を代表する見解ではありません」という詫び状一枚ですんじゃうのかなと
思っていたら、問題点を一つ一つあげていただいて、それについて対処をしていただいた。
ですから、ああ、ここまでしてくださるんだったら、
私も図問研の方のお話をお受けするのが筋だろうと思いまして、
いま参加する方向で検討しています。
(この記事をまとめている段階ではすでに出席している)
東條 ネットでご自身の本について書かれたブログなどを検索されてるんですか?
有川 自分の本に関してはある程度は見てますね。
でもそのときは、むしろ図書館について調べているときだったので、
日図協のHPを閲覧しててそんな記事が出てきたので愕然としたという次第なんです。
もちろん、多くの図書館員の方々からは喜んでいただいて
とてもありがたかったんですけど。
有川センセお怒りのblog
> 図書館戦争
> 有川浩著『図書館戦争』(メディアワークス)を,
> 関係者の皆さんはもう読みましたか?
> ○○○○も,図書館関係者のはしくれとして,違和感を伴なって
> 一応読み終えました。
> いくつか問題点が残ります。
> 現実の図書館と変えているという設定についての言い訳や,
> 軍隊ごっこや恋愛ごっこに現を抜かす図書館員(?)たちの行動と言動,
> 不服な表情と叫ぶことしかしない主人公の単純直情的な性格は論ずる意味がありませんが,
> 図書館の自由に関する宣言(1979年改訂)の主文の4は,
> この小説に書かれた「図書館はすべての不当な検閲に反対する」ではなく,
> 「図書館はすべての検閲に反対する」です。これが著者の意図的なものなのかはわかりませんが,
> 不勉強によるものならば,失笑,噴飯ものです。
> また,検閲という言葉を安易に意味を履き違えて使っていることに違和感を感じています。
> 近未来小説なので,現実と違うという言い訳に,仕方なく納得しなければなりませんが,
> もう少し図書館の本質を突くような内容を期待していました。
> 真面目に努力している図書館職員をおちょくるような小説は,今回だけにしてほしいですね。