true tears 78滴目

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696勝手にEND直前予想!
石動乃絵に自分の真実の想いを吐露し、
そのまま、その相手の胸元に顔を埋め咽び泣く湯浅比呂美
止め処なく涙は流れ、乃絵のコートを濡らしていく…
 
「 …想いでは、負けてないつもりだったけど.... 本当の想いだけが真実の涙になるのね… おばあちゃん.... 」
 
「 ねぇ... あなたの涙を… 半分でいい... 私にくれない? 」
その言葉が比呂美に正しく伝わったかは判らない。 ……けれど.....
 
「 眞一郎は待ってるわ。 あの絵の場所で。 」
顔を上げ、泣きはらした瞳で問いと懇願が綯い交ぜになった表情で乃絵を見つめる比呂美
 
「 ……ただ一人... ……そう、ただ一人... ………あなただけを... 」
 
少しの時間。
想いの丈を吐き出し、言葉を向けた相手にそのまま縋り付く他無い程までに
崩れ折れていた比呂美が彼女の言葉を心に沁み込ませるだけの時間。
 
しかし、逡巡は無かった。
 
彼女は自分の足で立ち、乃絵に小さく、しかし決然と首肯すると、
乃絵に背を向け、走り出す…
 
残された乃絵。
暫し頤を引き、自分の中の感情を噛み締める。 大きく息を吐くと白い綿菓子が彼女の表情を一瞬覆う。
そして天空を仰ぎ

 「 ………取り戻したわ... ありがとう... おばあちゃん... 雷轟丸.... そして... 眞一郎... 」
 
                              彼女の頬を一筋の輝きが流れていった……